新電力のPPSとは?電力自由化で広く知られたPPSとIPPの違い

2024.11.20

2016年4月から電力の小売り全面自由化が実施され、その過程で「PPS」や「IPP」など電力会社の呼称や分類がよく聞かれるようになりました。

これまで日本の電力事業体制は、複雑な仕組みになっていましたが、電力の小売り全面自由化をきっかけに大幅に簡素化されてわかりやすいものになるとみられています。

今回は新電力PPSやIPPの仕組み、全面自由化後の新しい電力事業体制についてご紹介します。

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目次

PPSって何?

電力自由化に伴い、メディアで目にすることが多くなった「PPS」という言葉。PPSとは、「Power Producer Supplier(特定規模電気事業者)」の略で、50kW以上の特定規模の需要者に対して電気を供給できる事業者を指します。

PPSとは?

これまで日本の電気供給は、東京電力や関西電力などの「一般電気事業者」と呼ばれる10社の電力会社による電力供給体制がとられてきました。

それに対しPPSは、2000年に行われた電力改革でスタートした電力の部分自由化を機に、電力事業に新規進出した事業者です。

10社の一般電気事業者とは競合関係にある電力事業者ですが、もともと電気を創っていたわけではありません。

では、どのような企業がPPSになったかというと、石油会社や化学系企業、ガス会社などの自家発電設備を持っている企業が電力の部分自由化で新規参入した例がほとんどです。

PPSの名称変更

経済産業省は2012年3月、PPSという呼称がわかりにくいという指摘が以前から多かったことを受け、新たに進出した電力会社という意味で、PPSを「新電力」という名称に変更しました。

その後、「大手地域電力会社」と「新電力会社」という名称が、一般的に使われるようになりました。

PPSは発電設備がない?新電力の供給方法

電力小売り全面自由化後、国内の電力事業体制は「発電事業」「送配電事業」「小売電気事業」の3つの類型に分けられました。すでに東京電力などの大手電気事業者は、ホールディングカンパニー制に移行し3事業に分社化しています。

新電力の場合も発電事業者と小売電気事業者に分かれており、電力自由化に伴い、2016年4月1日からPPSも経済産業省の小売電気事業者登録が必要になりました。

2016年10月24日現在、登録認定を受けた小売電気事業者は計356事業者にものぼります。発電と小売供給を両方行うPPSですが、発電設備を保有していないところも多くあります。発電設備がないPPSは、一般電気事業者や新電力会社の発電部門(会社)から供給を受けて稼働しています。

発電事業者の中には、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギー電力を発電している会社もあり、発電設備を持っていない場合はそうした発電事業者から再エネ電気の供給を受けているところもあります。

経営規模が比較的小さく自社で発電設備を保有していないこともあり、供給面での不安をもたれることもありますが、電気を多く使用する事業者や家庭には割安の料金メニューを提供するなどさまざまな顧客サービスを実施してメリットを打ち出しています。

PPSとIPPは何が違う?

PPSと似た名称の電力会社に「IPP」と呼ばれるものがあります。

PPSとIPPは、一体何が違うのでしょうか。両者の具体的な違いと全面自由化後の事業類型を見ていきます。

IPPとは?

IPPは「Independent Power Producer」の略で、独立系発電事業者を指します。

IPPは、1995年の電気事業法改正で登場した事業者で、大手の地域電力会社である一般電気事業者に電気を卸販売することが目的としていることから、卸供給事業者とも呼ばれます。

PPSの登場によって小売電気事業者に間違えられることが多くなりましたが、IPPは小売りを行っておらず、電力会社にのみ電気を卸販売しています。

IPPとPPS、両者の違いは、電力供給の中でどの部分を担うかにあります。

  • IPP:発電から電力会社へ届けるまでの部分
  • PPS:発電から企業や家庭へ直接電気を供給するまでの部分

自社で発電設備を保有していないことも多いPPSと比べて、IPPは発電設備があり、自家発電としてだけでなく余剰電力を売電することで収益性を高めることができます。

IPPが電力会社に電気を販売する場合は入札制がとられており、複数のIPPが電気卸販売の価格を競うことで、電力会社は有利な価格で電気の供給を受けることができます。

全面自由化後の事業類型

IPPは発電を事業としていることから、電気事業の類型の「発電事業者」に該当します。

PPSの場合は、自社の発電設備を所有している場合は「発電事業者」、発電設備を所有せず他の事業者から電気の供給を受けて小売り販売をする場合は「小売電気事業者」となります。

IPPと同様に、一般電気事業者に電気を卸販売する事業者として、「卸電気事業者」という類型があります。

卸電気事業者は、200万kWを超える出力の発電設備を所有する大規模事業者で、現在日本には「電源開発(J-POWER)」と「日本原子力発電」の2社が相当します。

小売り全面自由化で事業体制が簡素化

電力小売りの全面自由化は、2000年から始まった電力自由化の総仕上げと位置づけられています。PPSの登場で、従来よりも安く電力を調達することが可能になりました。

市場競争によって価格低下だけでなく、品質面の改善や多様な電力サービスの誕生が期待されており、電力のさらなる活性化と再エネなどの多様化が見込まれています。

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執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

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