5kWソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の実際の発電量は?

2024.11.18

太陽光のエネルギーで発電を行うことができる「ソーラーパネル(太陽光発電システム)」は、日本でもだいぶ普及が進みました。

しかしながら、まだ設置していない住宅のほうが多いのが現状です。これから太陽光発電を設置してみようかなと思っているご家庭もあるかと思います。

いざソーラーパネルを設置しようとしたとき、

「そもそも設置したらどのくらいの電気を発電できるの?」
「5kWのシステム容量ってどのくらいの発電量?」

など、発電量についての様々な疑問がわいてくる方も多いのではないでしょうか。
この記事では、そんなソーラーパネルの発電量について、

  • ソーラーパネルの発電量の意味や概要
  • ソーラーパネルの発電量を決める要素
  • ソーラーパネルの発電量の計算方法と損失係数
  • ソーラーパネルの発電量をアップするポイント

初心者の方にも分かりやすく解説していきます。

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目次

そもそも、ソーラーパネルの発電量って何?

ここでは、ソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の「発電量」というものが、そもそも何であるかを解説していきます。

ソーラーパネルの発電量とは、そのソーラーパネルが発電した電気の量のことを指し、「kWh(キロワットアワー)」という単位で表されます。

また、発電量はソーラーパネルのシステム容量(kW)の大きさによって大きく左右されます。システム容量(kW)が大きいほど、より多くの電気を発電することができます。

太陽光発電における「kW(キロワット)」とは?

一般的なkW(キロワット)は、消費電力(家電などを動かす際に必要となる電力)の単位として使用されています。
※「1kW=1,000W」です。

それに対して、太陽光発電におけるkW(キロワット)は、太陽光発電システム全体の容量(発電能力)を表しています。

たとえば、システム容量が1kWの太陽光発電の場合、年間で1,100kWh程度の発電量を確保できると言われています。

太陽光発電における「kWh(キロワットアワー)」とは?

一般的なkWh(キロワットアワー)は、家電などを1時間使用した際の消費電力量を表しています。たとえば、0.1kWの家電を1時間使用すると、「0.1kWh」となります。

太陽光発電における「kWh(キロワットアワー)」は、実際の発電量を表す単位です。

たとえば、システム容量4kWの太陽光発電の場合、年間の発電量は「約4,400kWh」となります。(1kWあたり年間1,100kWhの発電量と仮定した場合)

ソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の「発電量」を理解する上で、

  • kW=発電能力を表すシステム容量
  • kWh=実際に発電された電力量

ということを、まずは覚えておきましょう。

ソーラーパネルの発電量を決めている要素

ここでは、ソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の発電量を決めている要素についてご紹介します。

太陽光発電のシステム容量(ソーラーパネルの設置面積・枚数)

さきほどもkW(キロワット)の項目で少しご紹介しましたが、ソーラーパネルの発電量をもっとも左右するのが、太陽光発電のシステム容量です。

具体的なシステム容量は、屋根などに設置するソーラーパネルの枚数によって決まります。そして、屋根に設置できるソーラーパネルの枚数は、屋根の面積によって左右されます。

つまり、屋根が広い住宅であれば多くのソーラーパネルを設置できるため、発電量も多くなるというわけです。

たとえば、1枚あたり出力300Wのソーラーパネルを20枚設置したとすると、300W×20枚で「6kW」の太陽光発電システムということになります。

システム容量1kWあたり、年間で約1,100kWhほど発電量が変わるため、太陽光発電のシステム容量は重要な要素です。

変換効率(ソーラーパネルの性能)

ソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の発電量は、ソーラーパネルの性能である「変換効率」によっても変化します。

ソーラーパネルの変換効率とは、そのソーラーパネルが太陽光から創り出せる電力の割合を示しており、数値が高いほどより効率的に発電を行えることになります。

ちなみに、発電効率には

  • ソーラーパネル1平方メートルあたりの変換効率を表す「モジュール変換効率」
  • ソーラーパネルを構成する太陽電池セル1枚あたりの変換効率を表す「セル変換効率」

の2種類がありますが、一般的に発電能力を見る際などに参考にされるのは「モジュール変換効率」です。

現在のソーラーパネルの変換効率は、単結晶パネルで20%程度、多結晶パネルで15%程度となっています

太陽光発電の変換効率について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

日射量(地域や季節)

日射量とは、一定時間における太陽から送られてくる光エネルギーの量を表しています。

この日射量が多いほど、ソーラーパネルはより多くの電力を創り出すことができます。

地域(都道府県)による日射量の違い

日射量は地域(都道府県)によって異なっているため、同じシステム容量の太陽光発電を設置したとしても、都道府県によって発電量は変化します。

日射量が多い都道府県には、山梨県、高知県、静岡県、群馬県などがあります。

ソーラーパネルを設置する地域の日射量がどのくらいか知りたい方は、NEDO「日射量データベース」から調べることが可能です。

参照:NEDO「日射量データベース」

季節(気温)による違い

また、日射量は季節によっても異なります。もっとも日射量が多い季節は8月ですが、発電量がもっとも多いのは4月や5月となっています。

その理由は、8月は外気温が高温でパネル温度が上がりやすいため、発電効率が落ちてしまうことにあります。

そのため、最も効率よく発電を行える季節は、4月や5月と覚えておくようにしましょう。

天候

天候も、ソーラーパネルの発電量に影響を及ぼします。

太陽光発電は太陽の光がソーラーパネルに届かないと発電を行えませんので、雨や雪の日はもちろん、雲がかかるだけでも日射量が減少して発電量は落ちてしまいます。

晴天の日、曇の日、雨の日、雪の日の発電量を比較してみると、

  • 晴天の日:100%
  • 曇の日:30~50%程度
  • 雨の日:10%程度
  • 雪の日:ほぼ0%

と言われています。
曇りの日でも1/3~半分程度まで下がってしまうソーラーパネルの発電量ですが、低照度(太陽の光があまり届かない)環境に強いソーラーパネルにすることで、曇りの日でもある程度の発電量を確保することも可能です。

時間帯

ソーラーパネルの発電量は1日の中でも変化します。

NEDO「日射量データベース」によると、最も日射量が多い時間帯は13時~14時となっています。(傾斜角30度の場合)

また、実際にソーラーパネルが発電を行える時間は「9時~17時」あたりに限られます。

ソーラーパネルの発電量の計算方法と損失係数

ソーラーパネルの容量から、年間でどのくらいの電気を発電することができるのか、以下の計算式で導き出すことができます。

ソーラーパネルの発電量の計算式

  • Ep(年間予想発電量)=H(平均日射量)×K(損失係数)×P(システム容量)×365(年間日数)÷1(標準状態の日照強度)

※上記の計算式で導き出せる年間予想発電量は、あくまでも目安です。

システムによるロス(損失係数)

ここでは、上記の計算式で登場した損失係数について、詳しく解説していきます。

発電量を考える上で重要なのが、システムによるロス(損失係数)です。損失係数は、最近では0.85で計算されることが多くなっています。

代表的な損失系係数として、以下の要素があります。

ソーラーパネルの表面温度が25度以上の高温になる

夏場(7月や8月)などで日差しが強いとき、ソーラーパネルの表面温度が25度以上になると、1度につき発電量が0.5%ほど下がると言われています。

パワーコンディショナーの変換

パワーコンディショナーは太陽光発電が創った直流の電気を、家電配線に接続するために交流の電気に変換する役割をもっています。

この変換のとき、どのメーカーのパワーコンディショナーであっても約5%の損失が発生します。

ソーラーパネルの寿命(経年劣化)

ソーラーパネルは、購入してからの年数によって、経年劣化によって発電量が低下すると言われています。

  • 購入から10年後:2.7%
  • 購入から20年後:5.4%
  • 購入から30年後:8.1%

ソーラーパネル表面の汚れや影

鳥の糞や落ち葉などがソーラーパネルの表面に付着していると、その部分に太陽光線が当たらないため、発電量の低下につながってしまう場合があります。

5kWソーラーパネルの実際の発電量をシミュレーション

ここでは、上記でご紹介した計算式をもとに、システム容量5kWのソーラーパネルを運用した場合の発電量をシミュレーションしていきます。

シミュレーション条件

  • システム容量:5kW
  • 設置場所:宮崎県宮崎市
  • 設置角度:真南
  • パネル傾斜角度:30度

年間予想発電量=6,608kW

上記の条件を、発電量の計算式に当てはめていきます。

4.26(平均日射量)×0.85(損失係数)×5(システム容量)×365(年間日数)÷1(標準状態の日照強度)=年間予想発電量:6,608kW

計算の結果、システム容量5kWのソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の年間予想発電量は「6,608kW」であることがわかりました。
※上記の発電量はあくまでも目安です。設置条件などによって、発電量は変化します。

1日あたりの平均発電量(月別)

また、上記と同じ条件でシステム容量5kWのソーラーパネルの、1日あたりの平均発電量(月別)を算出すると以下の通りです。

  • 1月:19.8kWh/日
  • 2月:21.35kWh/日
  • 3月:20.8kWh/日
  • 4月:22.95kWh/日
  • 5月:22.55kWh/日
  • 6月:19.55kWh/日
  • 7月:23.9kWh/日
  • 8月:24.75kWh/日
  • 9月:20.95kWh/日
  • 10月:20.85kWh/日
  • 11月:18.55kWh/日
  • 12月:19.7kWh/日

※NEDO「日射量データベース」にて、宮崎県宮崎市のデータを参照。

ソーラーパネルの発電量をアップするポイント

ここからは、ソーラーパネルの発電量を増やすためのポイントについて解説していきます。
発電量は売電収入にも直結しますので、ぜひ可能な対策は行うことをオススメします。

システム容量を増やす

もしも屋根に余裕がある場合は、最大までソーラーパネルの設置枚数を増やすことで、発電量を増加させることができます。

ただし、システム容量をふやせば当然ながら初期費用も増えることになりますので、予算と相談しながら行いましょう。

なお、海外製のソーラーパネルであれば、国内製よりも安価に設置することができます。性能についても、近年ではそこまで差は無くなってきています。

ソーラーパネルの向きや角度を最適化する

ソーラーパネルは、太陽光によって発電を行うため、設置する向き(方角)や傾斜角度が重要になります。

向きについては真南で100%の発電量を確保できます。その他の角度では、100%よりも発電量が落ちることになります。

ソーラーパネルの方角ごとの発電量(傾斜角度30度の場合)

  • 南:100%
  • 南東・南西:95%前後
  • 東・西:85%前後
  • 北東・北西:70%前後
  • 北:65%前後

※上記の発電量は目安です。

また、傾斜角度でも発電量が異なり、真南であれば最適な傾斜角度は30度と言われています。

ただし、最適な傾斜角度は地域や設置する環境によって異なるため、太陽光発電の設置業者とよく相談することをオススメします。

定期的なメンテナンス・点検を怠らない

ソーラーパネルの発電量は、鳥の糞や落ち葉の影などによっても減ってしまいます。

鳥の糞や落ち葉などによる発電量の低下を防ぐために、目視でもかまいませんのでソーラーパネルの状態をチェックしたり、晴れている日の発電量が不自然に減っていないかなどのチェックを行うと良いでしょう。

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まとめ

5kWソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の実際の発電量は?

この記事では、ソーラーパネル(住宅用太陽光発電)の発電量について、様々な角度からご紹介してきました。発電量についてよく知らなかったという人でも、一通りのことは把握できたのではないでしょうか。

ソーラーパネルの発電量を決める要素としては、システム容量(ソーラーパネルの設置枚数)やパネルの性能だけでなく、設置する地域の日射量も重要であることが分かりました。

お住まいの地域の日射量は、NEDO「日射量データベース」からどなたでも確認することができるので、この記事で紹介している計算式を用いれば、ご自宅にソーラーパネルを設置した場合の発電量を計算可能です。

また、より正確な発電量のシミュレーションは、太陽光発電の設置業者に依頼することで行ってもらえますので、太陽光発電システムの設置を検討している方は相談してみると良いでしょう。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・佐賀・熊本・鹿児島の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。|SNSで情報発信中!▶公式Instagram

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