太陽光発電って地球温暖化に効果あるの?二酸化炭素の削減量から考えよう

いま、世界中で再生可能エネルギーの導入が進められています。

再生可能エネルギーは自然の力を活かした発電方式です。発電時に二酸化炭素を排出しないため脱炭素社会の実現、地球温暖化抑制の対策として注目を集めています。

再生可能エネルギーには風力発電や水力発電などいくつか種類がありますが、特に注目されているのが「太陽光発電」です。

今回は太陽光発電によりどれほどの二酸化炭素が削減できるのかご紹介します。太陽光発電が地球温暖化に効果があるのかを見ていきましょう。

目次

太陽光発電とは?

太陽光発電とは?
太陽光発電とは、太陽の光を使った再生可能エネルギー発電装置です。太陽光がシリコン半導体に当たった際に電気を発生する現象(光電効果)を利用しています。

ソーラーパネルが設置できれば発電可能であることから、住宅屋根や駐車場に設置すれば家庭でも再生可能エネルギーを利用できます。

日本で太陽電池が生産され始めたのは1955年から。1993年には日本で初めて家庭用の太陽光発電が設置されました。その後、太陽光発電の設置台数は徐々に増えています。

2023年12月時点での太陽光発電導入数は約7,070万kW。再生可能エネルギーのうち日本国内で最も普及しています。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁「調達価格等算定委員会」

太陽光発電は二酸化炭素をどのくらい削減する?

太陽光発電は二酸化炭素をどのくらい削減する?
太陽光発電は、化石燃料を使用しないため発電時に二酸化炭素を排出しません。

太陽光発電の製造や廃棄時に二酸化炭素を排出する

太陽光発電は発電時に二酸化炭素を排出しないクリーンな発電方法です。

しかし「太陽光発電は二酸化炭素を一切出さない」というのは少し違います。厳密に言うと、太陽光発電のシステムやソーラーパネルの製造や廃棄時には一定量のエネルギーが必要で、そのエネルギーは化石燃料依存の電源を使用するため、実質二酸化炭素を発生させています。

ただし太陽光発電を1〜2年稼働させれば、製造や廃棄時までの二酸化炭素排出量が実質ゼロになるとされています。これが「CO2ペイバックタイム」です。

「CO2ペイバックタイム」とは、太陽光発電システムの製造や廃棄時に発生した二酸化炭素量を、太陽光発電の発電により削減した二酸化炭素分で回収するまでの期間を表したものです。CO2ペイバックタイムが短いほど、地球温暖化の抑制に効果があることになります。

太陽光発電システムの推定稼働期間は約30年で、太陽光発電のCO2ペイバックタイムは1〜2年ほど。つまり1〜2年間、太陽光発電を稼働させれば、それ以降の二酸化炭素排出量はゼロということになります。

火力発電対比で電気使用量1kWhあたり約600g-CO2削減

太陽光発電は、火力発電と比較して電気使用量1kWhあたり約600g-CO2の削減効果があると言われています。

化石燃料を使った火力発電と太陽光発電の二酸化炭素排出量を比較してみましょう。
(太陽光発電システムの寿命は30年と想定して計算)

化石燃料を使用した火力発電の平均 約690g-CO2/kWh
太陽光発電の平均 約17~48g-CO2/kWh

参考:産総研 太陽光発電技術「太陽光発電の特徴1」

上記の表から、火力発電と太陽光発電における二酸化炭素排出量の差は約650〜670-CO2/kWhであることが分かります。太陽光発電の二酸化炭素排出量は、14倍分の1ほどでした。

住宅はもちろん、電気使用量の多い企業では大幅に二酸化炭素排出量を削減することができます。

二酸化炭素削減は地球温暖化対策に必要不可欠

二酸化炭素削減は地球温暖化対策に必要不可欠
太陽光発電は、火力発電よりも二酸化炭素の排出量が少ないことが分かりました。

このことから、使用する電気を火力発電から太陽光発電に切り替えることは地球のためになる選択だと言えるでしょう。

では二酸化炭素は地球温暖化にどのくらいの影響を与えているのでしょうか。ここからは、二酸化炭素と地球温暖化の関わりを改めて解説します。

温室効果ガスの90%を二酸化炭素が占める

日本から排出される温室効果ガスのうち、二酸化炭素は90%以上を占めています。

2020年度に排出された温室効果ガスの内訳を表にしました。
温室効果ガスの内訳

参考:環境省「2020年度温室効果ガス排出量(速報値)概要」 より作成

2020年度の温室効果ガス排出量は1,150百万トン、うち二酸化炭素は1,044百万トンです。2013年度と比較すると-20.8%、前年度比は−5.8%と徐々に減っているものの、依然として二酸化炭素の排出量は高い数値にあります。

排出される二酸化炭素のうちエネルギー転換部門が占める割合は40.4%と最も多く、エネルギー部門からの二酸化炭素排出量の削減が重要となっています。

地球温暖化は社会に大きな影響を与える

地球を囲む温室効果ガスの濃度が高くなると、太陽からの熱が宇宙へ排出されずに大気圏内に留まり続けます。これにより、地球温暖化は私たちの生活に大きな影響を与えます。国や地域によって受ける影響は異なりますが、主に以下のような影響がすでに発生、もしくは予想されています。

  • 猛暑日の増加
  • 海面上昇
  • 感染病の流行
  • 異常気象
  • 食料不足

猛暑日や平均気温の上昇は、日本でもすでに見られています。日本の平均気温は、1898年以降100年ごとに約1.2℃上昇しているとの報告があります。

2019年に環境省が公開した「2100年 未来の天気予報」では、8月の気温が東京では43.3度、名古屋が44.1度、そして北海道・札幌は40.5度となっています。

参考:環境省 COOL CHOICE「「2100年未来の天気予報」(新作版)を公開しました。」

二酸化炭素排出量を削減しないと、このような未来が現実になってしまうかもしれません。

世界は脱炭素を目指して動き出している

地球温暖化の進行を抑えるために、世界は脱炭素社会の実現(カーボンニュートラル)に向けて動き出しています。

日本でも市区町村が「脱炭素の実現」を宣言したり、企業が脱炭素社会の実現に向けた業務提携を行ったりするなど、取り組みへの動きは活発です。

再生可能エネルギーの導入が進められていますが、日本の化石燃料依存度は2018年時点でいまだ85.5%と高止まりの状態です。

参考:経済産業省 資源エネルギー庁「2020—日本が抱えているエネルギー問題(前編)」

日本が目標としている2030年度再生可能エネルギー電源構成36〜38%を達成するためには、さらなる努力が必要です。

関連記事:世界中で進められている「脱炭素」をわかりやすく解説します

二酸化炭素削減以外にもある太陽光発電の3つのメリット

二酸化炭素削減以外にもある太陽光発電のメリット
太陽光発電は二酸化炭素削減に効果的であることを説明してきました。
地球温暖化を抑制するために、一般家庭でも設置可能な太陽光発電は今後ますます導入が加速していくものと予想されます。

なお、地球温暖化防止を目的に太陽光発電を導入したいという意識を持った家庭は極わずかです。太陽光発電には二酸化炭素を削減する以外にも以下のようなメリットがあります。

  • 電気代が節約できる
  • 蓄電池と併せて使えば停電時も電気が利用可能
  • 夏は涼しく、冬は暖かい

太陽光発電には住宅用と非住宅用がありますが、今回は住宅用太陽光発電のメリットを説明します。

メリット1 電気代が節約できる

太陽光発電の1番のメリットは、電気代の節約です。

太陽光発電で発電した電力は、家電製品や照明に利用できます。電力会社から電気を購入する必要がないため、電気代を抑えられます。

太陽光発電システムの導入には初期費用がかかりますが、正しい条件で導入すれば電気代の削減効果と売電収入により設置費用は十分回収可能です。

メリット2 蓄電池と併せて使えば夜間や停電時も利用可能

太陽光発電は防災対策にもなります。

太陽光発電で発電された電力は貯めることができません。そのため夜間に太陽光発電の電力を使用できないというデメリットがあります。
日中の停電時は日が当たっていれば太陽光発電システムを自立運転モードにすることで、ある程度の電気を使うことはできます。

関連記事:突然の停電に備えよう!家庭できる5つの停電対策と太陽光発電

夜間であっても蓄電池があれば日中に発電した電力を貯めておき、利用することができます。近年は防災対策の観点からも自宅をより良いものにしたいというニーズが高まっており、太陽光発電と蓄電池の導入件数が増えています。

メリット3 夏は涼しく、冬は暖かい

ソーラーパネルを設置した屋根の直下にある部屋は、夏は涼しくなります。これは実験で証明されており、ソーラーパネルの有無により室温には2〜5℃の差が確認できました。

反対に、冬は暖かくなります。これはソーラーパネルが放射冷却を防ぎ、室内の温かさが保ちやすくなるからです。

快適な温度と室内の温度に差がなければ、その分冷暖房にかかる費用も削減できます。

こちらの記事では、太陽光発電の導入におけるメリット・デメリットを解説しています。詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

関連記事:2022年版、太陽光発電を導入するメリット・デメリットについて解説

まとめ

太陽光発電の二酸化炭素排出量は、火力発電と比べて約14分の1程度です。太陽光発電から火力発電に乗り換えることで、二酸化炭素の排出を大幅に削減することができます。

また二酸化炭素は地球温暖化ガスの中で最も割合が高く、二酸化炭素排出量の削減には早急な取り組みが必要です。

太陽光発電システムの製造や廃棄時には多少の二酸化炭素が排出されますが、流通拡大や技術の進歩が進めばCO2ペイバックタイムは更に短くなるでしょう。

また太陽光発電の導入は、電気代の節約や防災対策にも役立ちます。

この機会に、家庭用太陽光発電の導入を考えてみてはいかがでしょうか。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・熊本・佐賀の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。

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