太陽光パネル
固定価格買取制度(通称FIT法)は、太陽光発電などの再生可能エネルギーの普及の一環として、発電した電力を電力会社が一定期間「固定の価格」で買取ることを義務づけた法律です。

平成24年7月1日にスタートしたFIT法は、再生可能エネルギー導入の更なる促進と電灯契約を結ぶすべての利用者の費用負担の軽減を目的として、平成29年4月に改正が行われました。

今回はこの法改正が発電事業者に及ぼす影響をご説明します。

認定制度も大きく変わる!

従来は設備に関する基準を満たせば認定の取得が可能でした。
FIT法の改正後は、事業そのものに関する下記9項目の要件が新たに加わりました。

事業の適切性

  • 適切な保守・点検体制を事業計画に織り込み、発電量維持に努めること
  • 適切な発電事業を行い系統の安定化を図ること
  • 設備更新や廃棄の場合は不要設備を適切に処分すること
  • 費用や発電量を定期的に報告すること

事業実施の確実性

  • 接続契約の締結が認定前に必要(後から接続契約書を出せば、接続契約前でも認定申請自体は可能)
  • 土地を法令に準じて適切に用いること
  • 運転開始の期限を新たに設ける

発電設備の適切性

  • 法令に準じ発電設備の安全性を確保すること
  • 設備の責任の所在を明確にするため、事業者名や事業内容を明記した標識を設置場所に掲示すること

すでに受けている認定が取り消されることも

×の旗
旧制度において認定済でなおかつ、一定の条件を満たす人を「みなし認定案件」と呼び、新認定を受けたものとして扱います。
取得時期が平成28年6月30日以前の場合は、平成29年4月1日時点で接続契約が締結され、平成29年9月30日までに事業計画を提出すれば新認定を受けたものとみなされました。

また、平成28年7月1日から、平成29年3月31日までに認定を取得した場合は、猶予期間が認められます。その場合、認定取得から9か月以内に接続契約を締結し、その6か月以内に事業計画を提出すればみなし認定となります。

所定の期限を過ぎても契約の締結がない場合、旧制度で受けた認定は失効します。

電力の買い取り先が変わる!

これまでは再生可能エネルギーで発電した電力は、小売電気事業者が買取り義務を負っていました。

FIT法改正により電力の買い取り先が送配電事業者となり買取・接続義務ともに一本化されます。これは広範囲における電気の融通をスムーズにし、再生可能エネルギーの受け入れを増やすためです。

また、買い取った電力は電力小売事業者に供給することが義務付けられています。これらは平成29年4月1日契約分から適用され、それ以降は送配電事業者による買取となります。

また、地産地消のように、電力取引市場を介さずFIT発電事業者と小売りとの間に個別の契約を締結することは引き続き可能です。
その際はFIT発電事業者から買い取った電気という旨を明示しなくてはなりません。

買い取り価格の決定方法も変わる!

FIT法改正により、買取価格の決定方法も大きく変わりました。
ここで買取価格に関する変更点について解説していきます。

事業用大規模太陽光発電の入札制を導入!

再生可能エネルギーイメージ
法改正によって、2MW以上の太陽光発電事業を対象として買取価格の入札制度が導入されました。
この背景には売電制度による国民負担が増大しているという事情があります。

そもそも売電収入は、電気を使う人全員で負担している「再エネ賦課金」が財源です。

ところが近年、太陽光発電システムの普及に伴って国民の負担が重くなってきました。そこで事業者同士の競争による買取単価の引き下げを促す狙いのもと入札制度が始まりました。

入札から落札までは、おおむね以下のような流れで行われます。

まず発電事業者が1kWh(キロワットアワー)あたりの希望買取価格と設備の発電出力の札を入れます。その中から買取価格の安い順に落札者を決定しそれを政府の募集する容量に達するまで行います。落札者のみが設備認定を受けられるため、他の事業者よりも安い価格で入札する必要があります。

そのため入札制度で競争による買取価格の値下げが起きるという見通しです。入札はそれぞれの地域ごとではなく全国一律で年間に1回から3回ほど行われます。

数年後の買い取り価格まで一括して示す

政府は平成31年を目途に、買取価格を家庭用の電気料金と同等まで低減することを目指しています。
今回の法改正で10kW未満の太陽光発電システムに対し買取価格低減に向けたスケジュールを予め提示するようになりました。

また、そのほかの再生可能エネルギーについては数年後までの買取価格をまとめて発表する方針です。

比較的リードタイムの長いエネルギーに対して見通しを立てやすくする狙いです。リードタイムとは、発電事業検討開始から稼働開始までの時間を言い、風力や水力は太陽光に比べて長期間を要します。そのため事業化の判断を容易にするために先々の単価をあらかじめ決めます。

買取価格はエネルギーの種類や容量に応じて決められています。

例えば住宅用太陽光発電の場合は平成29年度~平成31年度までの3年間で毎年2円ずつ下げていく予定となっています。これは、売電を目的とした導入から自家消費型へのシフトを促進する狙いです。

実際に発電コストの低減によって買電よりもお得に電気が作れる時代が近づいています。

検討前に制度面をチェック

売電して収益を上げるには今回の改正も含めて売電に関わる諸制度を正しく理解することが不可欠です。

また検討の際は専門業者に相談してアドバイスを仰ぐことも大切です。

平成29年4月のFIT法改正以降、太陽光に関する諸制度が大きく変わりました。設備認定申請をはじめ、売電を無事スタートするためにはいくつかの手続きを要します。そうした手続きをつつがなくクリアするために、売電に関係する制度面にも目を向けましょう。

また、経産省への申請や電力会社への申し込みを代行してくれる販売店もあります。ご検討の際はそうした販売店に相談をしてみることもおすすめします。