執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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「環境問題」と聞いて、みなさまは何を思い浮かべますか?環境問題の種類には、地球温暖化や気候変動だけでなく、砂漠化や酸性雨などさまざまな問題があります。
環境問題の中には、日本で起きていない問題もあるため「どこか遠い国の出来事」だと捉えられてしまう事もあるでしょう。しかし、環境問題はすべてつながっています。世界のどこかで起きている問題はいずれ日本にも影響を及ぼすのです。
今回は世界で起きている環境問題とそれらが日本にもたらす影響を解説します。
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目次
世界で問題とされている環境問題を8つ紹介します。
そしてそれぞれの問題が日本にどのような影響を与えているのか、あわせて紹介します。
「地球温暖化」とは地球の平均気温が上昇する現象です。地球温暖化の原因には、自然のサイクルで起きる場合と人間の活動によるものがあります。しかしIPCC(気候変動に関する政府間パネル)は2021年、「人間が温暖化を促進させてきたことは疑う余地がない」と発表しています。
すでに起きている問題には豪雨の発生や猛暑日の増加などがあり、この問題は日本でも報告されています。後述する気候変動も地球温暖化によるものです。
地球温暖化の抑制には、温室効果ガスの排出量を下げることがもっとも効果的とされています。
「気候変動」とは気温や気象パターンの長期的な変化を指します。
気候変動の原因はさまざまですが、主に人間の活動による温室効果ガスの排出が原因です。人間の活動による温室効果ガスは、本来宇宙に出ていくはずの熱を大気圏内に残します。その結果、地球全体の温度が上がり(地球温暖化)、気候変動を引き起こします。
今までに確認されている影響は、過去最大規模の豪雨や大型台風、干ばつ、大規模火災などです。日本でも最高気温の上昇が見られますが、その上昇スピードは世界よりも速いとされています。また真夏日・猛暑日も増えており、熱中症患者が年々増加しています。
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人間が出したゴミや排水により、海が汚染される「海洋汚染」。海洋生物の減少や汚染された魚を人間が食べることによる人体汚染などが問題とされています。
海洋汚染にはさまざまな原因がありますが、そのほとんどがプラスチックゴミによるものです。プラスチックは便利さと手軽さから私たちの生活に必要不可欠な存在です。
しかしプラスチックは自然界で分解されないため、いつまでも残り続けます。海に流れ出したプラスチックゴミを誤って飲み込んだり絡まったりして、海の生物が苦しんでいるのです。
今のまま対策がなされないと、2050年には海の魚の量よりプラスチックゴミの方が多くなるとも言われています。海産物が豊富な日本でも、いつか魚が食べられなくなる日が来るかもしれません。
WWF(世界自然保護基金)が行った調査「Living Planet Report (生きている地球レポート)」で、1970〜2016年の間に「生きている地球指数(LPI)」(哺乳類、鳥類、爬虫類、両生類、魚類の個体群)が平均68%低下したことが分かりました。
生物多様性の減少には、4つの危機があります。
上記の危機を受け、日本の野生動植物のうち約3割は絶滅の危機に瀕しています。生態系を守るためには、環境に配慮した製品の選択や温室効果ガスの削減が大切です。
参考:WWF「生きている地球レポート2020〜生物多様性の減少から回復へ〜」
世界では「砂漠化」が進んでいる地域があります。その要因は気候変動や水不足による気候的要因以外に、農地や放牧地の拡大、都市開発など人間の活動によるものも多いです。
砂漠化が進んでいるのは、アフリカやアジアなどの乾燥地域。砂漠化が進むと土地が脆弱になりますが、その地域に住む人が農業や生活をすることで土地の劣化がさらに進みます。
日本は食料やエネルギーのほとんどを海外輸入に頼っているため、砂漠化が進むとアフリカやアジアからの輸入に影響が出る可能性があります。また、毎年問題になる黄砂はゴビ砂漠やタクラマカン砂漠で発生したものが飛来して発生します。砂漠化によって黄砂の被害拡大も考えられます。
「2015年以降、毎年約10万㎢もの天然林が失われている」と国連は報告しています。これは、1週間で東京都と同じ広さの林がなくなっていることと同じです。
森林の中でも、とくに熱帯林の減少は地球環境に大きな影響を与えます。熱帯林は多くの炭素を貯蔵しています。熱帯林の減少は貯蔵庫としての機能を失うだけでなく、熱帯林に住む多くの生物の住処を奪い、生物多様性の減少に繋がるのです。
日本が輸入している木材や紙・パルプの原料も、世界の森林から伐採されたもの。このまま森林破壊が続けば、気候変動や地球温暖化に影響を及ぼすでしょう。
参考:国際連合食糧農業機関「世界森林資源評価 2020 (FRA 2020)の主な調査結果」
干ばつや集中豪雨、異常な寒さや暑さがあると、作物は十分に育たなくなります。とくに干ばつは農業に置いて非常に深刻な自然災害とされ、世界の農畜産物の生産被害のうち8割は干ばつによるものとされています。
参考:公益社団法人 国際農林業協働協会「世界の食糧安全保障と栄養の現状外部」
2021年の夏、北海道では過去にない干ばつによる被害が発生し、農作物が枯れたり飼料作物の収穫量が減ったりと、多くの人々を苦しめました。また猛暑により畜産にも影響が出ました。日本もすでに影響を受けています。
異常気象により収穫量減少などの被害が増えていますが、世界の人口も増え続けています。さらに先進国などを中心とした食品ロスも問題となっており、今後食料が大幅に不足する事態が予想されています。
「酸性雨」とは、大気中の汚染物質が紫外線により酸性物質となり雨に含まれて降ってくる現象です。石油や石炭の燃焼による排ガスが主な原因とされ、日本では1970年代から被害の報告が増えました。
近年、酸性雨の被害が多いのは東南アジアなど工業化が進む発展途上国です。また酸性物質は数千キロ離れた場所にも運ばれるため、隣国や近隣地域でも被害が出る可能性もあります。
酸性雨の対策としては、原因となる二酸化硫黄や窒素酸化物を減らすことが挙げられます。これらの物質を減らすためには、再生可能エネルギーへの切り替えや電気自動車・ハイブリッドカーへの切り替えが有効です。
環境問題は「世界のどこかで起きている問題」ではありません。どの問題もさまざまな形で日本に影響を及ぼしているのです。
環境問題を解決し、地球を守るため、日本では以下のような取り組みが行われています。
「パリ協定」とは、2020年以降の環境問題に対する国際的な枠組みのこと。1997年に締結された「京都議定書」の後継として2015年に採択され、気候変動枠組条約に加盟する日本を含む全196カ国が参加しました。
パリ協定では2つの長期目標を定めています。
2つ目の目標は先ほど紹介した「カーボンニュートラル」にもつながる重要な概念です。
2020年、日本政府は「脱炭素(カーボンニュートラル)の実現」を宣言しました。
脱炭素(カーボンニュートラル)とは二酸化炭素の排出を全体としてゼロにすることです。実際は二酸化炭素を完全にゼロにはできないので、出てしまった二酸化炭素を後から回収して「実質ゼロにする」ことを指します。
日本だけでなく世界中の国や地域が「2050年カーボンニュートラル」を目標に、さまざまな取り組みを行っています。
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環境問題の解決や「2050年カーボンニュートラル」の達成に必要不可欠なのが、再生可能エネルギーの導入です。
日本政府は2021年7月「2030年までに総発電量の36〜38%を再エネにする」という目標を発表。しかし現在も発電のほとんどを化石燃料に頼っていることから、急速な対応が求められています。
再生エネルギーには水力や風力、地熱などさまざまな発電方法がありますが、日本が最も注力しているのは太陽光発電です。日本の太陽光発電導入量は世界でもトップクラス。設備導入のコストは徐々に下がっており、防災対策としても活用できることから、家庭での導入も増えています。
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この記事では環境問題の種類や原因、日本への影響を解説しました。
「環境問題」と一口に言っても、種類や被害はさまざまです。また原因は複雑に絡み合っており、たとえば温室効果ガスの削減だけでは環境問題の解決にはなりません。
「環境問題を解決しないと」と不安に思うだけでなく、まずは起きている環境問題を把握し、原因を理解することから始めましょう。
環境問題は国や企業だけの力では解決できません。なぜなら最終的に行動するのは私たち個人だからです。自分ができることは何か、身近なものから考えてみましょう。
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