執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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1997年、再生可能エネルギーは京都議定書が制定されたころから世界で導入が始まりました。持続可能な社会の実現に向けて、近年ではその取り組みが活発になっています。
再生可能エネルギーの積極的な導入は欧米だけでなく日本も同じです。日本でも「新エネルギー法」が成立、2002年には新エネルギーを利用することを電気事業者に義務付けています。
1997年から約25年が経った今、日本の再生可能エネルギー普及率はどのようになったのでしょうか?
今回は、再生可能エネルギーの概要や日本の取り組み状況、課題などを解説します。
目次
再生可能エネルギーとは太陽光や風など、自然界に常に存在するエネルギーのこと。石油や天然ガスなどの有限な資源エネルギーとは違い、エネルギーが枯渇せず繰り返し利用でき二酸化炭素を排出しないことが特徴です。
再生可能エネルギーの発電は自然の力によって行われます。現時点での主要な再生可能エネルギーを一覧にしました。
太陽光発電 | 太陽の光エネルギーを太陽電池を使って直接電気に変換 |
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風力発電 | 風で風車を回し、その回転運動を発電機を通して電気に変換 |
バイオマス発電 | 動植物などから生まれた生物資源を燃焼したりガス化して発電 |
水力発電 | 河川の高低差を利用し、水車を回して発電 |
地熱発電 | 地熱エネルギーを蒸気や熱水で取り出し、タービンを回して発電 |
他にも太陽熱利用や温度差熱利用、地中熱利用などさまざまな再生可能エネルギーがあります。
再生可能エネルギーが必要とされる理由は「持続可能な社会の実現」にあります。
持続可能な社会とは「自然やすべての人・動物が暮らし続けられる社会」を指します。人類は発展するために資源を使ってエネルギーを発生させ、大気中に大量の温室効果ガスを発生させました。
温室効果ガスの発生により、地球の気温は徐々に上昇しています。そして今、地球温暖化は危機的な状況を迎えています。2021年8月、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、現在の地球温暖化レベルを“人類にとっての非常事態”と報告しました。
このままの状況が続けば、人類は今のように暮らせなくなってしまうでしょう。
石油や石炭などの化石燃料は燃やす際に二酸化炭素を発生しますが、再生可能エネルギーなら二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しません。そのため、再生可能エネルギーは「2050年カーボンニュートラル」の実現にも必要不可欠と言えます。
「2050年カーボンニュートラル」とは、2050年までに温室効果ガスの全体的な排出をゼロにすること。日本政府は2020年10月に「2050年カーボンニュートラル」を目指すことを宣言しています。
2021年4月時点では、125ヵ国・1地域が「2050年カーボンニュートラル」の実現を表明しています。表明した国や地域は、段階的な目標数値を決めており、それに合わせた取り組みを行っています。
※関連記事:世界中で進められている「脱炭素」をわかりやすく解説します
1997年に「新エネルギー法」が成立して以降、日本では再生可能エネルギーが積極的に取り入れられてきました。
新エネルギー法の正式名称は「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」です。資源の制約や環境負荷の少ない再生可能エネルギーの開発や導入の促進が目的でした。
現在の日本における再生可能エネルギーの普及率はどのくらいなのでしょうか?
環境エネルギー政策研究所の調査によると、2020年度の国内の年間発電量のうち再生可能エネルギーによる発電は全体の21.1%でした。
再生可能エネルギーが占める割合は、2012年度ごろまでは約10%でした。しかしFIT制度によって再生可能エネルギー導入が後押しされたため、ここ10年ほどで大幅に上昇しています。
再生可能エネルギーの割合は、ここ数年増加傾向にあります。それにともない、国内のエネルギー自給率も上昇。しかし2019年度時点のエネルギー自給率は12.1%と低い状況です。
※参考:経済産業省 資源エネルギー庁「第1章 国内エネルギー動向」
近年で最も増加し、そして導入率が高い再生可能エネルギーは「太陽光発電」です。
日本の太陽光発電累計導入量は約7000万kWで、中国やアメリカに次いで世界で3番目に太陽光発電が普及しています。
日本で太陽光発電が普及しているのには2つの理由があります。
この2つの制度によって、国・自治体や企業だけでなく、家庭へ太陽光発電が普及しました。
※関連記事:FIT法改正でどう変わる?
日本における再生可能エネルギーの普及は徐々に広まっていますが、持続可能な社会や2050年ゼロカーボンシティを目指すためにはさらなる努力が必要です。
再生可能エネルギーの普及の妨げになっている問題には、主に3つの問題が挙げられます。
まず、再生可能エネルギーの課題として「安定的な供給が難しい」点が挙げられます。
再生可能エネルギーは太陽光や風など、自然の力によって発電量が異なります。太陽光なら、梅雨の季節や晴れの少ない地域では発電量は減少するでしょう。それは風も同じです。
現時点では、再生可能エネルギーが不足した場合の調整電源として火力・揚水発電に依存しています。
安定供給の課題を解決するには、調整電力の脱炭素化や必要な調整力の量を確保することが求められます。
「送電網の設備不足」も課題の一つです。
例えば、再生可能エネルギーの発電にはある程度の広さの土地が必要で、北海道や山間部では再生可能エネルギーの積極的な発電が行われています。しかし東京のような人が密集した地域には、発電するための十分な土地がありません。
もし日本中で再生可能エネルギーを普及させるとしたら、電力が不足した際に北海道から東京に電気を送る設備が必要になります。しかし、現時点でそのような設備は実現できていません。
3つ目の理由は「発電コストが高い」こと。諸外国と比べて、日本の発電コストはまだまだ高いことが問題とされています。
非住宅向け太陽光システムを日本と欧州で比較すると、費用は約2倍。環境に良くても、費用が高いとなかなか広まりません。
費用が高いのは、地震や台風などの災害多発国であり耐久性の高い設備が求められることや発電機器の流通構造などが非効率である点などが理由とされています。
※参考:経済産業省 資源エネルギー庁「資源エネルギー庁がお答えします!~再エネについてよくある3つの質問」
海外では化石燃料を使った発電と同程度の金額で、再生可能エネルギーが導入され始めています。日本では徐々にコストが下がっていますが、さらなる努力が必要といえるでしょう。
ここまで、再生可能エネルギーの現状を見てきました。日本も再生可能エネルギーの導入に向けてさまざまな取り組みを行っていますが、普及率は十分とは言えません。
最後に、日本が再生可能エネルギーを普及させるために定めている目標や新たな制度をご紹介します。
日本政府は「2050年カーボンニュートラル」を実現するために、2021年10月に「第6次エネルギー基本計画」を発表しました。
「エネルギー基本計画」とは、政府によるエネルギーに関する政策の方向性を示すものです。2018年に第5次エネルギー基本計画が策定されていますが、その後のエネルギー情勢や課題を踏まえて2021年に更新が行われました。
再生可能エネルギーの比率は前回の計画では22〜24%でしたが、今回の見直しで36〜38%に引き上げられました。原子力発電は引き続き20〜22%を維持します。
※参考:経済産業省 資源エネルギー庁「2050年カーボンニュートラルを目指す 日本の新たな「エネルギー基本計画」」
従来のFIT制度では、再生可能エネルギーの発電所から作られた電気を電力会社がすべて買い取ります。価格は国が毎年定め、一定期間は同じ金額で買い取られます。
買い取る際のお金は「再エネ発電賦課金」として電気を使うすべての人から徴収されていました。しかし年々、再エネ発電賦課金が上がり国民の負担は拡大。そこでできたのがFIP制度です。
FIP制度の目的は、再生可能エネルギーを電力市場に統合させ、完全自由競争にすること。FIP制度では価格が市場に応じて毎月変動します。再生可能エネルギーで発電された電力にはプレミアム額がプラスされ、再生可能エネルギー発電業者へは市場価格にプレミアム額を足した金額が支払われます。
FIP制度の開始により、市場競争の促進が期待できるでしょう。
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