執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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設置費用が年々下がっているとはいえ、太陽光発電システムの購入には大きな費用が必要となります。
ニュースなどで「国からの補助金が終了した」と聞いて設置をためらう方も多くいらっしゃいます。
確かに国からの補助金は終わりましたが、今でも税制優遇や自治体による補助金などを受けることができます。
そこで、今回は近年多様化しつつある太陽光発電システム関連の補助金について解説します。
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目次
太陽光発電システムの設置自体に対する補助金には、廃止されたものも含めて大きく2つに分けられます。
一つは2009年から5年の間、国から交付された「住宅用太陽光発電導入支援対策費補助金」です。
これ以前も、太陽光発電システム設置に対して補助金が出ていましたが2005年で廃止されています。
その後、2008年の「低炭素社会づくり行動計画」で太陽光発電の導入目標が掲げられたことを契機に補助金が再開されました。
制度開始前の設置費用は69.6万円/kW(2007年時点)と高く、普及には費用負担の軽減が急務でした。
そのため、目標達成に向けた政策の一つとして2009年1月より補助金制度が再開しました。
その後、太陽光発電システムの急速な普及に伴って、システムの設置に必要な費用も下がりました。
補助金なしでも普及が進む状態となったことで補助金はその役目を終え、2013年を最後に廃止となりました。
しかし今でも、都道府県や市町村単位で独自に補助金を出している場合もあります。
いわゆる補助金とは異なりますが、太陽光発電システム設置に際し、国から受けられる支援は現在もいくつかあります。
例えば、「再生可能エネルギー発電設備に係る標準課税の特例措置」もその一つです。太陽光発電システムや風力発電設備などの再生可能エネルギーを対象に、固定資産税を軽減します。
当該設備に固定資産税が新たに課されるようになった年から、3年分の固定資産税が対象です。
太陽光発電システムの場合、10kW以上の自家消費型設備に限り、課税標準となる金額から2/3に減税されます。
もともとは2017年度末に終了予定でしたが、2018年度~2019年度まで延長されることとなりました。
それに伴い、1,000kW以上のいわゆるメガソーラーと言われる設備に対しては軽減率を3/4まで引き上げることとなりました。
その他にも「中小企業経営強化税制」による即時償却や税額控除など、太陽光発電システムを対象とした補助制度には様々なものがあります。
補助制度をうまく活用することで、設置に伴うコストを削減することが可能です。
国からの補助金が終了したのちも、独自の補助金を出している自治体が多くあります。
交付条件のほか、補助金額の算定方法も「1kWあたりの金額」や「1件当たりで定額」など自治体によって様々です。
利用できる補助金の有無については、一度お住まいの自治体に確認してみましょう。
近年は蓄電池・電気自動車などと組み合わせた自家消費システムが注目されています。
そのため、ZEHや蓄電池など太陽光発電システムに関連した補助金も多様化しています。
そこで、今後主流になっていくであろう関連する補助制度について解説します。
VPP(Virtual Power Plant)とは、エリアに散在する発電設備などをIT技術で連動させて一括で制御する仕組みを言います。
複数の発電設備を、まるで1つの発電所のようにまとめて制御することから「仮想発電所」とも呼ばれます。
現在、VPPの導入促進を目指した補助金制度が開始されています。
補助制度の対象となるのは「アグリゲーター」と呼ばれる事業者です。
アグリゲーターとは、需要家と電力会社を仲介して電力の受給バランスを調整する事業者を言います。
事業によって分類化されていますが今回の補助制度では、採択を受けたアグリゲーターがVPPの実証事業を行う際に必要な、設備費や人件費等に対して補助が出されます。
VPP関連の事業に加え、電気自動車から送電網への電気供給を指す「V2G」の実証事業も 補助の対象となります。
事業内容によって、カテゴライズされる分類が異なるため、詳細は確認して頂く必要がありますが、あらかじめ定められた定額での交付、もしくは補助対象経費の1/2が交付されるケースが多いようです。
ZEH(net Zero Energy House)に対する補助金が2016年度より交付されています。
ZEHとはエネルギー収支が実質ゼロ以下の住宅で、簡単に言えば「消費エネルギーを創エネで賄える住宅」のことです。
高断熱な外壁や高効率な機器による省エネに加え、太陽光発電システムで電力を作ることで消費エネルギーを実質ゼロ以下にします。
政府は「2020年までに標準的な新築住宅でZEHを達成する」という目標を掲げ、ZEHビルダー制度や補助金の交付を行っています。
「ZEHビルダー」制度とは、一定の基準を満たした工務店やハウスメーカーなどを「ZEHビルダー」として公募・登録する制度を言います。
ZEHビルダーによって建設・改修・販売され、ロードマップで定めた要件を満たす住宅に対し70万円/戸の補助が出されます。
また、ZEHが消費エネルギーを100%以上削減するのに対し、75%以上100%未満のものを「Nearly ZEH」といいます。
寒冷地や低日射地域などの場合に限って「Nearly ZEH」も、通常のZEHと同様に70万円/戸の補助が受けられます。
2018年度にはZEH以上に高性能な「ZEH+」や集合住宅を対象とした「ZEH-M」などの区分も追加され、それぞれ補助額が規定されました。
2018年度、蓄電池単体に対する国で定められた補助金はありません。
2年前までは、国も蓄電池単体への補助を実施していましたが、他の機器と連携してこそ、本当の意味での価値があるとし、ZEHや断熱リフォームへの追加補助という形をとっておりました。
先述したZEHの補助金では蓄電池の容量1kWhあたり3万円の補助が出されます。
しかし、蓄電池など太陽光発電関連の機器の販売や施工を行う販売会社が、断熱リフォームなどを手掛けることが少ないため、実際にZEH補助金を使用して蓄電池の購入を提案するケース、また実際に活用される場面は少ない状況といえます。
一方、自治体では独自に補助金を準備しているケースも増え、選択肢が多くなっている状況です。
例えば、千葉県いすみ市ではリチウムイオン蓄電池の設置に対して10万円を上限に補助金を出しています。
現在、住宅用補助事業は60近くありますが、補助金の平均は1kWhあたり30,000円程度となっています。
お住まいの市町村によって補助金の有無や受給の条件が異なり、また、受付数が多い場合には、実施期間の途中であっても申し込みを締め切る場合があるため、事前の確認が重要です。
電気自動車やプラグインハイブリッド車などの「次世代自動車」を対象とした補助金も出ています。
「次世代自動車」とは、走行に要するガソリンが不要ないしは大幅に削減できる自動車です。また、電気自動車やプラグインハイブリッド車など家庭の電源に接続できるタイプは「走る蓄電池」としても期待を集めています。
そうした次世代自動車を対象に出されているのが「CEV補助金」です。
「CEV」とは「クリーンエネルギー自動車」の略で、環境負荷の少ない次世代自動車を指す名称です。
車種やグレードに応じて定額を補助することで次世代自動車の導入を促進します。
また、電気自動車やプラグインハイブリッド車の普及に不可欠な充電インフラの導入を後押しする補助金もあります。
「電気自動車・プラグインハイブリッド自動車の充電インフラ整備事業費補助金」といい、充電設備費や工事費の一部を補助します。
ソーラーカーポートと併用して使用されているV2Hなどが充電設備補助金の対象となっている自治体もあります。近年は売電価格が年々下がっている反面、電気代は値上がりを続けています。
そんな中、蓄電システムを活用した自家消費型太陽光など「電気の自給自足」へのシフトが進められています。
蓄電池や電気自動車に関する補助金が多様化したことからもそれは伺えます。今後、政府は補助金による設置負担の軽減を通して、さらなる普及拡大を目指す方針です。
太陽光発電システムや蓄電池の検討にあたって、利用できる補助金制度があるというのは心強いことです。
しかし、補助金制度を利用するにあたって注意すべき点がいくつかあります。これから紹介する注意点をきちんと踏まえた上で申請に臨みましょう。
現在、様々な自治体が補助金を交付しています。
手続きの流れは概ね似通っていますが、対象者や対象設備・申請期日・必要書類などが自治体によって異なる場合もあります。
前項の事例にもありましたが、10kW未満の太陽光発電システムが対象となるものもあれば、10kW以上が対象のものもあります。
蓄電池が対象となる場合は太陽光発電システムとの併用が条件になることもあります。
該当の地域で用意されている補助金制度がご検討中のシステムに合致するのかをきちんと確認しましょう。
また、手続きに不備が生じないように必要書類や期日などについても十分注意しましょう。
補助金の申請は手続きが煩雑なことも多く、申請が間に合わない場合交付が受けられないこともあります。
ご自身で行うよりも、代理店など専門の業者に代行を依頼する方法がより確実であるといえます。
ただ、例外的に代理人による申請を認めていない自治体もあります。そのような場合であれば、書類作成の依頼や提出前のチェックを業者に依頼することでより確実に申請を行えます。
多くの場合、自治体のホームページに申請期間や申請期日が掲載されています。
しかし、申請期日が掲載されていたからといって必ずしもその日付まで補助金の申請を受け付けているとは限りません。
多くの補助金制度において、「予算」や「募集人数」があらかじめ決まっています。そのため、想定よりも早く予算ないしは受付人数に達した場合は受付期間内であっても締め切ることがあります。
1年間を受付期間として設定していても、20日間程度で予定人数に達し、受付を締めきっているケースもあります。
自治体によっては、ホームページに現在の申請者数や残数などを掲載してくれるところもあります。
補助金の利用を考えている場合は事前に確認し、できるだけ速やかに準備を行い、申請を行うようにしましょう。
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太陽光発電システムの購入や設置は、大きなメリットがあるとは言え、相当な時間や費用がかかります。
そのような中、補助金などの支援制度は大変力強いサポートになります。国による太陽光発電システムの補助金が廃止されたことで、「もう補助金は受けられない」と思われる方も少なくありません。
しかし、地方自治体による補助金や太陽光発電システムに関連する補助金など現在でも受けられる補助金は数多くあります。
設置の際には、希望しているシステムや製品について、活用できる補助金などの支援制度がないかを確認することをお勧めします。
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