燃料費調整制度を分かりやすく説明!計算方法や今後の見通しは?
ほとんどの電力会社の電気料金明細に記載されている「燃料費等調整額」という金額。

皆さんは、燃料費調整制度をご存知でしょうか。

電気代の高騰の原因の1つに燃料費等調整額の高騰が挙げられます。

今回は燃料費調整の意味や役割、計算方法などについて解説します。あわせて燃料費調整額の今後の見通しについても説明するので、ぜひ最後までお読みください。

この記事は九州の太陽光発電N0.1のゆめソーラーが執筆

燃料費調整とは?

燃料費調整とは?
燃料費調整とは、原油や石炭、LNG(天然ガス)などの化石燃料の価格変動を迅速に電気料金に反映させるための制度です。

経済産業省 資源エネルギー庁のホームページには、以下のように説明されています。

“燃料費調整制度は、事業者の効率化努力の及ばない燃料価格や為替レートの影響を外部化することにより、事業者の経営効率化の成果を明確にし、経済情勢の変化を出来る限り迅速に料金に反映させると同時に、事業者の経営環境の安定を図ることを目的とし、平成8年1月に導入されました。”

出典:経済産業省 資源エネルギー庁「燃料費調整制度について」

燃料費調整額は3ヶ月ごとの平均貿易統計を計算し、2ヶ月後の料金に反映されるため、毎月金額に変動があります。例えば、1月〜3月の燃料価格は、6月の電気料金に反映されます。

燃料費調整額の確認方法

燃料費調整額の確認方法
では家庭の燃料費調整額についてみていきましょう。

燃料費調整額は、毎月電力会社から届く検針表(電気ご使用量のお知らせ)に記載されています。その中の「ご請求金額」の内訳をみると燃料費調整額が見つかります。

また各電力会社のホームページからは翌月分の燃料費調整額が分かります。請求される前に具体的な金額が知りたい場合は、そちらをチェックしましょう。一般家庭の場合、ほとんどが「低圧供給」です。

参考:九州電力「燃料費調整のお知らせ(2022年9月分)」

電気代の算定方法

まず、電気料金全体の算定方法を見ていきましょう。

一般的に電気料金は以下の計算式で決められます。

「電気料金 = 基本料金 + 電力量単価 × 使用電力量 ± 燃料費調整額+ 再生可能エネルギー発電促進賦課金 – 割引金額」

再生可能エネルギー発電促進賦課金とは、日本国内に再生可能エネルギーを普及するためのお金です。詳しくはこちらの記事をご覧ください。

参考:再エネ賦課金の基礎知識と減免措置

燃料費調整額の算定方法

燃料費調整額は、以下の計算式で算出されます。

燃料費調整額 = 燃料費調整単価 × 1カ月の使用電力量

燃料費調整単価は、平均燃料価格と基準燃料価格をもとに決まります。

平均燃料価格…3ヶ月の燃料価格の平均
基準燃料価格…各電力会社が料金プランを設定したときに想定した平均燃料価格

平均燃料価格は具体的には以下のようになります。

「(平均原油価格 × 使用率)+(平均石炭価格 × 使用率)+(平均LNG価格 × 使用率)」

  • 原油:直近3カ月の1kL当たりの平均原油価格
  • 石炭:直近3カ月の1t当たりの平均石炭価格
  • LNG(天然ガス):直近3カ月の1t当たりの平均LNG価格

電力会社ごとに火力燃料価格や基準燃料価格は異なるため、燃料費調整額も電力会社によって異なります。

【電力会社別】燃料費等調整単価一覧

2022年9月分の燃料費調整単価を電力会社別で一覧にまとめました。すべて一般家庭(低圧供給)を前提としています。

なお、低圧供給においても電力会社によっては料金プラン(供給条件)によって燃料費調整単価は大きく異なります。以下の表は低圧供給における特定小売供給約款等プランにおける2022年9月分の燃料費調整単価です。

低圧-特定小売供給約款・選択約款のプランの場合
電力会社 燃料費調整額(2022年9月分) 2022年8月分との差
北海道電力 3.66円/kWh ±0円/kWh
東北電力 3.47円/kWh ±0円/kWh
東京電力 5.13円/kWh +0.03円/kWh
中部電力 5.06円/kWh +1.40円/kWh
北陸電力 1.77円/kWh ±0円/kWh
関西電力 2.24円/kWh ±0円/kWh
中国電力 3.19円/kWh ±0円/kWh
四国電力 2.55円/kWh ±0円/kWh
九州電力 1.94円/kWh ±0円/kWh

九州電力においては従量電灯プラン等が特定小売供給約款プランに該当します。

一方で、オール電化向けの電気料金プランである「電化でナイト・セレクト」は需給契約条件プランに該当します。九州電力における需給契約条件プランの2022年9月の燃料費調整単価は以下のとおりです。

【九州電力】低圧-需給契約条件の燃料費調整単価:4.58円/kWh

燃料費調整のプラス・マイナス調整

「プラス・マイナス調整」とは、燃料費調整制度に適用されている仕組みです。
燃料費調整額は基準燃料価格と平均燃料価格の差で決まります。

3ヶ月の貿易統計価格から計算される「平均燃料価格」。この平均燃料価格が、各電力会社で定められている基準燃料価格を上回った場合にプラス調整を、下回った場合にマイナス調整となります。

つまり、実際にかかった燃料価格よりも基準燃料価格が高かった場合は、その差額は電気料金から減額されます。逆に、実際の燃料価格より基準燃料価格が低かった場合、その分電気料金は増額されます。

大手電力会社の燃料費調整の上限値は撤廃されつつある

2022年5月18日、九州電力は一部料金プランの燃料費調整制度の上限を撤廃すると発表しました。

上限撤廃となる対象は2016年に新規受付を停止しているオール電化向けのプランである「季時別電灯」や「時間帯別電灯」「深夜電力A」「深夜電力B」「第2深夜電力」「ピークシフト電灯」「高負荷率型電灯」「低圧季時別電灯」の8プランです。この影響を受けるのはおおよそ110万件となる見込みです。

他の地域におきましても、2022年7月末に中部電力や東北電力が「燃料費調整制度の上限を撤廃すること」を発表しました。中部電力ミライズも東北電力も、2022年12月からの適用となる予定です。また、Loopでんきやミライフ電気は同年1月に、楽天でんきは6月に上限を撤廃しています。

燃料費調整額の今後の見通しは?

燃料費調整額の今後の見通しは?
燃料費調整額が上昇し始めたのは、2021年10月からです。2021年9月までは、燃料を比較的安く輸入できていたのでマイナス調整が入っていました。

しかしLNG(天然ガス)の高騰により、燃料費調整額が値上がりするようになったのです。

では、今度の燃料費調整額はどうなるのでしょうか。

燃料費調整額は今後も高騰する見通し

燃料費調整額は火力発電が行われる限り発生し続けます。そのため、今後も燃料費調整額は値上がりが続くでしょう。

日本は火力発電の燃料となるLNGや石炭などを海外からの輸入に頼っています。輸入元であるロシアはLNG資源を豊富に有しており、2021年時点で日本はLNGの輸入量の8.8%、石炭は11%をロシアに依存しています。

2022年になるとロシアのウクライナ問題により、ロシアへの経済制裁のため禁輸を行ったことなどにより輸入量が大幅に減少しました。禁輸を行うのは日本だけではありません。EUをはじめとするいくつもの国で同様の措置が起こりました。各国が限られた資源の奪い合いになってしまうと今後も燃料費調整額は高騰するでしょう。

再エネや省エネが大切

毎月の燃料費調整額自体は小さくても、全体を通してみれば大きな出費になります。「燃料費調整額をなるべく下げたい」と思う方もいるでしょう。

しかし、燃料費調整額だけを減らすことはできません。家計への負担を減らすなら、化石燃料による電力使用料を減らす必要があります。

そのためには3つの方法があります。

  • 料金プランの見直し
  • 省エネを心がける
  • 再生可能エネルギーに切り替える

各電力会社は、定期的に新しいプランを作ります。長年プランの変更を行っていないのなら、この機会に一度見直してみてはいかがでしょうか。

再生可能エネルギーは地球にやさしい電力です。電力プランを、再生可能エネルギーを供給するプランに変えることもできますし、太陽光発電設備を自宅の屋根に取り付ければ再生可能エネルギーの自家発電も可能です。温室効果ガスの排出量削減にもつながるため、メリットは多いと言えます。

まとめ

電力量単価や燃料費調整額、再生可能エネルギー発電促進賦課金が上昇しており、今後も電気料金の高騰が予想されます。

請求金額を見て「高い」と思うのではなく、どういった内訳なのか、この項目は何のためにあるのか、を理解することで、どこをどう削減すれば良いのかが分かりやすくなります。

この機会に、検針票(電気ご使用量のお知らせ)をしっかり読んでみてはいかがでしょうか。

この記事は九州の太陽光発電N0.1のゆめソーラーが執筆