世界の再生可能エネルギーの現状とは?各国の取り組みも紹介

2024.07.19

ここ数年、私たちの生活で耳にするようになった「再生可能エネルギー」という言葉。この言葉が世界的に広まったのは、1997年の京都議定書の制定がきっかけです。

再生可能エネルギーは地球温暖化への対策や脱炭素社会への対策として広まり、新型コロナが流行して経済が冷え込んだ2020年以降も導入量は増え続けています。

以前、日本の再生可能エネルギー事情について解説しましたが、世界各国の導入量や取り組みはどうなのでしょうか。

今回は世界の再生可能エネルギー導入量や取り組みについてご紹介します。

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目次

再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーとは?


「再生可能エネルギー」とは、自然界に常に存在しているエネルギーを指します。

「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」では、再生可能エネルギーは以下のように定義されています。

衆議院:「平成二十一年法律第七十二号 エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」

よりイメージを鮮明にするために、具体的な再生可能エネルギーの7種を以下に並べます。

  • 太陽光
  • 風力
  • 水力
  • 地熱
  • 太陽熱
  • 大気中の熱、その他の自然界に存在する熱
  • バイオマス(動植物に由来する有機物)

参照:関西電力 「再生可能エネルギーとは」

それでは再生可能エネルギーについて理解を深めたところで、次章から世界各国の現状をみていきましょう。

世界全体で再生可能エネルギーの割合が上がってきている

環境・エネルギー分野のシンクタンクであるEmber(エンバー)によると、2023年の世界全体におけるエネルギー構成のうち、初めて再生可能エネルギーが世界の発電量の30%以上を占めたようです。

太陽光発電や風力発電の世界的な成長により、2000年の19%から2023年には初めて30%を上回るなど、その割合を伸ばしています。

またIEA(国際エネルギー機構)によると、2023年の世界の再生可能エネルギー発電設備容量は前年から50%近く増加し、約510GWに達したと発表しています。これは過去20年間でもっとも高い成長率となります。

これらの結果から、世界全体が再生可能エネルギーの導入に積極的であり、今後も再生可能エネルギーが占める割合は増加すると予想されます。

参照:日経BP 「2023年・世界発電量、初めて再エネが30%超える」
参照:IEA 「再生可能エネルギー2023」

【国別】海外の再生可能エネルギー事情

次に世界全体の再生可能エネルギーの割合を理解したうえで、国別の再生可能エネルギー事情を見ていきましょう。

再生可能エネルギーに積極的な国や、日本と距離の近い国など、全部で7カ国の取り組みや導入量などをご紹介します。

  • 中国
  • アメリカ
  • ドイツ
  • インド
  • イギリス
  • スウェーデン
  • 韓国

中国

中国


現在、再生可能エネルギーの発電量が世界で一番多い国が中国です。

エネルギー局(国家能源局)の発表によると、2021年1月〜11月の再生可能エネルギー発電量は135.57TWhでした。前年の同時期と比べると33%の増加です。

2022年3月に発表されたIEAのデータによると、中国の電源構成費のうち再生可能エネルギーが占める割合は29%でした。

中国の状況

参照:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」

中国はエネルギーの使用量が多く、世界の二酸化炭素排出量の25%を占めていますが、脱炭素にも積極的です。

ロイター通信によると2022年6月、中国は2025年までに電力の33%を再生可能エネルギーにすると発表。2020年の発表では目標値を28.8%としており、5%の増加になりました。

くわえて自然エネルギー財団の発表では、2023年1~9月の再生可能エネルギー発電設備の総容量は1,300GWを突破し、遂に中国の主要電源である火力発電を超えたと報告もあります。

参照:自然エネルギー財団「中国における電力部門の低炭素化の動向」

アメリカ

アメリカ


アメリカは再生可能エネルギーの発電量が世界2位です。

2021年時点での電源構成のうち、再生可能エネルギーが占める割合は21%でした。しかし米国エネルギー情報局(EIA)によると、2022年には22.5%まで伸びるとの予想を発表しています。

アメリカの状況

参照:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」

再生可能エネルギーのうち、現状では風力や水力、バイオマス発電が主ですが、2021年〜2022年は風力と太陽光発電の割合が大幅に増えるとの予想です。

トランプ前大統領は地球温暖化に懐疑的でしたが、バイデン現大統領はクリーンエネルギーへの投資に意欲的な姿勢を見せています。

また、バイデン大統領は2035年までに電力部門でも脱炭素化を公約に掲げており、今後の動向に注目が集まっています。

ドイツ

ドイツ


ドイツでも再生可能エネルギーの導入が積極的に進められています。

ドイツの電源構成のうち、再生可能エネルギーは42%を占めており半数近くを再生可能エネルギーで賄っています。

化石燃料よりも再生可能エネルギーの発電量が上回ったのは2019年で、それ以降も徐々に再生可能エネルギーは広まりました。

ドイツの状況

参照:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」

2011年、日本で発生した福島第一原子力発電所の事故を受けてメルケル前首相はドイツ国内の原子力発電を廃止することを約束しました。

これに合わせて2022年末までに稼働している原子炉の停止準備を行ってきました。

またドイツ政府は2022年6月に「2035年以降、再生可能エネルギー100%」とする改正案を発表しました。本法案は現在も可決についての議論が進められています。

インド

インド


経済成長がめざましいインドでも、再生可能エネルギーの導入が進められています。

インドの電源構成の中でもっとも多いのは、石炭を使用した火力発電で約56%を占めています。

再生可能エネルギーが占める割合は21%ですが、再生可能エネルギーの設備容量は世界で4番目に多い国となっています。

インドの状況

参照:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」

インドでは大都市圏の大気汚染や河川の水質汚染などが深刻な問題となっています。また更なる経済成長が見込まれることから、環境問題への対策は必要不可欠です。

2018年時点、もっとも普及している再生可能エネルギーは風力発電ですが太陽光発電の大規模プラント建設が行われるなど、太陽光発電にも力を入れています。

インド政府が掲げる目標は、2030年までに1,450GWの容量の達成です。

イギリス

イギリス


イギリスは炭素排出量を2035年までに78%削減することを目標にしています。またジョンソン元英首相は2021年に「2035年までに全電力を再生可能エネルギーに転換する」と発表しました。

2021年時点では、電源構成の40%以上を再生可能エネルギーで占めています。

イギリスの状況

参照:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」

2020年、イギリス政府はガソリン車とディーゼル車の新車発売を2030年までに廃止すると発表しました。

ハイブリット車の販売は2035年までに認め、ディーゼル重量物車両(HGV)も段階的な廃止についての検討も行われていました。

しかし2023年9月20日に行われた会見でスナク元英首相は、上記ガソリン車とディーゼル車の新車販売廃止について、2035年に後ろ倒しする計画を明らかにしています。

同氏は2050年にネットゼロを達成するという目標について「より現実的で均整のとれた方法」でアプローチしていくようです。

参照:GOV.UK「PM launches UN Climate Summit in the UK」
参照:Bloomberg Sunak Dilutes Green Agenda, Delays UK Ban on New Petrol Cars (1)
参照:Bloomberg 「英国、ガソリン・ディーゼル車の新車販売禁止を2035年まで延期へ」

スウェーデン

スウェーデン


スウェーデンでは2040年までに、再生可能エネルギーの電源構成比100%を達成する可能性があります。

2021年時点では石炭による発電が1.0%、原子力発電が31.0%、再生可能エネルギーによる発電が67.0%です。

スウェーデンの状況

参照:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」

元々スウェーデンでは火力発電の割合はかなり小さく、原子力発電と水力発電がメインでした。現在も火力発電が占める割合は1.0%程度しかありません。

さらに火力発電所の削減が急速に進められているため、2030年には火力発電が占める割合は0.5%まで下がると言われています。

スウェーデンは、フィンランドに次いで世界2番目に炭素税を導入した国でもあります。1990年代に炭素税が、2007年にはストックホルムで渋滞税が導入されています。

韓国

韓国


韓国では電源構成のうち、石炭・石油・天然ガスが約65%を占めており、再生可能エネルギーは10%未満です。また原子力発電への依存度も高く、全体の25%となっています。

韓国の状況

参照:自然エネルギー財団「統計|国際エネルギー」

文在寅(ムン・ジェイン)前大統領は、2017年に行われた大統領選挙で「脱原発」を公約として掲げましたが、任期終了間際の2022年2月に「今後60年間は原発を主力電源とする」旨の内容を発言しました。

その後当選した尹錫悦(ユン・ソクヨル)現大統領は「原発や再生可能エネルギー、天然ガスなどを合理的にミックスさせていくべき」と今後のエネルギーの方向性を示しています。

尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の原発促進について、野党からは批判の声も上がっているようです。

日本でも再生可能エネルギーの導入が進められている

日本では2021年時点、もっとも大きな割合を占めるのは天然ガスの37%です。次いで石炭・石油による火力発電が32%、再生可能エネルギーは22%でした。

再生可能エネルギーの中では太陽光発電がもっとも普及しており、2020年末時点では世界第3位の累計導入量となりました(1位は中国、2位はアメリカ)。

日本には地熱資源量が多く存在し、その量は世界3位です。しかし土地を利用するための権利調整など複雑な問題が多く、活用できているのはわずか2%ほどとされています。

また太陽光発電をはじめ、再生可能エネルギーの導入は進められていますが、利権の問題や技術開発など課題も残るのが現状です。

まとめ

2020年11月、IEAは「再生可能エネルギーに関する年次報告書」において、2025年までに世界全体の再生可能エネルギーの割合は33%になり、石炭に代わる最大の電源供給源となる」との予想を発表しています。

今後も再生可能エネルギーに関する法律の制定や規制、政策の実施などにより、再生可能エネルギーは普及し続けるでしょう。

私たち個人も再生可能エネルギーへの理解や導入をすすめることで、日本の再生可能エネルギー普及率を後押ししていきたいですね。

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執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

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