太陽光発電の発電量はどの位になる?計算方法とシミュレーション
太陽光発電を設置したことを後悔するかしないかは発電量次第といっても過言ではありません。発電量に影響する要素は、太陽光パネルの設置枚数のほか、日射角度・パネルの角度・周辺環境や気候などさまざまです。事前にシミュレーションをとることで発電量を予測することは可能です。しかし太陽光パネルメーカーのシミュレーションでは周辺環境の影響までは考慮できません。実際に設置場所を調査する必要があります。
現地調査なしで太陽光発電を設置してしまうと、シミュレーション値は高かったはずなのに実際の発電量が想定値よりも少なくなり、思うような経済メリットを得られず後悔してしまう恐れもあります。

太陽光発電の設置の際には専門家による現地調査は必要不可欠です。ただし発電量に影響する要素を理解しておけば問題なく発電できるかどうかは予想することはできます。この記事では、これから太陽光発電を設置しようとする方に向けて、発電できるかを予測するポイント、発電量の仕組みをはじめ、発電量の計算方法や発電量低下の原因などを紹介します。

太陽光発電の発電量の仕組みについて

太陽光パネルの仕組み

一般的な太陽光パネルを表面から見てみると、正方形の板のようなものが敷き詰められているのがわかります。専門用語では、以下の呼び方となっています。

  • セル:最小単位、パネルの中に組み込まれている1つ1つの太陽電池
  • モジュール:太陽光パネルのこと

また、太陽光パネルを複数設置する時は、以下のような呼び方で数えられます。

  • ストリング:モジュール(1枚のパネル)を直列に接続したもの
  • アレイ:ストリング(直列に接続された複数のパネル)を並列に組み合わせたもの

太陽光発電の発電量を決める要素

次に太陽光発電の発電量を決める要素、仕組みを1つずつ説明します。
発電量は太陽光パネルの枚数はもちろん、設置箇所や角度など多数の要素から算出されます。
実際の発電量は例えば「250W(ワット)」というような太陽光パネルのカタログスペックの数値とは異なる点を理解しておきましょう。

  • カタログスペック:理論上の発電量、理想の状況で発電した場合の数値
  • 実際の発電量:複数の要素が組み合わさることで決まる

太陽光パネルの設置枚数

発電を行うためには太陽光パネルが必須です。太陽光発電の発電量は、単純に設置枚数を増やすことで上げることができます。理論上、10枚を20枚に増やせば、2倍の発電量を期待できます。(熱損失など除く)

住宅用太陽光発電は屋根に設置するのが一般的なため、設置枚数に物理的な制約がでてきます。
加えて住宅用太陽光発電は太陽光パネルもしくはパワーコンディショナーの容量のいずれか小さい値が10kW未満でなければなりません。

広い屋根の場合10kW以上設置することが物理的に可能なケースもあります。
10kW以上の太陽光発電パネルを設置する場合は以下のいずれかを採用することになります。

①産業用太陽光発電として設置する
②パワーコンディショナーの容量を超えて多数の太陽光パネルを設置した過積載太陽光発電システム

産業用太陽光発電の場合は売電期間が20年になりますが売電単価が下がります。
住宅用太陽光発電も産業用太陽光発電も自家消費・余剰売電となり、2020年度より全量買取は廃止されました。

過積載太陽光発電システムは設置条件やメーカーによっては保証が適用できないケースもあるため注意が必要です。

太陽光パネルの面積

太陽光パネルは、メーカーや仕様によって面積が異なります。
後程説明します「太陽光パネルの変換効率」が一定である場合、基本的には1枚当たりの面積の広い太陽光パネルを設置すればその分発電量も増えるといえます。

反対にパネル1枚当たりの面積が小さい程、発電量は少ないのでパネルを増やして設置面積を増やすことで全体の発電量を高めることができます。
しかし、住宅の屋根に設置する場合は、太陽光パネルを設置できる面積に限界があるため、大きな太陽光パネルやたくさんの太陽光パネルを設置して発電量を増やすことが難しい場合があります。

では、どのように対策を施すのかということですが、変換効率が高い太陽光パネルを設置したり屋根の形状に合った太陽光パネルを購入したりする方法がおすすめです。
太陽光パネルは正方形だけではありません。長方形や三角形・台形なども販売されているので、可能な限り設置することも可能です。

日光を直流電力へどれだけ変換できるか

太陽光発電で発電するためには、日光が必要不可欠です。晴れの日は発電日和といえるでしょう。
そして発電量を決める大きな要素が、日光をどれだけ電力に変換できるかという「変換効率」です。
太陽光パネルの「変換効率」は、太陽電池の素材によって大きく変わりますが約10~20%程度です。

変換効率は各メーカーのカタログに表示されていますが、計算式で表すと以下になります。

【太陽光パネルの変換効率】

(公称最大出力(W)×100)÷(パネル面積(㎡)×1000(W/㎡))=太陽光パネル1枚あたりの変換効率

太陽光パネルを構成する太陽電池は、結晶シリコンを使用したタイプや化合物を使用したタイプなど、さまざまな種類に分かれています。

また、各素材には変換効率に関する特徴があります。

素材 変換効率 特徴
単結晶シリコン 約20% ・他の素材と比較して熱に弱い
・製造コストが高い
・変換効率が高い
多結晶シリコン 約15% ・製造コストが安い
・変換効率は中程度
薄膜シリコン 約10% ・変換効率が低い
・熱による影響が少ない
ヘテロ接合型シリコン 約19% ・熱による影響が少ない
・変換効率が高め
・製造コストが高い
・製造方法が複雑
化合物系(CIS、CdTe) 約15% ・製造コストが安い
・変換効率は中程度
有機系 約10% ・薄くて柔らかい
・研究段階

太陽光パネルに使用されているのは、有機系太陽電池を除く5種類で、商品の仕様を示す取扱説明書やカタログなどに記載されています。

設置場所と方角

太陽光パネルに当たる日射量が多ければ発電量も増えます。日射量はパネル・日光の方角や角度によって大きく変わります。

太陽光パネルの適切な設置角度は緯度によって異なりますが、凡そ水平方向から30度です。角度の影響は0度(地面と並行)から水平方向から40度の間で10%程度も発電量が増減します。

太陽光パネルの方角については、南向きに設置すると効率よく発電できるのが特徴です。東・西に設置した場合は南向きに対して80%台の発電効率、東南・西南の場合は90%台の発電効率が期待できます。
北面設置は南向きに比べて60%程度まで発電量は下がります。また北面設置は反射光の影響で近隣へ迷惑がかかる可能性があるため推奨されていません。

日射量と日照時間

太陽光発電の発電量は、設置地域によっても大きく変わります。なぜなら、日本の中でも地域によって日射量や日照時間が異なるためです。

日射量とは地上の届く光エネルギーの量で、日照時間は太陽光が当たる時間のことです。どちらも発電量や出力(電力量)に影響を与えています。

  • 日射量: kW/㎡単位で表記
  • 日照時間:直射日光の日射量が120W/㎡以上の時間

周辺環境

太陽光発電は、周辺環境によって思わぬ発電量の増減につながることもあります。

たとえば太陽光発電を設置した場所の隣に日差しを遮る木や建物があったり、木の葉がよく飛来してきたりするといった事象です。
特に木や建物によって日陰になるケースはめずらしくありません。太陽光発電の設置前に、自宅周辺の環境について確認してみるのが大切です。

季節・気候による発電量の変化

  • 気温:太陽光パネルは高温に弱く発電効率が下がる。
  • 季節:冬は日照時間の短さや日光が当る角度の影響により発電量が下がる。
  • 天気:晴れの日はもちろん発電量が多いが、曇りや雨の日でも発電量0ではない。

発電量について計算式を用いてシミュレーション

続いては、実際に発電量をシミュレーションするための計算式と仕組みについて説明します。
太陽光発電の発電量は計算可能ですので、業者によるシミュレーションと照らし合わせてみるのもおすすめです。

それでは、まず計算式と計算方法から見ていきましょう。

太陽光発電の予測発電量の計算

太陽光発電の予測発電量は、太陽光パネルの発電量と損失をかけることで求めることができます。

年間の予測発電量を求めたい場合は、以下の計算式を用います。

年間の予測発電量=太陽光パネルの発電量 × システムによるロス

そして具体的な計算式は、以下の通りです。

  • Ep = H × K × P ×365÷1
  • Ep:年間の予測発電量
  • H:1日の平均的な日射量
  • K:損失係数。太陽光発電システム稼働に伴う、熱によって下がる発電効率を考慮した数値
  • P:太陽光発電システムのシステム容量。太陽光パネル×設置枚数の発電能力(電力量)
  • 1:日射強度

予測発電量の計算例

予測発電量を計算するためには、前段で触れた各要素を考慮しなければいけません。

1日の平均的な日射量を確認するためには、観測データの記録・公開しているNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)から自身の住んでいる地域を確認できます。

例:東京都、4月1日の日射量H:平均4.26kWh/㎡

損失係数Kについては太陽光発電協会のガイドラインによると、0.75と指定しているので活用してみましょう。(一般社団法人太陽光発電協会:太陽光発電の普及促進や自主規制や啓発など)

システム容量Pは、太陽光発電のカタログや仕様表などに記載されています。今回は8kWの住宅用太陽光発電システムを想定して計算してみます。

それでは上記の要素を以下の計算式に当てはめてみましょう。

Ep = H × K × P ×365 =4.26kWh/㎡×0.75×8kW×365日=9329.4kWh

年間の予想発電量は9329.4kWhとなりました。1ヶ月に換算すると平均約777kWhです。

発電量低下の原因

ここからは、太陽光発電の発電量が低下する主な原因を紹介します。太陽光発電を既に設置した方も、この機会に確認してみてください。

パネル温度が上がると発電量低下

太陽光発電システムは気温上昇などによって発電量が低下します。なぜなら、単結晶シリコン型など多くの太陽電池は、高温によって発電効率が著しく下がる性質があるためです。

太陽光パネルの発電効率を保てる気温は25度で、近年記録されている夏場の30度や35度、40度といった気温では本来の発電効率を期待できません。
ただし、熱損失による発電量低下を改善したヘテロ接合型太陽電池は、一般的な結晶シリコン系太陽電池よりも発電効率を保てます。

パネル表面に木の葉や泥・砂が積もる

太陽光発電は外に設置しなければいけないため、太陽光パネルに泥や砂といった汚れが積もることがあります。
【太陽光パネルに積もりやすいもの】

  • 雨による水アカ
  • 砂ぼこり
  • 台風や強風によって泥が付着
  • 近所の木の葉や枝などが風によって飛来
  • 鳥のフン
  • ホコリが積もる

太陽光パネルにホコリや砂などが積もると、日光を遮ってしまうため発電量が減少してしまいます。
余程の汚れがのっている場合は発電量が著しく低下しますが、太陽光パネルの汚れは雨風によって自然がメンテナンスしてくれます。
覚えておきたいことは、発電量の低下は発電モニターやパワーコンディショナーを見れば確認することができます。
発電量が低下していると思ったらご自身で屋根に登り洗浄するのは大変危険ですので、太陽光発電専門の販売店や保守管理業者へ依頼しましょう。

経年劣化による発電量低下

太陽光発電は20年や30年程度はメンテナンス・消耗品を交換しながら発電できるのが強みです。
ただし太陽光パネルの発電効率は経年劣化によって少しずつ低下してしまいます。

太陽光発電の安心のポイントの1つとして、多くのメーカーが長期出力保証を設けています。
太陽光パネルの設置年数に応じて発電性能を保証しており、太陽光パネルの発電性能が低下した場合に修理・交換に応じてくれます。

積雪や塩害による発電量低下

太陽光発電の設置地域が、どのような気候なのか確認することも大切です。

たとえば海に近い場所に太陽光発電を設置している場合は、塩害によるサビや腐食などによる発電量低下・破損も考えられます。
また、一般的に海から2km以内の地域は、塩害地域に指定されており、塩害を受ける可能性があります。

他には例年積雪量の多い地域に設置した場合も、積雪による発電量低下を考えなくてはいけません。特に積雪量が多い地域では、太陽光パネル全体に雪が積もり発電量0になることがあります。逆に、周辺に積雪があり太陽光パネルに雪が積もっていない場合は、散乱光を受けて発電量が上昇するケースもあります。

まとめ

太陽光発電は売電収入と電気代削減効果によって設置費用以上の経済効果を得られる機器です。

ただし太陽光発電に適さない住宅や好ましくない条件で設置をしてしまうと、発電量が思うように高まらず設置費用以上の経済効果を得るのにかなりの時間がかかってしまう可能性があります。

太陽光発電の販売店が提示してくれる発電シミュレーションを頼るのはいいですが、実際に発電できるかどうか設置してみるまでは不安でしょう。

発電量に影響する要素をご自身で把握することで問題なく発電できるかどうかは予想できます。

これから太陽光発電を購入される方はこの記事に記載してある太陽光発電の発電量に影響する要素をしっかりと理解しておきましょう。