太陽光発電も固定資産税はかかる?

2024.11.15

土地や家屋に固定資産税がかかることは、ご存知の人も多いと思います。

では、屋根に太陽光発電設備を設置した場合、新たに固定資産税はかかるのでしょうか?答えは、「設備の条件によって、かかる場合とかからない場合がある」です。

今回は、課税対象になる設備と非課税の設備の違いと、太陽光発電設備が課税対象となる場合の固定資産税の計算方法について解説します。

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目次

太陽光発電は固定資産税の対象?

新築住宅に太陽光発電を設置した場合はあまり気にならないかもしれませんが、既存住宅に太陽光発電を設置した場合、いきなり固定資産税が上がってしまう場合があります。

設置したあとで、固定資産税の増額に気付いても設備を変更することはできません。そうなる前に、課税対象の太陽光発電について知っておきましょう。

固定資産税とは?

固定資産税は、土地や家屋、償却資産に対して毎年かかる地方税です。購入後、土地や家屋が「自分のものになった」と思いがちですが、基本的に土地はすべて国のものであり、それに対する「使用権」として、税金を納めています。

また、土地や家屋には付随する行政サービスがあります。上下水道や環境整備、治安維持などさまざまな便益・サービスの対価として、固定資産税を納める必要があります。

太陽光発電設備も償却資産のため、資産の所有者である個人や法人は、償却資産の申告が必要です。太陽光発電は、償却資産として課税対象になる場合と、家屋として課税対象になる場合があります。

償却資産は、製造業や小売り、農業などを営んでいる個人や事業主、会社などの所有する事業用資産で、具体的には機械装置や運搬具、器具、備品などが対象です。原則、太陽光発電設備は、機械・装置に相当します。

「産業用太陽光発電」と「住宅用太陽光発電」の課税の違い

太陽光発電設備は、出力10kW未満の住宅用と出力10kW以上の産業用の2つに分けられます。

産業用太陽光発電設備の場合は、収益を得ることを目的とした事業用資産とみなされ、課税対象となります。

全量売電や余剰売電などの売電方法にかかわらず、10kW以上の設備はすべて事業用の資産となり課税対象です。

住宅用太陽光発電設備の場合、個人の利用を目的とする資産のため、基本的に非課税です。

ただし、住宅用でも出力が10kW以上の設備は産業用とみなされるため課税対象となり、全量売電の場合も「売電事業者」という扱いになるため償却資産の申告が必要です。

個人住宅でも、住宅の屋根や庭の空き地に10kW以上の設備を設置するケースも増えていますが、その場合も産業用となります。

個人所有の賃貸住宅の屋根に太陽光発電設備を設置した場合も、それは不動産賃貸事業の一部とみなされて課税対象となり、発電した電力をすべて入居者が使用していたとしても課税されます。

固定資産税の対象となる太陽光発電設備

住宅用太陽光発電設備についてさらに詳しく見ていきましょう。10kW未満の住宅用太陽光発電設備は基本的に課税されませんが、住宅の形態や太陽光発電設備の設置方法によっては課税される場合がありますので注意が必要です。

産業用とみなされれば、出力規模にかかわらず「課税」

10kW未満の住宅用設備は非課税ですが、それは一般家庭での電気利用が目的の場合であり、産業用とみなされる場合は出力規模にかかわらず課税対象となります。例えば、住居兼店舗として自宅でお店を営んでいる、または自宅の部屋を賃貸用として利用しているなどの場合、太陽光発電設備は産業用とみなされて課税されます。

設置形態により「課税」「非課税」のケース

住宅用設備で一般的な取り付け形態である架台に取り付ける方式は、設備の取り外しが可能であるため、固定資産税の対象とはなりません。

つまり、後付けタイプの太陽光発電は、非課税となる場合が多くなります。

固定資産税は文字通り、土地や家屋に「固定」された資産が対象です。

そのため、太陽光発電設備でも、屋根と一体型の太陽光設備を取り付ける場合、あるいは一体型太陽光発電設備の新築住宅を購入する場合などは、家屋として課税対象になるため固定資産税がかかります。

太陽光発電パネルと架台は屋根の一部とみなされるためです。

住宅メーカーが、「ソーラー住宅」「太陽光発電住宅」などとして売り出している住宅の美観を考慮しており、その場合の固定資産税額は、太陽光発電一体型によって、家屋の価値が通常の家屋より高いとみられ、固定資産税も高くなります。

庭などの空き地に設備を設置する場合は、10kW未満は非課税、10kW以上は課税対象です。

太陽光発電設備の減税特例

太陽光発電の固定資産税には、「再生可能エネルギー発電設備に係る課税標準の特例措置」という、税制上の優遇措置が設けられています。

課税標準の特例

課税標準の特例措置は、エネルギーの安全保障の強化や低炭素社会の創出、エネルギー関連産業の創出・雇用拡大の観点から、国が進めている制度です。平成24年度から実施されており、平成28年度に改正されました。現在の制度は、平成29年度までに取得した太陽光発電設備が対象です。

対象設備

平成28年4月1日から平成30年3月31日までに取得した太陽光発電設備が対象で、取得した設備のうち、一般財団法人環境共創イニシアチブによる「再生可能エネルギー事業者事業費補助金」を受けていることが条件です。
この補助金は、10kW以上の太陽光発電設備で、自家消費を目的とした設備が対象となります。補助金を受ける場合、小規模な複数の発電設備を組み合わせて導入するケースもありますが、その場合も出力合計が10kW以上であれば補助対象となります。

特例内容

該当設備は3年分の固定資産税に限り、設備の課税標準額が3分の2に減税されます。
制度の適用を受けるには、下記書類を設備所在地の各市区町村へ提出する必要があります。

  • 固定資産に関する課税標準の特例申請書
  • 「一般財団法人 環境共創イニシアチブ(略称:SII)」の発行する「再生可能エネルギー事業者支援事業補助金交付決定通知書」の写し

固定資産税の計算方法

固定資産税

太陽光発電設備が課税対象となる場合について、具体的な固定資産税の計算方法を解説します。

ここでは、10kWの太陽光発電設備を500万円で購入したと仮定して計算します。個人所有ですが、全量売電を行うため産業用とみなされ課税対象となります。

固定資産税の税率は課税評価額の1.4%、太陽光発電設備の法定耐用年数は17年となっています。

太陽光発電設備は償却資産のため、耐用年数をもとに減価率は決められ、毎年資産価値が減価します。

また、取得後3年間は固定資産税額を3分の2に減免される課税標準の特例が適用されます。

1年目

初年度の減価率0.064
購入額5,000,000円×(1-0.064)=課税評価額4,680,000円
4,680,000円×税率1.4%×2/3=43,680円
1年目の固定資産税額=43,680円

2年目

2年目以降の減価率0.127
4,680,000円×(1-0.127)=2年目の課税評価額4,085,640円
4,085,640円×税率1.4%×2/3=38,132円
2年目の固定資産税額=38,132円

3年目

4,085,640円×(1-0.127)=3年目の課税評価額3,566,763円
3,566,763円×税率1.4%×2/3=33,289円
3年目の固定資産税額=33,289円

固定資産税額の対象は導入前に確認!

太陽光発電設備を導入する場合、出力規模や設置形態によって、固定資産税の税額が変わります。

基本的には10kWが課税・非課税の分岐点となりますが、導入前に確認することが大切です。

太陽光発電の固定資産税に関しては、平成25年度まで課税評価額減額の特例措置が適用されていたため、固定資産税額は軽減されていました。

しかし、固定価格買取制度の見直しにより、太陽光発電の優遇措置は縮小されています。

太陽光発電設備を導入する前には、設置予定の設備が課税対象になるかどうかを、自治体に確認しましょう。

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まとめ

この記事では、課税対象になる設備と非課税の設備の違いや、太陽光発電設備が課税対象となる場合の固定資産税の計算方法について解説しました。

太陽光発電を設置する場合、出力規模や設置形態によって、固定資産税の税額が変わります。

設置をご検討される際は、設置予定の設備が課税対象になるかどうかを、あらかじめ自治体に確認しておくことが大切です。

また固定資産税については、記事内でご紹介した計算方法を参考に、一度ご自身で確認してみましょう。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・佐賀・熊本・鹿児島の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。|SNSで情報発信中!▶公式Instagram

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