執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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「ゼロエミッション」という言葉を聞いたことがありますか?
ゼロエミッションとは「排出をゼロにすること」、つまり廃棄物を出さないシステムのことです。
企業や政府の取り組みにおいて少しずつ聞く機会が増えた言葉ですが、ゼロエミッションって何だろう?と思われる方もいるのではないでしょうか。
今回はゼロエミッションの意味や目的、国や企業の取り組みについて紹介します。
目次
ゼロエミッションは、エミッションをゼロにすることです。エミッションは日本語で「排出」「排気」「排出物」などと訳されます。
排出物とは、私たちの生活において排出されるもの、つまり「廃棄物」のことを示します。
日本では廃棄物ゼロ以外に、温室効果ガス(二酸化炭素)排出量ゼロという意味で使われることがあります。
ゼロエミッションは1994年、国際連合大学によって提唱されました。これは1992年、ブラジルのリオデジャネイロで開かれた国連地球サミットで「アジェンダ21」が採択されたことがきっかけです。
ゼロエミッションの目的は廃棄物のない世界を目指すことです。廃棄物を無くすことで地球温暖化の抑制や環境保護につながります。
地球温暖化の抑制や廃棄物をゼロにするためには製造過程だけでは解決できません。社会・経済システム全体の資源を循環させることが重要とされています。
2019年にイギリスのリスク分析会社「Verisk Maplecroft」が発表したデータによると、世界全体では毎年21億トンもの廃棄物が出ています。そのうちリサイクルされている廃棄物は、たった16%。残りの84%(約17.5億トン)は燃やしたり埋め立てられたり、もしくは海に流れ出たりしているのです。
このような問題を解決するため「ゼロエミッション」が生まれました。
ゼロエミッションを達成するために取り組んでいる国は日本だけではありません。
例えば、イギリスは2020年11月に2050年までのゼロエミッション達成を目標とした「10-POINT PLAN」を発表しました。
新政策である「10-POINT PLAN」は洋上風力発電の導入拡大やゼロエミッション航空輸送とクリーンな海上輸送の開発促進など、10項目から構成されています。また、イギリスでは2030年にガソリン・ディーゼル車の新車販売を終了すると表明しました。
こうした動きは、先進国を中心にさまざまな国で行われています。
世界中で取り組まれているゼロエミッションですが、いくつかの課題があります。
まずは二酸化炭素の排出です。今の技術や設備では、廃棄物のリサイクル時には必ずエネルギーが必要になります。資源の加工や輸送時にも二酸化炭素の排出は避けられません。
再生可能エネルギー設備やEVトラックの導入なども進められていますが、社会に広く浸透するには課題が残っています。
また、一企業としてみても、自社内でゼロエミッションを達成するためには時間も費用もかかるため、中小企業などでは対応しきれない場合もあります。
社会全体で廃棄物をゼロにするためには、国と企業の連携や業種を超えた協力が必要です。
では次に、日本のゼロエミッション実現のための取り組みをみていきましょう。
「エコタウン事業」とは、1997年度に日本政府が創設した制度です。ゼロエミッションを環境調和型経済社会形成のための基本構想に位置付け、地域振興の基軸とすることで先進的なまちづくりを行うことが目的とされています。
地方公共団体は、最初にそれぞれの地域が特性を活かした「エコタウンプラン(環境と調和したまちづくり計画)」を作成します。そしてプランの基本光栄や具体的な事業、独創性などが認められ、かつ他の地域のモデルとなる場合に承認されます。
制度が始まった1997年度から2005年度までに、エコタウンとして26地域が承認されています。
承認されると、プランに基づいて行われる事業への総合的・多面的な支援を日本政府から受けることができます。
東京都は2019年5月に「東京ゼロエミッション」の実現を宣言しました。
東京ゼロエミッションとは、2050年に二酸化炭素排出量を実質ゼロにするための政策です。東京都の特性を踏まえて重点的に取り組む以下6つの分野と、各分野における具体的な14の政策から構成されています。
また東京都では、一般消費者向けに「東京ゼロエミポイント」サービスを開始しました。設置済みのエアコンや冷蔵庫などの家電を、省エネ性能の高いものに買い替えた人は、省エネ性能に応じて東京ゼロエミポイントが受け取れます。ポイントは点数によって商品券やLED引換券と交換可能です。
「ゼロエミ・チャレンジ」は経済産業省による取り組みで、ゼロエミッションに取り組む企業を「ゼロエミ・チャレンジ企業」と位置付けるものです。
2016年に発効されたパリ協定を受けて、日本政府は2020年1月に「革新的環境イノベーション戦略」を策定。この戦略を実現するために設置された「グリーンイノベーション戦略推進会議」の第一回会議で「ゼロエミ・チャレンジ」の概要が発表されました。
2021年10月に開催されたTCFDサミット2021では、上場・非上場企業をあわせた約600社が発表されました。
「ゼロエミ・チャレンジ企業」は、投資家へのESG訴求や他企業や政府との協働がしやすくなるなどのメリットがあります。
最後に、ゼロエミッション実現に取り組む企業事例を3社ほどみていきましょう。
自動車メーカーの日産では、ゼロエミッション実現に向けたさまざまな取り組みを行っています。
V2Bなどの機器を使用することで、 災害時にEVを非常用電源として使うことができます。V2HによりEVは防災対策としても活用する人は増えています。なお、ゆめソーラーも日産と協働しV2Hの普及に努めております。
関連記事:V2H 充放電システムー電気自動車と自宅をつなぐV2H 充放電システムのススメー
2020年度の二酸化炭素排出量のうち、運輸部門が占める割合は17.7%でした。これは産業部門に続いて2番目に多い量です。自動車分野は、ゼロエミッションに向けた早急な対応が必要とされており、その中で日産は「ゼロ・エミッション車でリーダーになる」ことを掲げています。
中部電力ではゼロエミチャレンジ2050に取り組んでいます。
ゼロエミチャレンジ2050は、2030年と2050年で段階的な目標を設定し、エネルギーインフラでの脱炭素と安全・安定・効率的なエネルギー供給の達成を目指すものです。
中部電力では、再生可能エネルギーの最大限の活用とあわせて水素燃料の活用やカーボンリサイクルなどにも取り組んでいます。
全国に約15,000店舗を持つコンビニエンスストア「ローソン」でも、ゼロエミッション実現に向けた積極的な取り組みが行われています。
ローソンでは、全国各地に太陽光発電システムやノンフロン(CO2冷媒)冷凍・冷蔵システムなどの設備を備えた環境配慮モデル店舗をオープンしています。ノンフロン(CO2冷媒)冷凍・冷蔵システムは、温室効果のあるフロン類を使用しない自然冷媒の要冷蔵機で、省エネルギー性に優れているとされています。
また2019年8月からは、納品期限の切れたオリジナルのお菓子や加工食品、日用品を一般社団法人全国フードバンク推進協議会に寄贈しています。この取り組みにより、食品ロス削減だけでなく子供の貧困問題にも貢献。2021年度には約240万個の商品が家庭に届けられました。
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