執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
ゆめソーラーマガジンは、福岡・佐賀・熊本・鹿児島の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。|SNSで情報発信中!▶公式Instagram
太陽光発電システムで発電を行うためには、「太陽光パネル」が必要です。「太陽光パネル」は主に住宅の屋根や遊休地などに設置されています。
この記事では、そんな太陽光パネルの発電量について、初心者の方にもわかりやすく解説していきます。
「あなたのご家庭ではどれくらいおトク?太陽光発電のシミュレーションを”無料”でお試しください!」≫
目次
太陽光パネルの発電量は、なにか1つの条件ではなく、複数の条件によって決まります。ここでは、太陽光パネルの発電量を決める要素について解説していきます。
太陽光パネルには、太陽光エネルギーをどのくらい電気に変換できるかを表すエネルギー変換効率が存在しています。基本的には、エネルギー変換効率が高い太陽光パネルほど、性能が高い太陽光パネルになります。
性能が良い太陽光パネル(エネルギー変換効率が高い太陽光パネル)のほうが、同じ条件の環境であっても、より多くの電気を発電することが可能となります。
2024年時点での、住宅用太陽光パネルのランキングは以下の通りです。
※各メーカーの最も変換効率が高い太陽光パネルにて比較しています
※同じメーカーの太陽光パネルであっても、製品によっては上記の変化効率を下回ります
なお、変換効率には「モジュール変換効率」と「セル変換効率」の2つがあります。
モジュール変換効率は一般的に太陽光パネルの性能を表す指数です。1平方メートルあたりの太陽光パネルの変換効率を表す指標で、以下の計算式で導き出すことができます。
セル変換効率は、太陽電池パネルを構成している最小単位(太陽電池セル1枚)あたりの変換効率を表す指標です。電気抵抗の影響を受けないセル変換効率は、モジュール変換効率に比べて値が高くなる傾向があります。そのため、太陽光発電業者のなかにはセル変換効率を強調することで、性能を良く見せようとする業者も存在します。
セル変換効率は、以下の計算式で導き出すことができます。
太陽光パネルに使用されている素材にはいくつか種類があり、現在市販されているパネルに使用されている素材には、大きく分けて「シリコン系」と「化合物系」があります。
また、シリコン系の中にも、「単結晶シリコン」「多結晶シリコン」「薄膜シリコン」の3タイプが存在します。
パネルを構成する最小単位である「セル」全体が、ひとつの結晶になっているタイプのものを、単結晶シリコンと呼びます。他の種類のシリコン系パネルに比べて変化効率が高く「20%前後」で、古くから使用されています。しかし、太陽光パネルの素材の中では最も製造コストが高い(価格が高い)というデメリットもあります。
小さなシリコン結晶を集めて作られるのが「多結晶シリコン」です。
単結晶シリコンのデメリットであるコストの高さを解消する目的で開発されました。低コスト化には成功しましたが、変換効率は「15%前後」と単結晶シリコンに比べてやや低くなっています。
薄膜シリコンは、その名の通り薄い膜のようなタイプの太陽光パネルで、折り曲げられるうえに重量も軽いといった特徴があります。
重い重量を載せられない屋根や、壁などにも取り付けることができるので、従来の太陽光パネルよりも多様に設置できる素材になります。
薄膜シリコンの最大のメリットはコストが安いことで、製造に必要なシリコン量は多結晶シリコンの100分の1で済みます。ただし、変化効率は「10%前後」と低めのため住宅屋根への太陽光発電システムには不向きです。
なお、薄膜シリコン太陽電池には、「微結晶シリコン」と「アモルファスシリコン」の2種類があります。
CIS太陽電池とも呼ばれる化合物系太陽電池は、「銅・インジウム・セレン」という3種類の元素を組み合わせて作られた「化合物半導体」を使用しています。
結晶シリコン系太陽電池よりも低コストで生産できるのが特徴で、たくさんの太陽電池モジュールを設置する必要がある産業用太陽光発電ではよく使用される太陽光パネルです。変換効率は「15%前後」と多結晶シリコンと同程度ですが、現在も変化効率の改良が進められています。
太陽光発電システムは、太陽光パネルを何枚も設置して発電を行います。この設置する枚数が多ければ多いほど、発電量も多くなります。
なお、太陽光パネルの枚数に応じて、「kW」の単位で表されるシステム容量が変化します。このシステム容量が10kW未満のものを住宅用太陽光発電と呼び、10kW以上のものを産業用太陽光発電と呼びます。住宅用太陽光発電と産業用太陽光発電で、1kWhあたりの売電価格や、FIT(固定価格買取制度)の売電期間が異なります。
太陽光パネルの発電量は、太陽光パネルを設置する方角や角度によっても異なります。太陽光パネルが最も発電できる方角と角度ですが日本国内においては以下のようになります。
日射量とは、太陽光エネルギーの量を示しています。日射量は地域ごとで異なるため、太陽光パネルを設置する地域によって発電量は変動します。
ここでは、日本における太陽光発電システムの発電量の考え方について解説していきます。
日本では、太陽光発電システムの発電量を計算する場合、システム容量1kWあたりで年間約1000kWhの発電量とする場合が多いです。
ただし、これは発電量の概算を出したい場合に有効な方法で、実際には地域ごとに発電量は異なります。
住宅用太陽光発電は、システム容量10kW未満という決まりがあります。
そのため、理論上ではシステム容量9.9kWまでは屋根に載せることができますが、実際は屋根の広さ(パネルの設置面積)や費用面などの関係で、システム容量3~5kWの太陽光発電が主流となっています。
NEDOの日射量データベースから計算をすることで、日本全体の年間平均発電量を算出することができます。以下、1kWあたりの日本全体の月ごとの平均発電量です。
日本には四季がありますので、季節ごとに太陽光発電の発電量も変化することがわかると思います。
ここでは、普段は聞き慣れない太陽光発電システムの発電量の単位や用語について解説していきます。
まず、よく使われる発電量などの単位に、kWとkWhがあります。
kW(キロワット)とは、太陽光パネルの瞬間的な発電能力(出力)を表しています。実際の発電量は、「kW(キロワット)×時間」で導き出されるkWh(キロワットアワー)で表されます。
kWh(キロアットアワー)とは、太陽光発電が「1時間でどのくらい発電できるか」を表しています。例えば、太陽光発電の「5kW」の太陽光発電システムを1時間発電させた場合、「5kWh」の発電量を確保できることになります。
公称最大出力とは、一定の条件のもとで太陽光パネル1枚あたりにどの程度の発電能力が有るかを示した値です。定格出力とも呼ばれます。
この公称最大出力が高いほど、パネル1枚あたりの発電量は多くなります。なお、一定の条件とは、以下のようになっています。
公称最大出力は、カタログなどを見れば載っていますが、以下の計算式で導き出す事もできます。
日本で発売中の太陽光パネルの公称最大出力(太陽光パネル1枚あたりの発電量)はメーカーや製品によって幅広く分かれています。
システム容量とは、上記のパネル1枚あたりの公称最大出力に、太陽光パネルの設置枚数を掛けた値で、太陽光発電システム全体の発電能力を表しています。
たとえば、公称最大出力300Wの太陽光パネルを、20枚屋根に設置したとすると、
となり、このシステム容量は「6kW」ということになります。
ここでは、太陽光発電システムの発電量の計算方法や、発電量を導き出すための要素について解説していきます。
太陽光発電システムの1日あたりの発電量および年間発電量は、以下の計算式で導き出すことができます。
以下、上記の計算式で用いられる各要素の解説です。
なお、損失係数については、以下で詳しく解説していきます。
ここでは、上記で登場した損失係数(発電量を下げる要因)の内容について、詳しく解説していきます。
損失係数の1つに気温があります。太陽光パネルの公称最大出力は、気温25度の環境下で測定された数値です。
そのため、25度を1度超えるたびに0.5%ほど発電量が低下すると言われています。従って、夏場など日射量が多くても高温の季節になると、損失係数も多くなる計算になります。
パワーコンディショナーは、太陽光発電で創った直流電気を家庭内の電力系統と連系するための交流電気に変換する役割などを担う機器です。
この直流から交流への変換時に約5%のロスが発生します。なお、パワーコンディショナーの変換効率は、どのメーカーも95%以上の高い数値を誇っています。
太陽光パネルに汚れがつくと、発電量の損失に繋がってしまいます。鳥の糞などが代表的な汚れですが、例えば落ち葉がパネルの上に落ちて影ができてしまう場合などでも、発電量は低下してしまいます。
注意したいことは、太陽光パネル上の部分的な汚れであっても、発電量の低下はそのパネルを接続している回路全体に影響し、大幅な発電量低下につながるため注意が必要です。
太陽光パネルは購入から10年間「2.7%」、20年間「5.4%」、30年間「8.1%」の発電量が、経年劣化によって低下すると言われています。
なお、メーカーが行っている出力保証では、「10年間で公称最大出力81%以上を保証(パナソニックの場合)」など、年数が過ぎても一定値以上の発電量を保証してくれています。
しかし、上記の経年劣化の計算どおりであれば、基本的には出力保証の対象となることはあまり無いと思われます。
ここでは、太陽光パネルの気温による損失係数を、メーカー別に比較していきます。
この比較により、気温の上昇に強いメーカーとそうでないメーカーを判別できます。
なお、比較しているメーカーは、カナディアン・ソーラー、パナソニック、シャープの3社です。
※上記は各メーカーサイトに掲載されている損失係数を参照しています。
※設置条件などにより、損失係数は異なる場合があります。
「あなたのご家庭ではどれくらいおトク?太陽光発電のシミュレーションを”無料”でお試しください!」≫
太陽光パネルの発電量は、太陽光パネルやパワーコンディショナーの変換効率といったシステム上の要因、設置枚数や設置場所といった設計上の要因、さらには気温や天候などの気象条件等によって変化します。
同条件の太陽光発電システムを設置した場合でもこれらの条件によっては実際の発電量が大きく異なることもあります。ただし、設置前の段階でどの程度の発電量が見込めるかはシミュレーションをすることでほぼ正確に割り出すことが可能です。
今回の記事では1kWのシステムでの年間発電量の概算値なども案内しましたが、より正確な見積もり・シミュレーションが必要であれば太陽光発電の販売・施工業者等に相談することが一番です。
ただし専門業者の見積もり・シミュレーションを利用する場合でも、太陽光パネルの発電量を左右する条件はしっかりと把握しておきましょう。
記事をシェアする
年中無休 10:00~20:00 (年末年始を除く)
Contact
太陽光発電・蓄電池のことや費用についての
ご質問・ご相談はお気軽にご連絡ください。