周波数低下リレー(UFR)とは?仕組みや周波数の重要性を解説

2024.11.13

「周波数低下リレー(UFR)」という言葉をご存知ですか?

周波数低下リレー(UFR)とは、周波数の大きな変動を避けるためのシステムです。2021年や2022年には、福島県や宮城県で発生した地震により周波数低下リレーが作動し、東京を中心とした広い地域で停電が発生しています。

今回は、周波数低下リレー(UFR)の仕組みや過去事例などを解説します。周波数低下リレー(UFR)についての対策も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

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目次

周波数低下リレー(UFR)とは?

周波数低下リレー(UFR)とは?


「周波数低下リレー」というシステムは、以前から使用されてしました。近年、東京電力によるX(旧Twitter)での情報発信や資源エネルギー庁による説明において、「周波数低下リレー」という名前を耳にする機会が増えています。

周波数低下リレーは英語で「Under Frequency Relay」と表記され、頭文字を取ってUFRと呼ばれることもあります。

周波数の乱れによる負荷を遮断するシステム

周波数低下リレーを簡単に説明すると「周波数の乱れによる負荷を遮断するシステム」です。

日常で使われる電気は、常に需要(使用する側)と供給(発電する側)のバランスが取れた状態にあります。バランスの良い状態というのは周波数が一定の状態を示します。電気の需要が増えると電力会社は発電量を増やし、逆に減ると発電量を減らしてバランスを整えます。

しかし地震などにより発電所がストップすると、停止しなかった発電機への急な負荷がかかってしまい、最悪の場合は連鎖的な大規模停電を引き起こします。

このような大規模停電を防ぐため「需要を強制的に切り離すことで、供給の不足分とバランスを取る」これが「周波数低下リレー(UFR)が作動した状態」です。

震源地から離れている地域でも、周波数低下リレーが作動すると停電が発生します。その原因は東北電力と東京電力の周波数が同じだからです。そのため直接的な地震の被害がない地域でも、複数の場所で停電が起きるのです。

周波数が乱れると大規模停電(ブラックアウト)が起きる

周波数の乱れにより、大規模停電(ブラックアウト)が起きてしまった事例があります。

2018年9月6日(木)に北海道で起きた地震では、北海道全域が停電する大規模停電(ブラックアウト)が発生しました。震度7という大きな地震が発生したあと、 北海道内の火力発電所だけでなく風力発電所、水力発電所も停止。これにより北海道内の電気供給量が減ったことで周波数の低下、そして大規模停電につながったと言われています。

この地震により最大約295万戸が停電。大規模停電の解消には約11時間、99%の解消には約50時間(2日以上)かかりました。これだけの規模の大規模停電は日本初で、新聞やニュースで大きく報じられました。

このような大規模停電を防ぐために周波数低下リレー(UFR)は重要なのです。

参照:経済産業省 資源エネルギー庁「日本初の“ブラックアウト”、その時一体何が起きたのか」

電力において周波数が大切な理由

電力において周波数が大切な理由


電力の需要と供給が一定であると周波数も一定になります。

日本には50Hzと60Hz、2種類の周波数があります。そしてそれぞれの周波数が一定に保たれている状態になってはじめて、私たちは電気が使えるのです。

なぜ周波数が一定に保たれる必要があるのでしょうか。周波数の基礎知識と大切な理由を見てみましょう。

周波数を一定に保つことは電気の質を維持することと同じ

周波数を保つ一番の理由は「電気の質を維持するために必要」だから。一定の周波数は電気の品質を保つために必要不可欠なのです。

家電などに使用される交流の電気は、電圧の高低を繰り返し波のように流れます。そして、この波が1秒間に何回起こるかを示したものが「周波数」です。

通常の電気は、需要と供給のバランスが取れていると50Hzもしくは60Hzに保たれます。しかし需要が供給を上回る(電力不足)と周波数は低下してしまいます。逆に、供給が需要を上回る(供給過多)になると周波数は上昇。これらが周波数の乱れに繋がるのです。

そして周波数が大きく乱れると大規模停電(ブラックアウト)が発生します。

参照:ほくでんネットワーク「電気の品質「周波数」を一定に保つために」

日本の周波数は50Hzと60Hz

日本の周波数は2種類あり、世界でも珍しいと言われています。

50Hzと60Hzの境界線は新潟県の糸魚川(いといがわ)と静岡県の富士川(ふじがわ)です。このラインを境に東側が50Hz、西側が60Hzに分かれています。

この違いの始まりは、日本で電気が使われるようになった明治時代。当時の日本は国内で発電機を製造しておらず、海外から輸入を行っていました。しかし東京ではドイツ製(50Hz)、大阪ではアメリカ製(60Hz)という異なる周波数の発電機を輸入。

その後、東京と大阪を中心に広がってしまったため、現在も50Hzと60Hzという周波数が使われているのです。

日本国内での周波数統一の動きは何度もありましたが、設備の総入れ替えが必要であるなどの理由から実現できていません。

周波数低下リレー(UFR)によって停電が起きた事例4選

周波数低下リレー(UFR)によって停電が起きた過去事例3つ


近年、周波数低下リレー(UFR)による停電が、ニュースなどで取り上げられる機会も増えました。しかし、数年前からUFRによる停電が発生していたのをご存知でしょうか。

ここでは、周波数低下リレー(UFR)による過去の停電を4つご紹介します。

  • 2018年9月6日 北海道全域での大規模停電
  • 2021年2月13日 東京電力・東北電力管内での停電
  • 2022年3月17日 東京電力管内における大規模停電
  • 2024年11月9日 四国4県で大規模な停電

2018年9月6日 北海道全域での大規模停電

2018年9月6日の深夜3時7分、北海道胆振地方中東部を震源とするマグニチュード6.7の地震が発生しました。

そして同日3時25分、北海道全域で大規模停電(ブラックアウト)が発生。

この地震では、地震発生直後に火力発電所だけでなく水力発電所や風力発電所も停止しました。火力発電所の停止だけで大規模停電となる可能性は低いですが、水力・火力発電による電力供給が停止したため、このような規模になったと考えられます。停電発生から約2日後に99.9%が復旧しました。

2021年2月13日 東京電力・東北電力管内での停電

2021年2月13日23時8分、福島県沖を震源とする震度6強の地震が発生。それにより東北エリアだけでなく東京エリアでも停電がおきました。

停電したのは、東北電力ネットワークと東京電力パワーグリット内で最大95万戸。

震源地から離れた東京で停電が起きたのは、周波数低下リレー(UFR)が原因です。東北電力ネットワークと東京電力パワーグリッドの周波数は同じであるため、震源地が同じエリア内であれば今回のような停電が発生したと考えられます。

東京エリアでは約3時間、東北エリアでは半日程度で復旧したと言われています。

2022年3月17日 東京電力管内での大停電

2022年3月にも周波数低下リレー(UFR)による大規模な停電が発生しています。

前日の3月16日23時36分、宮城・福島で震度6の地震が発生。翌日の3月17日午前0時19分ごろ、茨城県・栃木県・群馬県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・静岡県の1都8県で209万3710軒が停電しました。

停電は2時52分ごろには復旧しており、17日中にはすべての停電は解消されたと報告されています。周波数低下リレー(UFR)の作動により、大規模な障害を防ぐとともに復旧への素早い対応が行われた事例の1つです。

2024年11月9日 四国4県で大規模な停電

2024年11月9日 四国4県で周波数低下リレー(UFR)による大規模な停電が発生
引用:産経新聞 産経WEST「瀬戸大橋での送電線復旧作業、紀伊水道の送電線に影響か 四国の大規模停電」

直近では、2024年11月9日の20時22分頃、四国4県において、周波数低下リレー(UFR)による大規模な停電が発生しました。

原因は「関西電力送配電との調整ミスで供給力の急激な減少が起きた結果、四国内の需給バランスが崩れたため、周波数低下リレーが作動して一部の地域で送電を自動停止した」と言及されています。

今回の周波数低下リレーが作動するまでの流れは以下です。

  1. 11月9日の14時半頃から事故と作業停止中で瀬戸大橋に敷かれた送電線(四国と中国地方を結ぶ送電線)が使用不可となる
  2. この時間以降、紀伊水道の送電線(四国と関西方面を結ぶ送電線)のみで他エリアと電力を供給し合っている状態だった
  3. 作業停止中だった瀬戸大橋の送電線の復旧操作を行う
  4. 何らかの原因で、紀伊水道の送電線の本州(関西)向きの電気の流れが急増した
  5. 四国内の電力供給が不足した状態になる
  6. 周波数低下リレーが作動し、四国4県で停電が発生

最大で約36万5300戸余りが停電しましたが、約1時間半後の21時49分に復旧したようです。

四国電力送配電と関西電力送配電は、「ともに協力しながら詳細な調査を実施し、事前連携のあり方を検討する」など、再発防止に取り組む姿勢を公言しています。

参照:テレビ高知「四国の36万5000戸停電 “周波数低下リレー”作動か…」

周波数低下リレー(UFR)に備えて家庭でできる2つの対策

周波数低下リレー(UFR)に備えて家庭でできる2つの対策


周波数低下リレー(UFR)は、周波数の大幅な低下による発電機器の故障を防ぐためのシステムです。しかしそれにより一時的に停電が発生します。

数十分で復旧することもありますが、時間帯によっては電気がすぐに必要となる場合もありますよね。

このような場合に備えて、私たちにできることが2つあります。

  1. 節電を心がけて無駄な電力使用を避ける
  2. 家庭用蓄電池と太陽光発電で電力負荷を減らす

1.節電を心がけて無駄な電力使用を避ける

日頃から節電を心がけ、無駄な電力の使用を避けましょう。

電力ひっ迫時には需要を減らす努力が必要です。「需要ひっ迫警報」が発生された場合は、使用していない部屋の冷暖房や照明を消したり冷暖房の設定温度を適温にするなど、行動を国民が協力して行うことが大切です。

こまめに照明スイッチを切る、待機電力を削減するなど家庭でできる節電は数多くあります。ちなみに家庭の中でもっとも電力を消費するのは「冷蔵庫」と言われています。冷蔵庫の設定温度を変更するだけでも、節電効果があります。

その他、節電の取組みについては以下の記事をご参照ください。

2.家庭用蓄電池と太陽光発電で電力負荷を減らす

周波数低下リレー(UFR)による停電への備えとして、家庭用蓄電池と太陽光発電の導入で電力負荷を減らす方法があります。

太陽光発電で自宅の電力を補うことで、電力の需要量を減らせます。万が一、周波数低下リレー(UFR)が作動しても日が当たる日中であれば自立運転機能により自宅で発電した電力を使用できるため、生活するために最低限の電力をまかなうことはできるでしょう。

一方、家庭用蓄電池があれば、太陽光発電を自立運転機能に切り替える必要がなく、発電した電力をそのまま使える機器もあるため、停電時も普段通りの暮らしを続けることが可能になります。

また、日中に発電した電気を貯めておけるので、夜間の停電にも備えることができます。太陽光発電のみでは夜間に発電できないうえに電力を貯めることができないため注意しましょう。

このような背景から、最近では防災対策の一環として蓄電池を検討される方も増えています。やはり停電時や災害時に、普段通り電気が使えるだけで安心感が違いますよね。(ご家庭でできる防災対策については以下の記事をご参照ください。)

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まとめ

周波数低下リレー(UFR)は地震などで周波数に乱れが起きた際、発電機器の故障による大規模停電を防ぐためのシステムです。

周波数低下リレー(UFR)の仕組みや周波数を理解することで、停電の仕組みの一部が把握できるかと思います。いきなり停電すると驚くかもしれませんが、落ち着いて行動することが大切です。

また、周波数低下リレー(UFR)に備えて家庭でできることも紹介しました。日頃から節電し、太陽光発電や蓄電池を導入するなど家庭での電力使用量を減らすよう心がけましょう。

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執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

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