執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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電力の小売り全面自由化が始まり、消費者が電力会社や電力料金プランを自由に選べるようになりました。
電力会社の間では、料金の値下げ競争も始まっています。
しかし、値下げにも一定の限界があります。その理由は、電力会社から一般家庭に電気を届けるために、託送料金を送配電会社に支払う必要があるからです。
今回は、託送料金の基礎知識や再生可能エネルギーへの影響についてご紹介します。
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目次
託送料金とは、電力を送るための送配電ネットワークの利用料金です。
送配電会社に送電を託しているという意味で、どの電力会社も必ず支払う必要があります。
電気事業者は、電力自由化に伴い「発電事業者」「送配電事業者」「小売電気事業者」の3つの事業に区分されました。
従来の一般電力会社はもちろん、新たに電力市場に参入する新電力会社も、事業内容によって3区分のどれかに属することになります。
発電した電気は、送配電ネットワークを通じて消費者に届けられますが、その間には、小売電気事業者と送配電事業者が存在します。
まず、発電事業者は小売電気事業者に発電した電気を売り、「発電料」を受け取ります。
小売電気事業者が買った電力は、送配電ネットワークを通じて供給契約を結んでいる消費者に届けられ、消費者は小売電気事業者に「電気料金」を支払います。
そして、小売電気事業者は消費者に電力を送る際に使用した送配電ネットワークの費用として「託送料金」を支払います。
いずれの電力会社も、電力を消費者に届けるためには、送配電ネットワークを利用しなければならないため、託送料金の支払いは義務ともいえます。
では、実際に託送料金はどのくらいかかっているのでしょうか。
送配電事業者は、電力の安定供給やトラブル防止の保安対策などのために送配電ネットワークの運用・メンテナンスコストを負担しています。
その中でも重要なのは、「調整力コスト」です。調整力コストは、出力の安定や周波数の維持など電力需給安定化のために必要なコストで、そのために託送料金が設定されています。
託送料金は、経済産業省の認可によって地域ごとに価格が決まっています。一般電力会社10社が出した申請に基づき、2015年12月に「託送供給等約款」が認可されました。
託送供給等約款は、電気を託送する際の条件を定めたもので、1kWhあたりの託送料金単価は電圧の大きさや契約種別で異なります。
例えば、2024年1月現在の東京電力における低圧電灯標準接続送電サービスの託送料金は1kWhあたり7.48円となっています。
一方、低圧電灯時間帯別接続送電サービスの託送料金は、昼間帯が1kWhあたり8.23円で、夜間帯が6.58円となっています。
高圧標準接続送電サービスでは1kWhあたり2.37円、特別高圧標準接続送電サービスでは1kWhあたり1.33円となっています。
一般家庭に供給される低圧電力が大幅に高くなっていますが、これは低圧電力を家庭や商店に配電するコストが高いためです。
託送料金は、電気を使用する際に必ずかかる費用として、消費者が支払う電気料金に上乗せされています。
電気料金の中で託送料金が占める割合は、燃料費・購入電力の50~60%に次いで25~30%となっています。託送料金が値上がりすると、必然的に電気料金も上がることになります。
託送料金は決められているため、電力自由化での市場競争に勝つために電気料金を値下げしたくても、一定以上の引き下げはできないのです。
電力会社の選び方は、消費者によって違います。より安い電気料金を求める人もいれば、環境に優しい再生可能エネルギーから生まれた電力を求める消費者もいます。
現在、国の後押しを受けて再生可能エネルギーの普及が進んでいますが、実は、託送料金は再生可能エネルギーの普及拡大の妨げになる可能性があるともいわれています。
再生可能エネルギーは、もともとの発電コストが火力発電や原子力発電に比べて高額です。さらに、一般家庭向けである低圧電力の託送料金が高いことで、電気料金をより押し上げる要因となります。
再生可能エネルギーの発電コストは徐々に下がってきていますが、託送料金の値上がりがあると電気料金も上がってしまうため、導入拡大の壁になると懸念されているのです。
送配電ネットワークは、すべての電力の安定供給と電気の品質を保つために重要です。そのため、送配電事業者は、電力自由化後もこれまで通り一般電力会社が担当しています。
送配電ネットワークの在り方については、経済産業省でも検討されています。
現在の託送料金は小売事業者が100%負担していますが、発電事業者と両方で負担すべきとの意見も出ています。
経済産業省は2020年4月をめどに法的な発送電分離を行うとしており、完全に発送電分離がされると、託送料金の価格も変わる可能性があると期待されています。
太陽光発電の導入が進むオーストラリアでは、政策的に託送料金の抑制が行われていて、日本でも、同様に託送料金を抑える政策が実行されれば、再生可能エネルギー導入の動きは今後さらに強まるとみられています。
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