脱炭素社会が実現したら電気代が上がる。それって本当?

2022.10.13

世界中の国や企業が実現に向けて取り組んでいる「脱炭素社会」の実現。

「2050年カーボンニュートラル」とも呼ばれる脱炭素社会ですが、なかでも急速に実施されているのが再生可能エネルギーの実現です。

地球温暖化の原因である炭素(主に二酸化炭素)の排出を実質ゼロにすることで、地球温暖化を抑制する目的があります。

これからの地球に必要不可欠な脱炭素社会ですが「実現すると電気代がどうなるのか?」という疑問を持つ方が多いようです。

そんな疑問を解決するため、今回は脱炭素社会の実現後の電気代について解説します。

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※九州において 調査機関:株式会社Acorn Marketing & Research Consultants Japan 調査期間:2024年1月

目次

「2050年脱炭素社会」と「再生可能エネルギー賦課金」

「2050年脱炭素社会」と「再生可能エネルギー賦課金」


“脱炭素社会”とは「地球温暖化を引き起こす温室効果ガスの排出量が実質ゼロである社会」のことを指します。似た用語でカーボンニュートラル(炭素中立)と呼ばれることもあります。

実質ゼロというのは、温室効果ガス排出量から森林などが吸収する分を差し引いてゼロにすることです。

人間が活動を続ける以上、二酸化炭素の排出をゼロにすることは難しいです。そのため二酸化炭素排出量を極力減らし、どうしても排出されてしまった分については、適切な森林管理や植林された樹に吸収させてプラスマイナスゼロを目指しています。

電気代に記載されている「再生可能エネルギー賦課金」

脱炭素社会の実現には、再生可能エネルギーの導入が必要不可欠です。
日本は2050年までに再生可能エネルギー100%を実現するための計画として「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」を2020年10月に策定しました。

翌年2021年12月に発表された「第6次エネルギー計画」では、2030年に再生可能エネルギーの電源構成を36〜38%を目指すなど、野心的な見通しが立てられました。

再生可能エネルギーは今後普及されるべき発電方法ですが、「ではお願いします」と言って簡単に広まるものではありません。そこで普及を促進するために作られたのが「再生可能エネルギー固定価格買取制度(FIT法)」です。

その中で定められたのが「再生可能エネルギー発電促進賦課金(再エネ賦課金)」でした。これは太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーによる発電が、化石燃料による発電よりも割高になってしまうことが理由で制定されたものです。

具体的には「再生可能エネルギーが普及するまでの間、電力買取にかかる費用の一部を国民に負担させる」といった内容です。これがご家庭の電気代明細書に記載してある「再生可能エネルギー賦課金」の正体です。

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徐々に上がっている再生可能エネルギー賦課金

FIT法により、2012年から「再生可能エネルギー賦課金」は収集されています。そしてその金額は徐々に上昇しています。

2012年0.22円/kWh
2013年0.35円/kWh+ 0.13円/kWh
2014年0.75円/kWh+ 0.40円/kWh
2015年1.58円/kWh+ 0.83円/kWh
2016年2.25円/kWh+ 0.67円/kWh
2017年2.64円/kWh+ 0.39円/kWh
2018年2.90円/kWh+ 0.26円/kWh
2019年2.95円/kWh+ 0.05円/kWh
2020年2.98円/kWh+ 0.03円/kWh
2021年3.36円/kWh+ 0.38円/kWh
2022年3.45円/kWh+ 0.09円/kWh
2023年1.40円/kWh– 2.05円/kWh
2024年3.49円/kWh+ 2.09円/kWh

表を見ると年々上昇しているのが一目瞭然ですね。その原因は再生可能エネルギーの買取量が毎年増えているからです。

再生可能エネルギー賦課金は、電気の使用量に乗じて加算されます。そのため使えば使うだけ電気代に再生可能エネルギー賦課金が上乗せされ、明細書に記載される請求金額も大きくなります。

しかし2023年度においてはウクライナ危機などによる市場価格の急激な高騰を受けたことから、大幅な減額措置が取られました。

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2022年3月 日本政府は「炭素税」の導入に向けた取り組みを開始

また日本政府は2022年3月に、炭素税の導入に向けた取り組みを開始することを発表しています。

「炭素税」とは、化石燃料やそれを利用した製品の製造・使用の価格に課せられる税金です。二酸化炭素の排出量削減を目的とし、企業だけでなく個人(消費者)も対象となります。

課税段階は、下記の4パターンが考えられています。

  • 上流課税:化石燃料の採取時点、輸入時点での課税
  • 中流課税:化石燃料製品(揮発油等の石油製品、都市ガス等)や電気の製造所からの出荷時点での課税
  • 下流課税:化石燃料製品、電気の需要家(工場、オフィスビル、家庭等)への供給時点での課税
  • 最下流課税:最終製品(財・サービス)が最終消費者に供給される時点での課税

参照:環境省「炭素税について」

炭素税は再エネ賦課金や消費税同様に、誰にでも課されるため家計を圧迫する可能性があります。今回発表されたのは、導入に向けた取り組みの開始であるため、本格的な導入時期は定まっていません。

しかし政府は2028年に「化石燃料輸入事業者に対して、炭素賦課金の導入を検討している」など、脱炭素社会に向けて活発な動きを見せています。

私たち一般消費者も、定期的に動向を追い続ける必要があります。

脱炭素社会が実現すると電気代は上がる?

脱炭素社会が実現すると電気代は上がる?


再生可能エネルギー賦課金の高騰や脱炭素の導入など、今後も電気代は上がり続けることが予想されます。

では、脱炭素社会が実現した後の電気代はどうなるのでしょうか…?

これに関して環境省は、脱炭素社会が実現すると電気代が2倍以上に上がると予想しています。

再エネ比率50%以上で電気代が2倍以上に

2021年5月、経済産業省は2050年までに再生可能エネルギーを大幅に導入した場合、電気代がどうなるのか試算した数値を発表しました。

この発表によると、再生可能エネルギーが50%以上になった場合、電気代が今の2倍以上になるとしています。

デロイト トーマツ コンサルティングの試算では、再生可能エネルギー比率が71%になると電力価格が約2倍、95%まで高くなると電力価格は約5倍になるとの結果を公表しています。

一方で、自然エネルギー財団の試算によると、2050年に再生可能エネルギーが100%を達成しても、電力システムの全体的なコスト低下により、電気代は今よりも下がるとされています。

エネルギー貧困に陥る可能性もある

イギリスには「エネルギー貧乏(energy poverty)」という言葉があります。これは電気代が高額であるため、生活が苦しくなってしまうことを表します。

昨今、給料が増えないにも関わらず物価が上がることで、貧困に苦しむ人が増えています。これに加えて電気代がさらに高騰するとなると、家計が苦しくなる家庭はさらに増えるでしょう。

電気代を抑えるために私たちにできることは?

電気代を抑えるために私たちにできることは?


今後も上がり続けることが予想される電気代は、家計をより圧迫します。生活する上で欠かせないものだからこそ、少しでも負担を小さくしたいですよね。

では電気代を抑えるために、私たちには何ができるのでしょうか。

電気購入量を減らす

いちばん効果的なのは「電気購入量を減らすこと」です。

2030年ごろまで高騰すると言われている再生可能エネルギー賦課金は、電気の購入量に合わせて加算されます。逆にいえば、電気を購入しなければ加算されないのです。

電気購入量を減らすためには、省エネや節電を心がけましょう。

  • こまめに電気を消す
  • 使わない家電のコンセントを抜き、待機電力を削減
  • 省エネ家電に買い換える

家電は使い続けるほど劣化し、電力消費量が高くなります。場合によっては使い続けるよりも買い替えた方がお得になることも。

照明も白熱電球からLED電球に切り替えた方が、電気消費量は削減できて家計にやさしいことが多いです。

自宅にソーラーパネルを設置して自家発電

ソーラーパネルを自宅に設置し、自家発電を行うことも電気代を抑える方法の一つです。

自家発電した電力には、再生可能エネルギー賦課金はかかりません。また固定価格買取制度(通称FIT法)では余剰電力を買い取ってもらうことも可能です。

ソーラーパネルの設置には初期投資が必要となりますが、長年使用して電気代削減と余剰電力の買取を続ければ、設置費用は回収可能です。

また地方自治体の補助金を利用したり、家庭用ソーラーパネル専用ローンを利用することで、設置費用を抑えられます。

まとめ

脱炭素社会の実現は、持続可能な社会を実現するためには必要不可欠です。しかし電気代が高騰し続けると、わたしたちの家計が圧迫されることになります。

どちらが良いのか、正直難しいところですよね。

しかし家計への影響をより少なくすることは可能です。

  • 節電を心がける
  • 家電を買い替えて省エネする
  • 再生可能エネルギーを取り入れる

など、難しいことではありません。

電気代がもっと上がる前に、できることから始めてみませんか?

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執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

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