執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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現在、太陽光発電システムは、住宅屋根に設置するだけではなく、売電収入を目的とした投資物件として購入される個人・個人事業主の方が多くいらっしゃいます。
売電収入を得ることでの「所得税」、太陽光発電設備の設置による「固定資産税」など。条件によって、課税対象となることがあり、場合によっては確定申告が必要なケースもあります。
設置前に基本的な知識を持っておくことが重要です。
ここでは、太陽光発電システムの設置に伴って課税が発生する条件や確定申告時の注意点について解説します。
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目次
条件によっては太陽光発電の設置で得られる収入が課税対象となる場合もあります。
同じ太陽光発電システムでも設置目的や容量などによって税制的な扱いは異なります。
そこで、税制上における売電収入の考え方について解説します。
太陽光発電による売電は「固定価格買取制度」に基づいて行われます。「固定価格買取制度」とは、再生可能エネルギーを用いて発電した電気の買い取りを電力会社に義務付ける制度をいいます。
太陽光発電の場合は、設置容量10kWを境に売電方法が変わります。太陽光発電の場合は、設置容量10kWを境に売電方法が変わります。
10kW未満の場合は、その設備の中で発電した電力のうち、実際に使用して余った分を売電する「余剰買取」で売電します。10kW以上の場合は「余剰買取」もしくは発電した電気を全て売電する「全量買取」のうち任意の方法を選択できます。
投資を目的に太陽光発電事業を行う場合は、主に10kW以上のシステムを検討される方が多く、全量買取で売電を行うケースが多いでしょう。詳しくは後述しますが、ご自宅の屋根や駐車場スペースを活用し、10kW未満の太陽光発電システムを設置している場合は、売電収入による利益を確定申告するケースは少ないでしょう。
2012年の固定価格買取制度のスタート以降、不動産投資同様に、資産運用の一環として太陽光発電所を所有されているサラリーマンも多くなりました。そうした投資・副業で10kW以上のシステムを所有している場合は、確定申告について留意が必要です。
売電によって得られる収入は、税制上では「雑所得」「事業所得」「不動産所得」のいずれかにあたります。住宅用太陽光発電システムにおける余剰買取はその多くが「雑所得」として扱われます。余剰買取の場合、「たまたま家庭で使って余った電気を売った」だけであり継続した事業として行っているわけではない為です。
一方、事業所得者が事業の一環として太陽光発電による売電を行っていた場合は「事業所得」になります。これは設置場所が事業所兼自宅の場合も同様です。また、設置者が会社員などの給与所得者であっても設置容量が50kW以上など一定の条件に当てはまる場合は「事業所得」と見なされます。
また、太陽光発電システムによる売電収入が「不動産所得」として扱われる場合もあります。太陽光発電システムを賃貸住宅の屋根に設置し、電気を賃貸住宅の共用スペースなどで使った後に余剰分を売電した場合などです。この場合、共用スペースで使用する電気代は『必要経費』と見なされるため、不動産所得となります。
例えば事業所得の場合、売電所得が38万円以下の場合は確定申告の対象外です。確定申告など所得税の計算を行う場合に一律で「基礎控除」として38万円が差し引かれます。もし売電所得が38万円を下回る場合はこの基礎控除と相殺される為、確定申告は不要です。
給与所得者で売電収入が雑所得に当たる場合も、売電による所得が年間20万円未満なら確定申告は不要です。ここで注意しなくてはならないことは、売電所得=売電収入ではないということです。売電所得とは、売電によって得られた収入から経費を差し引いた額を言います。そのため、売電収入が丁度20万円の場合、確定申告の対象にはなりません。
また、売電所得が20万円未満で確定申告が不要な場合でも原則として市県民税の申告は必要です。お住まいの市町村に確認のうえ、手続きを行うようにしましょう。
平均的な数値から判断すると、例えば6kWの設置でも基本的に20万円は超えません。住宅用太陽光発電システムの平均設置容量は4~5kW程度なので、確定申告が不要なケースがが多いです。そのため、所得税の申告が必要となるのは、主に10kW以上を設置する産業用システムの場合です。しかし、同じ6kW程度の設置容量でも日射量や方位・傾斜などの条件がよく発電量が多い場合など、売電所得が20万円を超える場合もあります。
一方で10kWに近い容量で設置をしていても、何らかの事情で、売電所得が20万円を超えない場合もあります。容量で一概に判断せず、経費や売電収入をもとに確定申告が必要かを確認しましょう。
事業者は太陽光発電システムによる売電収入のほか、売電収入に係る消費税を電力会社から受け取ります。発電事業を含めた売上が1,000万円以下の場合は「免税事業者」となり、消費税を国に納入する義務はありません。そのため、消費税を含めた売電収入すべてが事業の収益となります。
一方、売上が1,000万円を超える場合は「課税事業者」となり、国に対して消費税を納付する義務が発生します。この点だけに着目すると「免税事業者」が得をしているようにも見えます。しかし、「課税事業者」の場合は仕入れなどで払いすぎた消費税に関して還付を受けることができます。
還付の権利は「免税事業者」にはないため、額によっては消費税を支払った方がむしろ得というケースもあります。例えば、2,000万円の設備を設置した場合、およそ160万円の還付が受けられることがあります。そうしたケースの場合、売電収入に対する消費税はおよそ10万~20万円程度であることから還付を受けた方がお得になります。
とはいえ、「課税事業者」になると売電収入にかかる消費税を払い続けることになるので20年間での収支を考えて検討しましょう。
法人で太陽光発電事業を行う際に重要となってくるのが税務関係。特に税制上、何が経費となるのかなど細かいルールは事前に知っておくと安心です。
太陽光発電システムにおいて経費として認められるのは主に以下の項目になります。
このうち「導入費」は、太陽光発電システムの普及に伴って年々値下がりしています。2023年時点における10kW以上のシステム費用は25.1万円/kWhと、2012年時点の42.6万円/kWから大きく下がっています。
上記の費用のほか、「減価償却費」も経費として取り扱われます。減価償却とは、固定資産の購入費用を耐用年数にわたって少しずつ計上する会計上の処理をいいます。耐用年数は、資産の種類によってそれぞれ設定されています。太陽光発電システムは機械及び装置のうちで電気業用設備に該当します。
さらに電気業用設備内のうち「その他の設備」に、中でも「主として金属製のもの」に該当します。「主として金属製のもの」に分類される場合の耐用年数は17年となるため、設備取得にかかった費用を17年に分けて償却することになります。また、余剰買取の場合、導入費用のうちで経費にできるのは「売電に必要な分」だけとなります。そのため、自家消費分と売電分の比率をもとに導入費用のうち何割を経費とするかを決定します。自宅兼事務所に設置した場合は全てを当該事業の経費として計上せず、適切な割合で店舗と自宅で分ける必要があります。
税制上で「売電所得」という場合は、売電で得た収入からこれらの経費を引いたものを言います。設置者が給与所得者でかつ売電所得が「雑所得」に当たる場合、所得が20万円未満なら確定申告は不要です。
そのため、以下のようなケースの場合、売電収入が20万円以上でも確定申告の対象外です。
266,400円-70,800円=195,600円
となり、売電所得が20万円未満なので確定申告の対象外です。
434,700円-259,600円=175,100円
このように、売電収入が20万円を大きく上回る場合でも必要経費と差し引きすることで20万円未満となり確定申告が不要になるケースもあります。
住宅用太陽光発電システムの場合、売電所得が20万円を下回る場合の方が多いです。そのため、確定申告についてはどちらかというと産業用で設置している方に関連することと言えます。しかしながら、住宅用システムでも例外的に20万円を上回るケースもあるので注意が必要です。
固定資産税とは、土地や家屋または償却資産に対して課せられる税金を言います。太陽光発電システムは「償却資産」とみなされるため、条件によっては固定資産税の対象となります。どういった場合に固定資産税の課税対象となるのか事前に知っておきましょう。
建物屋根に設置する太陽光パネルには多くの種類がありますが、設置方法で見た場合、モジュール自体が2つの仕様に区分されます。1つが「屋根置き型」と呼ばれるタイプで屋根の上に「架台」と呼ばれる金具を設置してその上にパネルを設置します。
既設の住宅にも後から設置することが容易です。もう1つが「屋根材一体型」と呼ばれるタイプです。こちらは、屋根に架台を設置する方法ではなく、モジュールと屋根が一体型しており、瓦やスレートのような屋根の機能と発電という2つの機能を同時に果たす部材となります。屋根とパネルが一体となっているためデザイン性に優れ、スッキリとした外観に仕上がります。
上記2つのうち、屋根一体型パネルは「住宅の一部」として扱われます。そのため、屋根一体型の場合は設置容量に関わらず固定資産税の対象とされます。
個人で設置した10kW未満のシステムは「事業用資産」とはみなされず、課税対象となりません。しかし、設置容量が10kW以上の場合は個人であっても「売電事業用の資産」とみなされるため課税対象となります。また、法人や個人事業主が事業のために設置する場合は「事業の用に供している資産」となります。そのため、設置容量や余剰買取・全量買取に関わらず固定資産税の対象として扱われます。
上述の通り、太陽光発電システムの工事費・機器費用などは基本的に「経費」となります。しかし、経費について考える際に注意した方がいいケースもあります。
太陽光発電システムで売電を行うためには、電力会社の送電網と発電設備を接続する必要があります。これを「系統連系」といい、一つの送電網には住宅や施設など複数の需要家も接続しています。もし一か所の発電設備で電気的なトラブルが生じると他の需要家にも波及する恐れがあります。
そのため、連系前には必要に応じて変電設備の変更などの工事を行います。系統連系のための工事を行うための費用を「系統連系工事負担金」といい、設置者の負担となります。
税制において系統連系工事負担金は「繰延資産」にあたります。「繰延資産」とは、費用として計上される支出のうち将来1年以上にわたって影響するものを言います。例えば、開業費や開発費、または法人の創立にかかった創立費などが繰延資産に当たります。
一般的に繰延資産は資産として一旦処理したのち、「効果の及ぶ期間」にわたって償却していきます。太陽光発電システムにおける系統連系工事費負担金の場合、償却期間は「電気ガス供給施設利用権」に準じて15年とされています。そのため、系統連系工事負担金は15年かけて少しづつ費用として計上されます。
2014年を最後に国からの補助金は終了していますが、今でも多くの自治体で独自に補助金を出しています。補助金は生命保険の満期金などと同様に「一時所得」として扱われます。所得税は一時所得の1/2についてかけられますが、受け取った補助金が全て「一時所得」となるわけではありません。
一時所得の場合は最大50万円までの特別控除を受けることができます。つまり、もし60万円の補助金を受けた場合は(60万円-50万円)×1/2=5万円が一時所得になります。
売電所得や補助金はどちらも「総合課税」にあたり、複数種類の所得を合算することで計算されます。例えばアフェリエイトの収入など他の雑所得などがある場合、それらも合算して課税が行われます。他の所得と売電所得を合算して20万円を超える場合は確定申告の対象となります。
サラリーマンをはじめとした給与所得者の場合、確定申告は不慣れな人も多いでしょう。そこで、手続きの大まかな流れや注意点について事前に知っておくことが重要です。
確定申告は概ね以下のような流れで行われます。
詳しくは次項で解説しますが、確定申告書をはじめとした各種必要書類を揃えます。確定申告書を入手するには税務署や申告相談会場で受け取るほかWEB上でもダウンロードが可能です。国税庁のホームページから「確定申告特集」というページにアクセスし、所得税等の確定申告書のほか計算書や手引きを印刷して使用しましょう。
書類を揃えたら確定申告書の作成を行います。手書きで書類を作成するほか、PCで作成する方法もあります。
国税庁が提供する「確定申告書等作成コーナー」にアクセスし、画面の案内に従ってデータを入力しましょう。
HPではチェックリストも公開されていますので、申請前に書類がそろっているかをチェックしましょう。また、添付書類は添付書類台紙などに張り付けて申告書と一緒に提出します。
お住まいなどの所轄税務署またはWEB上で書類の提出を行います。提出先、提出方法については後ほど詳しく解説します。
振替納税もしくは現金で税金を納付します。また、近年ではPCからネットで納税できる「e-Tax」というシステムもあります。e-Taxを使えば自宅から納付することが可能ですが、提出後に納付書などの納税のお知らせを受け取ることはできません。
確定申告には、申告書の他に必要な書類がいくつかあります。たとえば、申告者が給与所得者の場合は以下の書類が必要です。
確定申告を行う上で戸惑うのが、確定申告書の作成です。手順は少々複雑ですが、正確に作成するためにきちんと理解しましょう。
税務署のHP内の「確定申告書等作成コーナー」にアクセスすればWEB上で確定申告所を作成できます。
所得の種類ごとに項目が分かれているので、受け取った所得を全て入力しましょう。
また、売電所得は「雑所得(その他)」に該当します。所得税は「総合課税」と「分離課税」に分けられます。「総合課税」の場合は、該当しないところにも「0」を入力して全ての欄を埋めましょう。一方、分離課税の場合は損益通算したい所得がある場合のみ入力します。以上を入力することで「確定申告書」は完成です。その他必要書類と一緒に提出を行いましょう。
確定申告の時期は毎年2月16日~3月15日の1か月間です。期間を過ぎると「無申告課税」によって税額が増えることもあるので、期限を守って提出しましょう。確定申告の書類は以下の方法で提出できます。
お住まいの地域を管轄している税務署に書類を持ち込む方法です。日付や時間帯によっては混雑する場合もあり、初日や最終週などは特に混みやすいとされています。時間に十分余裕を持って手続きを行うようにしましょう。
税務署が閉まっている土日・祝日等は、原則として確定申告の手続きもできません。しかし、例外として申告期間中2日ほど日曜の受付日を設けている税務署もあります。また、税務署の「時間外収受箱」への投函によって提出することも可能です。
管轄の税務署に書類を送付することでも提出ができます。申告書類は「信書」に当たるため、必ず「郵便物」「信書便物」として郵送しましょう。
前項で解説した「確定申告書等作成コーナー」で作成した書類は「e-Tax」にてPCから送信できます。確定申告の期間中は24時間送信が可能ですが、メンテナンスなどによって使用できない時間もあるので注意しましょう。
確定申告を怠ると、本来納めなくてはならない税の他にペナルティとして新たに税が課されます。ペナルティとして課せられる税には以下のようなものがあります。
確定申告を怠ると、本来納めなくてはならない税の他にペナルティとして新たに税が課されます。ペナルティとして課せられる税には以下のようなものがあります。
決められた期限内に確定申告を行わなかった場合に上乗せされる税金です。納付すべき税額が50万円以下の場合は15%、50を超える場合は20%が原則課税されます。しかし、期限から1か月以内に自主的に申告があった場合など「期限内申告をする意思があった」と認められた場合は課税はありません。
延滞税とは、期限までに課税額の全額を納付していない場合に課せられます。また、期限後申告や修正申告書の提出を行った場合に納付が必要な税額があったときも対象です。延滞した期間に応じて所定の割合で計算された額が上乗せされます。また、不正な手段で課税を逃れようとした場合は処罰の対象となります。確定申告・納税を行い、もし期限に間に合わなかったなどの理由で申告できていない場合はきちんと自己申告しましょう。
太陽光発電システムは、20年間安定した収入が得られるため投資対象として非常に魅力的です。
しかし、一方で、確定申告をはじめとした税金関係に関しては基本的な正しい知識が必要となります。手続きやルールが複雑なため、すべてを自分で行うことが大きなリスクとなりこともあります。
必要に応じて税理士などの専門家の方と相談をしながら間違えのない手続きを行い、安心して太陽光発電事業を行っていきましょう。
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