太陽光発電は、故障やトラブルの少なさから「メンテナンスフリー」ともいわれるほど高性能な発電設備です。とはいえ、長期間安心して使用し続けるためには、やはり一定のメンテナンスを行うことが大切です。
さらに、2017年4月から施行された改正FIT法では、新たにメンテナンス、設備撤去・処分までを含めた事業計画全体が設備認定の対象となっています。適切な設備運用がされていない場合、認定取消となる可能性もあります。
今回は、事業計画で重要となる太陽光発電のメンテナンスについて、セルフメンテナンスの方法、故障やトラブルでかかる費用についてご紹介します。
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目次
太陽光発電のメンテナンスの必要性
太陽光発電に使用するモジュールは、精密機械ではないため比較的寿命が長い製品ですが、その分トラブルや故障が起きても気付かず、発見しづらいともいわれています。メンテナンスを怠るとどうなってしまうのでしょうか?
太陽光発電のメンテナンスはなぜ必要か
太陽光発電でメンテナンスが不可欠とされる理由は、経年劣化によって太陽光モジュールの発電効率が低下するためです。
太陽光モジュールのメンテナンスをしなかった場合、設置後10年を経過すると平均で発電効率は95~97%に低下し、さらに20年後には80~85%台にまで下がります。
発電効率の低下は、発電量の低下につながります。太陽光発電設備は、屋根の上や住宅から離れた場所が多く、日々のメンテナンスや目視での確認が困難です。
そのため、定期点検などでトラブル・故障の早期発見に努める必要があります。
故障や発電量低下の原因
太陽光発電設備の中でも故障が多い機材は、「パワーコンディショナー」です。
なかでもパワーコンディショナーの換気フィルターがホコリやゴミなどで目詰まりを起こし、トラブルになるケースがあります。
パワーコンディショナーの故障の原因として多いのが、ヒューズ切れです。ヒューズ切れが生じると、発電量が急激に下がり、発電不能になります。
パワーコンディショナーには、高圧の電流が流れているので、ヒューズ交換は専門の業者に依頼する必要があります。
モジュールのメンテナンス
モジュールは耐久性の高い装置ですが、それでも、故障・トラブルの起きる可能性があります。
ひとつは、台風やゲリラ豪雨、大雪、竜巻、落雷などの異常気象によるもので、太陽光パネルの架台やパネル自体が破損したり、損壊したりするケースが考えられます。
モジュールの汚れもトラブルの原因となります。
鳥の糞がモジュールに付着し、長い期間その部分が影になっていると、モジュールの発電部分の損傷につながります。
太陽光発電は、汚れの蓄積や劣化などがあると発電エネルギー量が徐々に低下していきます。
しかし、太陽光発電の発電量はそもそも、普段から季節や天候の日照時間によって左右されるため、一定ではありません。
いきなり発電量がゼロになれば何らかの不具合を予想できますが、徐々に発電量が低下していくため、なかなかトラブルを見つけにくいのです。また、モジュールはトラブルが起きても見えにくい屋根の上に設置することが一般的です。
そういう条件の下でトラブルを防ぐためには定期的にメンテナンスを行い、不具合や故障を早期発見することが大切です。
メンテナンスの種類と点検例
メンテナンスに関しては、政府が再エネ事業計画策定のガイドラインを作成し、それを踏まえて太陽光発電協会と日本電機工業会が、「太陽光発電システム保守点検ガイドライン(住宅用)」をまとめています。
メンテナンスを実施する太陽光発電販売業者やメンテナンス実施者は、メンテナンスの種類・方法・頻度などについて、民間ガイドラインに即して行わなければなりません。
メンテナンスの方法は、「目視点検」と「測定機器による数値測定」の2種類があります。
住宅用を含む50kW未満の太陽光発電設備では、自主点検を行うのみで特に点検頻度は決められていませんが、50kW以上2000kW未満の場合は、年2回以上のメンテナンスが必要です。
目視での点検項目は、モジュールのガラス表面の汚れ、破損、鳥糞、草刈り、フレームの破損、ケーブルの接続状態などを行います。
ガラス表面の汚れなどは点検時に清掃・洗浄し、架台の破損、腐食、サビ等も目視点検の対象です。
モジュールのセルラインチェックや赤外線センサーによるサーモグラフィー発熱、パワコンのブレーカー作動テストも数値測定で点検します。
このほかに確認事項として、設備のメーカー保証期間も確かめておきましょう。太陽光モジュールは10~25年、パワーコンディショナーは10年以下のところが一般的です。
メンテナンスの認定資格
メンテナンスは、設備箇所によって専門的な知識を必要とするところも多くあります。そのため一定の資格のある専門技術者、あるいは専門技術者を擁する販売店、施工工事業者等に依頼しましょう。
メンテナンスの認定資格として、「太陽光発電メンテナンス技士」があります。この資格は一般社団法人太陽光発電安全保安協会(JPMA)が付与している資格で、資格認定講座や技能講習会を受講し、確認テストに合格すると資格を取得できます。
また、太陽光発電検査協会(PIA)の技術認定という制度もあります。協会の講習や研修を修了した者に「技術認定」が交付され、保守点検を行うことができます。
一般的に販売店や施工工事業者には、メンテナンス資格を持った技術者がいるか、資格を持った技術者と契約しているケースがあります。
太陽光発電設備のメンテナンスを依頼する場合、メンテナンス資格の有無が業者を選ぶ基準となります。
太陽光発電のメンテナンスにかかる費用
もし、セルフチェックだけでは不安な場合、メンテナンスを依頼するとどれくらいの費用がかかるのでしょうか?
太陽光発電を安心して長く使用するために必要なメンテナンス費用をご説明します。
設備の定期点検費用
住宅用の点検の場合、法定義務はありませんが、4年に1度以上の定期点検が推奨されています。
点検費用の相場は、1回で1万円というのが、FIT制度での買取価格算定の基礎になっています。
パワーコンディショナーなど器材の定期点検費用は、販売店の無料保証を利用できるケースが多く、有料の場合でも定期点検1回当たり2万円程度が相場です。
器材の故障や修理は保証の範囲内であれば無料ですが、範囲外の場合はパワーコンディショナーの修理交換で10万円程度、メーターの修理交換で1万円から5万円ほどかかります。
故障時の修理・部品交換費用
通常の設備は、メーカー保証期間内であれば、無償対応してくれます。保証期間を超えた場合は有償となります。
ほかにも有料保証としてかかる追加費用は、延長保証と自然災害による保証です。
自然災害による太陽光発電の故障は、無料保証内で対応してもらえることがほとんどですが、保証の金額に上限が設けられていることがあり、それを超えた場合は有料となりますのでご注意ください。
太陽光発電のセルフメンテナンスの方法
太陽光発電は、トラブルに気付かずに放置しておくと売電収入の減少という事態を招きます。
セルフメンテナンスで不具合を早期発見し、トラブルがあれば販売店へ連絡するようにしましょう。
では、太陽光発電のトラブルを早期発見するには、どのようなことに注意すれば良いのでしょうか?
家庭用太陽光発電のメンテナンス方法とセルフチェックの具体的なポイントについてご紹介します。
自分でできる日常点検
まず点検してほしい部分は、パワーコンディショナーです。本体の汚れ、フィルターの目詰まり、異音、振動、異臭などは、自分でもチェックすることが可能です。
本体の汚れや換気フィルターの目詰まり、異音や異臭がないかをチェックします。モジュールは、はしごや足場を使って傷や破損がないか、汚れていないかを目視で確認してください。
ケーブルや接続箱の配線も点検し、破損や腐食がないかをよく調べましょう。
また、日々モニターをチェックして、異常がないかを確認しましょう。急激な発電量の低下ではなくても、こまめに確認していれば微量の低下も見つけやすくなり、重大なトラブルを防ぐことができます。
メーカーや販売店による点検
セルフメンテナンスで気になるところがあれば、メーカーや販売店の定期点検やメンテナンスを受けることもできます。
メーカーによっては無料で点検を行っているところもありますが、有料であれば見積もりを取り、費用対効果を踏まえて検討すると良いでしょう。
太陽光発電はランニングコストも必要
太陽光発電は故障しにくい性質のため、メンテナンスの必要性や方法が今ひとつ一般に浸透していません。
それだけに、故障やトラブルが起きると、予定外の費用がかかってしまうことがあります。
これから太陽光発電の設置を検討される方は、設置後のメンテナンス費用も含めて必要経費を考えておくことが大切です。
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まとめ
そのため、設置後のメンテナンスの必要性やランニングコストについても正しい知識を身に付けておきましょう。
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