執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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太陽光発電の売電収入に直結する「発電量」を決定づける仕組みはご存知でしょうか?
この記事では、太陽光発電の発電量を決めている要素や計算方法、発電量のシミュレーション、発電量が低下する要因などについてご紹介していきます。
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目次
太陽光発電の発電量を表す単位としてkWh(キロワットアワー)が用いられます。
太陽光発電のシステム出力は5.0kWのようにkW(キロワット)で表されますが、1kWの電力を1時間発電(消費)したときの電力量を1kWhで表します。
ただし、太陽光発電のシステム出力が5.0kWの時、1時間で発電できる発電量は単純計算でいう5kWhとはなりません。
そこには太陽光発電の発電量を左右するいくつもの要素が存在します。
太陽光発電の発電量を決定づける要素には設置枚数(面積)、性能(エネルギー変換効率)、設置場所(設置の角度や方角)、設置するエリア(地域)、気候(天気と気温と季節)、周辺環境、時間帯などが存在します。
まずは太陽光パネルの設置枚数(面積)です。
設置枚数が多ければ多いほど、太陽光発電の発電量は多くなります。
ただし、パネル設置枚数を増やすには、それだけ大きな設置面積も必要となります。
また、太陽光パネルが増える分、設置費用・料金も高額になります。
太陽光パネルには、「エネルギー変換効率」という性能が存在します。
エネルギー変換効率とは、「太陽の光エネルギーの何%を電気に変換できるか」を示した数値です。
太陽光は複数の波長をもっており、赤外線、紫外線などがあります。この中でも紫外線が発電に関与する光であり、太陽光のエネルギーを100%電力には変換してはいないのです。
この「エネルギー変換効率」が高い太陽光パネルほど、同じ枚数でも多くの電気を発電することができます。
つまり発電量が増えるということになります。パネル全体の平均的な変換効率は15~20%程度です。
太陽光発電の発電量は設置する角度や方角によっても異なります。
まず設置するのに最適な方角は、家庭用太陽光発電と産業用太陽光発電ともに”南向き”です。
これは、太陽光発電に欠かせない日射量(太陽エネルギーの量)を、年間を通じて南向きが最も得ることができるためです。
次に角度ですが、屋根に太陽光パネルを設置する家庭用太陽光発電の場合、最も効率的に発電が行える角度は「30度(南向きに設置する場合)」です。
また、産業用太陽光発電の場合ですと、地面に直接設置する野立ての場合、最も効率的に発電できる角度は30度で変わりありませんが、パネルの設置角度を調整することで全体の設置容量を高めることで結果的に発電量をアップさせることができます。
太陽光発電の発電量は、設置するエリア(地域)によっても異なります。
たとえば、日本で最も太陽光発電に適した都道府県は、「山梨県」、「長野県」、「高知県」、「静岡県」が当てはまります。
これらの都道府県が太陽光発電の設置に向いている理由は、発電量の鍵を握る年間の日射量(太陽エネルギーの量)が多いためです。
また、日射量だけで言えば沖縄などのほうが晴れている日が多いように思うかもしれませんが、太陽光発電が電気を創るのに最も適した温度が「25度」です。
そのため、夏場など気温が上がりすぎる地域よりも、程よく涼しい気候が多い地域のほうが、発電量は多くなります。
太陽光発電は、基本的に晴れている日でないと十分に発電することができません。
天候別の発電比率を比べてみると
となっており、日射量が減る曇りや雨の日は大幅に発電量が下がってしまいます。
ただし、低照度の国であるドイツで開発された「Qセルズ」などの太陽光パネルは、曇りの日でも高い発電量を確保することができます。
また、気温や季節についても、あまり暑い日は発電量が落ちてしまいます。
太陽光パネルは気温が25度を1度超えるごとに0.5%程度の発電量が落ちるため、25度前後の日が多い5月くらいが最も発電量が多くなり、逆に気温が高い夏場は発電量が落ちてしまいます。
太陽光発電を設置する際には、建設する場所の周辺環境には注意が必要です。
発電量に直接的に関与する影の影響を100%想定することは難しいでしょう。
夏場にはたくさんの日差しが当たっていたのに冬は発電量が大きく下がりクレームになる事例もあります。冬は太陽から受ける日差しの高さが通年の中で最も低いためより広範囲に影が当たりやすくなります。
季節ごとに影の状態が変化することは日影図を用いることで太陽光発電の設計時にある程度想定は可能です。
しかし、何十年も太陽光発電を運用するなかで周辺にアパート等が建設されるなどして影の影響を永続的に受けることになるかもしれません。
発電量に影響するリスクとして想定しておきましょう。
1日の気温が上下するように太陽光発電の発電量も同じように変動します。
太陽光発電で発電ができるのは太陽光パネルに日が当たっている時だけです。
日のあたりが弱い朝夕の発電量は弱く、日差しが強い日中は発電量が高まり、1日の間で発電量のグラフは山を描くように変化します。
なお、温度係数の高い、つまり高温に弱い太陽光パネルの場合は日差しの影響により太陽光パネルの温度が高まり日中の発電量が低下することもあります。
温度係数が低いことをウリにしている太陽光パネルもあるため覚えておきましょう。
ここでは、発電量を導き出すための計算式や、その式を使用した発電量シミュレーションをご紹介します。
太陽光発電システムの発電量は、以下の計算式で導き出すことができます。
年間発電量(Ep)=1日あたりの平均日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K)×365÷1
以下、計算式で用いられる各要素の解説です。
損失係数にどんなものがあるかというと、
を挙げることができます。
また、標準状態における日射強度を1(kW/m2)として1で除しています。
ここでは、山梨県(甲府市)に産業用太陽光発電を設置した場合の発電量シミュレーションをご紹介します。
●シミュレーション条件
●シミュレーション結果(※発電量は目安です。)
4.3×50×0.85×365÷1=66,703kWh/年
上記の通り、山梨県甲府市に50kWの産業用太陽光発電を設置した場合、年間でおよそ「66,703kWh」の発電量が期待できます。
ここでは、発電量が低下してしまう原因についてご紹介します。
原因をあらかじめ理解しておくことで、発電量の低下を防ぐことができるでしょう。
寿命が長く20~30年以上使い続けることができる太陽光パネルですが、変換効率は年を経るごとに0.27%程度ずつ劣化していくと言われています。
つまり、購入から10年間で「2.7%」、20年間で「5.4%」、30年間で「8.1%」の変換効率が、経年劣化によってダウンしてしまうことになります。変換効率がダウンすれば、それだけ発電量も低下してしまいます。
ちなみにメーカーが行っている出力保証は、「10年間で公称最大出力81%以上を保証(パナソニックの場合)」というものです。
これは、「10年間で19%以上の出力(発電性能)が低下した場合、無償修理や交換を行う」という意味に置き換えることができます。
こういった保証もあるため、経年劣化や故障などにより著しく発電性能が落ちてしまった場合でも安心です。
直列につなげた乾電池のようなイメージを想像いただければわかりやすいですが、太陽光パネルに一部に鳥の糞や落ち葉などによって影(太陽光が当たらない場所)ができてしまうとき、その影がかかっている太陽光セルだけではなく接続している系統全体の発電量が低下してしまう性質をもっています。
また、発電量が低下するだけでなく、最悪の場合ホットスポットと呼ばれる現象によって火災が起こる危険もあります。
対策としては、日々発電量をモニタなどで確認しておき、発電量の急激な低下があった場合は影や汚れの影響などの確認を行うなどメンテナンスすることが重要です。
さきほどもご紹介しましたが、太陽光パネルは気温が25度を1度超えるごとに約0.5%ほど発電量が低下してしまいます。
そのため、気温が高い沖縄地方や、7月や8月など夏場の時期は発電量が低下してしまう傾向にあります。
海岸から近い場所(2キロ以内)に太陽光発電を設置する場合、塩害による発電量の低下が心配されます。
塩害対策がほどこされていないと、太陽光パネルやパワーコンディショナーといった電子機器の劣化が早まり、発電能力が低下してしまうおそれがあるためです。
対策としては、塩害地向けに設計された太陽光発電を設置することが挙げられます。
最後に、世界と日本における発電量の実績を紹介・比較していきます。
太陽光発電の累計導入実績を世界全体でみた場合、2017年末時点で400GW(4億kW)にのぼり、2018年末時点では500GW(5億kW)を上回りました。
この数字は、2007年の9GW(900万kW)から比べると2017年で40倍以上、2018年で50倍以上の増加ということになります。
ちなみに世界全体の原子力発電の導入実績が392GW(4億kW)ですので、太陽光発電は導入実績で原子力発電を上回ったことになります。
国全体の発電量を出すのは太陽光発電単体の発電量を出すよりも複雑で、正確な数値を出すことは難しいのが現状です。
その理由は、太陽光発電ごとに設置されている方角や角度など条件が異なるためです。
世界全体の電力需要から太陽光発電でまかなっている比率を表すと、2018年で約「2.6%」となっています。
2018年の世界の電力消費量が約23,000TWh(23,000,000GWh)となりますので、その2.6%でおよそ「598,000GWh」が発電されたことになります。
日本における太陽光発電の累計導入数は、2018年末時点で世界全体では3位となる「56GW」となります。
また、発電量は国内全体の消費電力のおよそ6.5%となっています。
次に、太陽光発電の導入実績を国ごとに見ていきましょう。
上記のランキングで分かる通り、世界中で最も太陽光発電を導入している国は中国(176.1GW)で、次いでアメリカ(62.2GW)、日本(56.0GW)となっています。
背景には発電コストの低下などにより、太陽光発電への各国の投資額が増えていることが挙げられます。
2017年の投資額を見てみると、中国が1300億ドル(約14兆円)、米国が570億ドル(約6.3兆円)、日本が約230億ドル(約2.6兆円)となっています。
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太陽光発電の発電量は、
などの要素によって決定することが分かったと思います。
また、ご紹介した発電量の計算式
年間発電量(Ep)=1日あたりの平均日射量(H)×システムの容量(P)×損失係数(K)×365÷1
を使用すれば、設置する前におおよその発電量を割り出すことができますので、どのくらい売電収入が見込めるかについても事前に把握することができます。
なお、より正確な発電量シミュレーションを行いたい場合は、太陽光発電のメーカーに問い合わせするか、太陽光発電業者に依頼することをオススメします。
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