執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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太陽光発電で固定価格買取制度(FIT法)を利用した売電事業を行う場合に、まず必要な手続きが「設備認定」です。
平成29年4月からFIT法の改正施行に伴い、設備認定に新たに事業認定としての要件が加わりました。これまでは「太陽光発電設備」の認定でしたが、「太陽光発電による事業計画」の認定に変わりました。
今回は、平成29年4月以降、新しくなった設備認定について、FIT法改正の前後を比較しつつ、その全体像を解説します。
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目次
太陽光発電を導入すれば、すべてがそのまま売電できるわけではありません。
FIT法に基づく固定買取制度で売電事業を行うためには、発電設備を国から認めてもらう必要があります。その制度を「設備認定」といいます。
設備認定は、発電設備が法令で定める要件に適合した仕様かどうかといった点などを経済産業省が確認するものです。
電力会社との売電契約も、設備認定を前提として協議・締結されます。平成29年4月以降の改正FIT法に基づく設備認定には、これまでの項目に加えて新要件が加わり、再生可能エネルギー事業のさらなる発展を目指しています。
平成29年4月1日に施行された改正FIT法により、設備認定は「事業計画認定」に変更されました。
それまでは太陽光発電設備そのものについて、発電設備の効率や設備要件を満たしているかという点を審査し、認定されていました。
しかし、現在は太陽光で発電する事業計画の確実性について審査されています。
事業計画認定の申請は、太陽光発電設備が50kW未満の場合はWebページからの電子申請を行います。
審査・手続きの終了後に認定されると、メールで通知が届き、「再生可能エネルギー電子申請ホームページ」から設備認定通知書がダウンロードできます。
一方、50kW以上の場合は、Webページの申請書に必要事項を入力した後に登録画面をプリントアウトし、返信用封筒を同封して設置場所の都道府県を管轄する経済産業省へ送付します。
これにより、申請された内容に不備がある場合、メールによる連絡がきて不備内容はWebページで確認でき、補正対応もWebページで行うことができます。
認定されると、申請者宛てに郵送で設備認定通知書が届けられます。どちらも申請書類が整ってから認定までは1~2カ月程度の期間がかかるため、余裕を持って準備しましょう。
経済産業省への設備認定手続きは、基本的に無料です。しかし、申請書類の準備や手続きなどを業者に依頼する場合は別途、業者への手数料がかかります。
新認定制度である事業計画認定の手続きの流れについて見ておきましょう。
10kW以上50kW未満の太陽光発電設備の認定申請から運転開始までの全体スケジュールは、経済産業省資源エネルギー庁によると、申請から認定までが1カ月から2カ月程度。
その後、電力会社へ接続契約の申し込みを行い、契約が締結され電力会社から低圧メーターが支給されるまでが約1カ月。
ここから、工事に着手して工事期間が約2カ月として、全体で4~5カ月間かかります。50kW以上の場合、200kWの設備規模では申請から運転開始まで約1年かかります。
変更手続きについても、事業計画認定申請と同様の申請スケジュールです。申請内容に不備がなければ審査が始まります。
不備があればその分スケジュールが延びます。50kW未満の太陽光発電の場合は、設備設置者からの委任を受けた工務店や販売会社などが申請手続きを代行できます。
この場合であっても、設備設置者が委任者の申請内容を確認し、「承諾」または「拒否」を行い、「承諾」が確認できてから審査に入ります。
認定を受けるには、どのような体制、設備・構造を整える必要があるのでしょうか?
事業計画認定基準の内容について、詳しく見ていきましょう。
ここでは、全量買取の対象となる10kW以上の発電設備について、平成29年4月に施行されたFIT法改正での変更点も含めて説明していきます。
売電期間全体(太陽光発電10kW以上は20年)を通して、発電設備が当初計画された性能を維持するための保証や、適切なメンテナンス体制が確保されていること。
電力会社が法令に基づく特定計量器(売電メーターなど)を使って、売電量を適正に計量できる構造であること。
太陽光モジュールやパワーコンディショナーなど発電設備のメーカーや発電機器の型番などが具体的に特定されていること。申請時にメーカーや型式番号などの記載が必要です。
変換効率が太陽光発電パネルの種類に応じて定められた変換効率以上のものであること。
シリコン単結晶・シリコン多結晶系の太陽光発電パネルは13.5%以上、シリコン薄膜系のパネルは7.0%以上、化合物系のパネルは8.0%以上の変換効率が定められています。
改正FIT法に基づく設備認定で、新たに要件が加えられました。新認定制度はこれまでの認定制度よりも、適切な事業の実施を確保する仕組みへと改正されました。ここでは、新要件の一部を紹介します。
再生可能エネルギー発電事業が定める調達期間(20年間)は、できるだけ長く効果的な事業の実施が求められます。そのため、事業計画段階から長期間の事業実施計画が明確に定められていることが求められます。
発電設備を適切に保守点検し、維持するための体制を整備すること。新制度では、発電を一定期間継続して行うことが可能となるように、発電設備のメンテナンスや管理への取り組みが必要です。
外部から見やすいように事業者情報について記載した標識を掲示すること(20kW未満の設備は除く)。
近年、再生可能エネルギー発電所が増加していることで、発電所の周辺地域住民や立地自治体が発電事業者の情報がわからず、不安を与えてしまうといった問題が生じています。
そのため、事業者名などを発電所周辺の見やすいところに掲示することで、管理責任を明確にし、地域住民に配慮することが求められています。
再生可能エネルギー発電事業を廃止する際の発電設備の取り扱いに関する計画が適切であること。
発電所が増加することで、発電事業が終了した後に設備が放置されたままになるのではないかといった懸念が高まっています。
そこで、事業計画の段階で終了後の設備を適切に処分できる計画かどうかを確認することが定められます。
10kW以上の太陽光発電については、認定取得から3年以内に運転開始を行うことができる計画であること。
FIT法の導入以来、太陽光発電設備による発電のコストは急激に低下しており、認定取得後に運転開始まで長期間かかってしまうと、実際の事業費用が買取価格算定時の想定コストより下回る可能性があります。
その場合、国民の負担が増え、発電事業者の利潤が必要以上に高まってしまうため、運転開始まで3年の期限が設けられました。
再生可能エネルギー発電事業を運営するにあたって、関係法令(条例を含む)の規定を遵守、および発電設備に関する法令の規定を遵守すること。
従来の認定制度では、設備認定後に送配電業者から接続の同意を得るという手順でも可能でしたが、事業計画認定制度では接続契約を締結していることが要件となり、事前に接続契約の締結が必要になりました。
ただし、平成28年7月1日~平成29年3月31日に認定を取得した案件については、経過措置として認定取得の翌日から9カ月以内に接続契約の締結をすれば良いことになっています。
事業計画認定後に「発電出力を増やしたい」「予算が増えた」といった理由で、運転開始までに認定内容が変わってしまう場合もあります。その場合には、事業計画認定の変更手続きが必要です。
以前の認定制度では、設備認定を受けてから電力会社への系統接続の申し込みを行う手順になっていましたが、この仕組みが未稼働案件の発生するひとつの要因になっています。
そのため、改正FIT法施行後は、送配電業者から接続の同意があることが事業認定の要件とされ、認定申請の時期が系統接続の契約締結後に変更されました。
これにより、すでに固定買取価格が高額なときに設備認定を受けていた場合でも、平成29年3月31日までに電力会社との接続契約が締結できないと、原則として認定が取り消されます。
認定が失効すると新たに認定申請をしなくてはならないため、売電単価は平成29年4月以降の単価が適用されます。
申請時より土地が多く確保できた場合や予算が増えた(抑えたい)など、一定の範囲内ならば「軽微変更届出」で、認定後であっても内容を変更できます。
例えば、発電事業者の変更も軽微変更届出で名義変更でき、認定事業者の氏名や名称などについては、名義変更を証明する書類と印鑑登録証明書とともに、変更の事後届出を行います。
国は再生可能エネルギーのさらなる普及・発展を目指しています。FIT法改正もそのための施策のひとつであり、設備認定の新制度によって、これまで問題視されてきた未稼働案件などの課題を改善できると考えられています。
改正によって公正な事業環境の整備が進むことで、競争力のある発電事業者や機器サプライヤーにとっては、太陽光発電をはじめとする再エネビジネスのチャンス拡大につながるでしょう。
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