日本のエネルギー自給率は約10%!低い理由と今できる取り組みとは?

2022.06.09

石油や石炭、天然ガスなどのエネルギーは、私たちの生活に必要不可欠です。しかし日本のエネルギー自給率は約10%で、世界的に見ても非常に低いのが現状です。

なぜ、エネルギー自給率が低いのでしょうか?またエネルギー自給率の向上に向けてどのような取り組みが行われているのでしょうか。

今回は日本のエネルギー自給率が低い理由と現状、そして自給率向上のための取り組みについて解説します。家庭での取り組みもあわせて紹介しますので、参考にしてください。

目次

日本のエネルギー自給率は約10%と世界から見ても低い

日本のエネルギー自給率は約10%と世界から見ても低い


日本のエネルギー自給率は約10%です。2010年の自給率は20%でしたが、さまざまな要因から徐々に低下していきました。

資源の少ない日本は昔からエネルギーのほとんどを海外からの輸入に頼っていました。そして今もその現状は変わっていません。

エネルギー自給率とは?

そもそもエネルギー自給率とは何を表すのでしょうか?

エネルギー自給率とは、国内でどれだけエネルギーを確保できるかを表す数字です。ここで指すエネルギーは石炭や石油、ガス、太陽光、風力など人間が加工する前の一次エネルギーです。

エネルギー自給率は以下の計算式で算出されます。

エネルギー自給率(%)=国内で生産される一次エネルギー量 ÷ (国内生産+輸入している一次エネルギー量)× 100

出典:資源エネルギー庁「2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)」より

出典:資源エネルギー庁「2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)」

2018年時点、日本のエネルギー自給率は11.8%でした。自給率の低さはOECD諸国の中でもかなり低く、全36カ国中34位と2番目に低い数字です。

エネルギー別の自給率と海外依存度

日本の2019年時点の主要なエネルギーである原油、LNG(天然ガス)、石炭の海外依存度はどれも95%以上です。

  • 原油海外依存度:99.7%
  • LNG海外依存度:97.9%
  • 石炭海外依存度:99.5%
出典:<a href=

出典:資源エネルギー庁「2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)」

なかでも原油は、約92%を中東からの輸入に頼っています。内訳はサウジアラビア35.9%、UAE31.2%、クウェート11.0%、カタール10.4%、オマーン3.2%です。

中東は情勢が不安定であることから、供給停止やエネルギー高騰などの影響を受けやすい状況にあります。2019年6月には原油等の輸送において重要なオマーン湾で、日本関係の船舶が攻撃を受けるなどの事件もありました。

またLNGや石炭の主な輸入先はオセアニアやアジアです。中でもオーストラリアからの輸入は多く、LNGでは36.7%、石炭では68%をオーストラリアから輸入しています。

出典:資源エネルギー庁「2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)」

日本のエネルギー自給率の推移

日本のエネルギー自給率は1960年代には60%近くで、当時は国内での石炭や水力を中心に利用していました。しかし徐々に海外からの石油や石炭などを輸入するようになり、エネルギー自給率は徐々に低下します。

日本の自給率
1960年58.1%
1970年15.3%
1980年12.6%
1990年17.0%
2000年20.2%
2010年20.2%
2011年11.6%
2012年6.7%
2013年6.5%
2014年6.3%
2015年7.3%
2016年8.1%
2017年9.4%
2018年11.7%
2019年12.1%
2020年11.3%

日本のエネルギー自給率が低い理由とは?

日本のエネルギー自給率が低い理由とは?


日本はなぜ、エネルギー自給率が低いのでしょうか?

日本はそもそもエネルギー源が乏しい国です。国内でエネルギーを生産できないため、海外からの輸入に頼るしかないのです。

近年は再生可能エネルギーの推進もあり、国内で生産できるエネルギー量は増えています。しかし現状、再生可能エネルギーでは発電量が不十分であることなどでエネルギー自給率はいまだに低い状態にあります。

日本にはそもそもエネルギー資源が少ない

日本はそもそも、エネルギー資源が少ない国です。

アメリカのニュース局「CNBC」では“日本がある場所には、複数の構造プレートがあるため石油燃料がほとんどなく、活火山が多い”と紹介されていました。

石油は褶曲(しゅうきょく)構造と呼ばれる地層に埋蔵していることが多いです。褶曲構造は世界中どこにでもある訳ではなく、環太平洋浩山帯(ロシア、カナダ、アメリカなど)やアルプス=ヒマラヤ浩山帯(中東、南アフリカなど)に多いとされています。日本でも北海道や秋田県、新潟県などに油田がありますが、その量はわずかです。

石油や石炭、天然ガスの中で最も国内生産量が高いのは天然ガスの約2.1%です。北海道、秋田県、新潟県、千葉県、宮崎県などで産出されています。

再生可能エネルギーだけでは発電量が不十分

エネルギー自給率をあげるため、また脱炭素社会への取り組みとして再生可能エネルギーの導入が進められています。

再生可能エネルギーとは太陽光や風力、水力、地熱など自然から得られるエネルギーのことです。石油資源などがなくても国内で生産できるエネルギーです。

しかし再生可能エネルギーは気候条件など自然に左右されることが多く、設置個所も限られています。そのため現状では再生可能エネルギーによる発電量だけでは不十分であり、不足分の電力を補うためにも火力電力は必要です。

エネルギー自給率の低さが価格高騰につながる

エネルギー自給率が低く、供給のほとんどを輸入に頼っている日本。エネルギーを海外に頼るということは、国際情勢がエネルギー供給に直結することを意味します。

近年、電気代の高騰が話題になっています。数年前より電気代が上がりはじめ、今も高くなり続けています。その原因の一つにあるのが、ロシアのウクライナ侵攻です。日本ではロシアから多くのLNG(天然ガス)を輸入しているのですが、世界各国がロシアへの金融制裁を行ったことにより取引が制限されています。

過去を振り返ると1970年代のオイルショックにより産油国などの情勢が不安定になりました。産油国が原油価格を引き上げて敵対する国とその支援国に対して原油の輸出を制限したのです。これにより「石油の輸入制限により物資不足が発生する」と不安が広がり、国民が大混乱に陥ることもありました。

エネルギー自給率の低さは、私たち国民の生活に影響を及ぼすのです。

関連記事:電気代が高騰中!その理由と今後の予測、対策とは?

日本のエネルギー自給率向上のための取り組み

日本のエネルギー自給率向上のための取り組み


エネルギー自給率を少しでも向上させるため、日本ではさまざま取り組みが行われています。

  • 再生可能エネルギーの電源構成比目標を36〜38%に設定
  • 地熱発電や洋上風力発電などへの注力

石油や石炭に頼るのではなく、再生可能エネルギーなら日本国内でも発電できます。そのため、再生可能エネルギーの導入を進める動きが広まっています。

再生可能エネルギーの電源構成比目標を36〜38%に設定

政府は国内の化石燃料の構成比を2030年度までに2013年度の数値より46%削減するとの目標を発表しています。

【2020年度速報】
再エネ:19.8%、原子力:4%、水素・アンモニア:0%、化石火力:77%

【2030年度目標】
再エネ:36〜38%、原子力:20〜22%、水素・アンモニア:1%、化石火力:41%

参考:資源エネルギー庁「今後の再生可能エネルギー政策について」

再生可能エネルギーの導入には技術やコスト面、土地などの問題がありますが、それらの問題を解決すべく計画を立てています。また地域脱炭素移行・再エネ推進交付金の創設など、企業や自治体への再生可能エネルギー促進も行っています。

関連記事:世界中で進められている「脱炭素」をわかりやすく解説します

地熱発電や洋上風力発電などへの注力

再生可能エネルギーといえば、太陽光発電や水力発電を思い浮かべる方は多いと思います。しかし地熱発電や洋上風力発電への期待も高まっています。

日本は世界で3番目に地熱資源が豊富といわれています。地熱発電は天候などに左右されないため安定的な発電ができるうえ、発電で使用した熱水はハウス栽培に活用することもできます。

洋上風力発電も今後成長が期待されている再生可能エネルギーです。海域を長期間に渡り利用するため、他の海域利用者との話し合いやルール決めが必要となりますが、日本は海に囲まれているため利用する価値はあると言えるでしょう。

参考:資源エネルギー庁「もっと知りたい!エネルギー基本計画④ 再生可能エネルギー(4)豊富な資源をもとに開発が加速する地熱発電」

参考:資源エネルギー庁「もっと知りたい!エネルギー基本計画③ 再生可能エネルギー(3)高い経済性が期待される風力発電」

太陽光発電なら家庭でもエネルギーを作り出すことが可能

エネルギー自給率を向上する方法の一つに、再生可能エネルギーの導入があると紹介しました。そして太陽光発電は家庭でも導入できます。

太陽光発電は家庭で唯一、導入可能な再生可能エネルギーです。晴れている日はもちろん、曇りの日でも一定量の太陽光があれば発電ができます。

また太陽光発電とあわせて蓄電池を導入することで、太陽光発電で発電した電力を蓄電池に貯めることで夜間の使用も可能になります。太陽光発電と蓄電池があれば災害対策にもなるでしょう。

太陽光発電は日本で最も導入されている再生可能エネルギーです。導入数の増加とともに、導入費用も徐々に低下。導入方法の選択肢も増えてきており今後ますます太陽光発電は増えると考えられます。

二酸化炭素を排出しないため、温室効果ガス削減にもつながります。各家庭で太陽光発電が導入されれば、エネルギー自給率の向上にもつながるでしょう。

関連記事:家庭用蓄電池は必要?そのメリット・デメリットを解説!

まとめ

日本のエネルギー自給率の現状や原因、そして取り組みについて説明しました。

エネルギー自給率が低いことで、国際情勢によってエネルギー価格が左右され、結果として私たち国民の生活に影響を与えます。

エネルギー自給率を高めるためさまざまな取り組みが行われ、徐々に上がってきているものの依然として低い水準にあります。海外へのエネルギー依存を少しでも減らすため、私たちに何ができるのかを考えてみましょう。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・熊本・佐賀の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。

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