執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
ゆめソーラーマガジンは、福岡・佐賀・熊本・鹿児島の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。|SNSで情報発信中!▶公式Instagram
太陽光発電の際に必要な「パワコン」ことパワーコンディショナー。
普段、操作することはなく自動で運転してくれるため、名前は知っているものの、具体的にどんな働きをしているのかわからないという人も多いのではないでしょうか。
パワーコンディショナーは、太陽光で発電した電気を家庭で使用できるようにするために欠かせない、大切な役割を果たしています。
今回は、パワーコンディショナーの基礎知識から選び方のポイントまで、わかりやすく解説します。
「あなたのご家庭ではどれくらいおトク?太陽光発電のシミュレーションを”無料”でお試しください!」≫
目次
パワーコンディショナーは、太陽光発電で創っただけでは使えない電気を家庭で使える電気に変換するだけでなく、太陽光発電システム全体を効果的・効率的に稼働させるなど、重要な働きを担っています。
パワーコンディショナーは、パワコンやPCS(Power Conditioning System)と呼ばれ、太陽光パネルで発電した電力を、家庭で使用できる電力に変換しています。海外では主に、PVインバータと呼ばれています。
PVはPhotovoltaicを略した用語で「光で発電する」という意味があり、インバータは「直流を交流に変換」、あるいは「直流・交流から周波数の異なる交流に変換」する装置を指します。
普段、私たちが家庭で使用している家電製品などは、電力会社から送電されてくる「交流電力」という電気を使っています。
しかし、太陽光発電システムで発電した電気は「直流電力」なので、そのままでは家庭で使えません。
そのため、パワーコンディショナーで直流電力から交流電力へ変換する作業を行っています。
太陽光パネルで発電した直流電力をパワーコンディショナーへ送り、交流電力に変換して分電盤へ送ります。
このとき、直流電力から交流電力への変換効率は100%ではなく、変換時に少量のエネルギーロスが発生します。
住宅用太陽光発電システムで使用されるパワーコンディショナーの変換効率は一般的に95%前後で、変換効率が高いパワーコンディショナーほど太陽光パネルで発電したエネルギーを有効に活用していることになります。
また、変換効率はパワーコンディショナーの性能を表す数値でもあり、この数値が高いほど商品の価格も高くなる傾向にあります。
パワーコンディショナーには、電力を変換する以外にも重要な役割があります。
メーカーによっても異なりますが、代表的なパワーコンディショナーの役割をご紹介します。
太陽光発電のデメリットといえば、日照時間や天候によって発電量が左右されることです。
特に曇天の場合、太陽光パネルで発電される電力は、電圧と電流の変動が大きく発電量が不安定になりますが、そのような条件の中でも、より多くの電力を安定して供給できるようパワーコンディショナーが調整しています。
それが、MPPT(最大電力点追従制御)という機能です。
太陽光発電パネルは、電流と電圧が一定の組み合わせのときにしか発電できない仕組みになっています。
天候によって電圧と電流が変動した際、より多くの電力を安定して供給できるように発電し、その発電量が最大となるよう、パワーコンディショナーが電圧と電流を組み合わせて調整する機能がMPPTです。
MPPTは、日射量や温度によって常に変動する電圧と電流から、発電量が最大になる電圧と電流の組み合わせ(最大出力点)を自動で見つけ出して発電量を維持できるように制御する働きがあります。
系統連系保護機能もパワーコンディショナーの大切な役割のひとつです。
系統連系とは、電力会社から電気を買ったり、太陽光発電で余った電気を余剰電力として売電したりする際に、電力系統と連携させるための仕組みです。
周波数の上昇や低下の検出、過電圧・電圧不足、系統電力の停電などを検出して太陽光発電設備を電力会社の電力と切り離す働きをしています。
電力会社が供給する電力は、周波数・電圧などを一定の品質に維持しています。
電線によって自宅と外の電線をつないでいるため、万が一トラブルが発生すると、自分の家だけでなく地域全体を巻き込んでしまう可能性があります。
これを防ぐための機能が系統連系保護機能です。
具体的には、周波数の上昇や低下を検出したり、過電圧・電圧不足、系統電力の停電を検出して太陽光発電システムを電気系統から切り離したりする機能など、系統電圧の上昇を抑制し保護するためのものです。
異常が発生した場合には、パワーコンディショナーが出力を遮断し、自宅の家電製品や電気系統を守って事故を防いでくれます。
太陽光発電設備は、災害などの停電時に電気が使えることが大きなメリットです。
パワーコンディショナーの「自立運転機能」が非常時の電力使用を可能にしています。
パワーコンディショナーには、自立運転機能が付いた機器があります。
自立運転機能とは、災害や雷などによる停電時でも太陽光発電で創った電気を使用できる機能のことで、この機能がないパワーコンディショナーの場合、せっかく発電していても停電時に溜めた電気を利用できません。
自立運転機能は、災害時に電気が使用できないリスクに備えるための大切な機能です。
自立運転機能付きパワーコンディショナーは、1,500W程度の電力を使用できるように設計されています。
消費電力の小さな電気製品は同時に複数台使用できますが、消費電力の大きな電気製品は、1,500Wを超えないように利用しなければなりません。
自立運転機能付きパワーコンディショナーは、他のパワーコンディショナーよりも価格が高く設定されていますが、非常時に備えるには不可欠な機能といえるでしょう。
機器の故障の原因について知っておくことは、メンテナンスによる寿命を延ばすことに役立ちます。
パワーコンディショナーの寿命と主な故障の原因について見ておきましょう。
使用環境の違いや個体差などもありますが、一般的なパワーコンディショナーの寿命は10~15年程度です。
太陽光発電パネルが20~30年とされており、それに対してパワーコンディショナーは寿命が短いといわれています。
寿命が短いとされる理由は、パワーコンディショナーには可動部分があるからです。
太陽光発電パネルは、半導体の性質を利用して内部を電子が移動することで発電しているため、摩耗が生じることはありません。
一方、パワーコンディショナーは可動部分があるため、動く部分の部品が摩耗して早く劣化し、故障の原因となってしまうのです。
パワーコンディショナーの主な故障原因としては、「初期段階の接続不良」「熱や経年変化による部品の劣化」「外部環境による悪影響」の主に3つが考えられます。
初期段階の接続不良の場合は、ケーブルの接続不良によって部品が熱で破損したり、ケーブルが断線・切断したりして動作しなくなることがあります。
ただ、これは設置工事業者の検査の問題のため、パワーコンディショナーそのものが原因で起こるわけではありません。
熱や経年変化による部品の劣化は、ほとんどの電気製品に発生する問題です。
長年使用することで部品や可動部分に摩耗が起こり、故障の原因となります。
換気フィルターの目詰まりを防止するなど、日頃のメンテナンスをしっかり行うことで故障する確率を抑えることができます。
外部環境である風雨、ホコリ、虫などがパワーコンディショナーに悪影響を与え、故障を引き起こすこともあります。
たとえば、雨などの水分は電気回路がショートする原因となり、ホコリは熱を発生させて部品の故障を早めます。
パワーコンディショナーは、太陽光発電システムの中で最もトラブルが多い箇所といわれています。
どのような点に注意して選べばよいのでしょうか。
パワーコンディショナーを選ぶ際のポイントをご紹介します。
パワーコンディショナーを選ぶときに目安となるのが、変換効率の高さです。
変換効率は直流電力から交流電力に変換するエネルギー効率の良さを表したもので、変換ロスが大きく、効率が低ければ低いほど利用できる電力は少なくなってしまいます。
太陽光発電システム全体で、価格は下がりつつあります。
太陽光発電パネルとパワーコンディショナーを一式で購入する場合は、システム価格として考えるため、パネルやメーカーによって大きく異なります。
ただし、パワーコンディショナーは太陽光発電の認定を受けた施工業者しか購入できないため、1社のみから提示された価格だけではなく、数社からシステム価格の見積もりを出してもらって検討すると良いでしょう。
パワーコンディショナーが出力できる最大電力値のことを最大定格出力といいます。
太陽光パネルの定格出力がパワーコンディショナーの最大定格出力を上回っても、使用可能な電力に変換することはできないため、せっかく発電したエネルギーを捨ててしまうことになります。
パワーコンディショナーの最大定格出力と検討している太陽光パネルの定格出力をどちらもチェックすることが必要です。
家電や車に保証が付いているように、パワーコンディショナーにもメーカー保証が付いています。
保証期間は10年のものが多いようですが、その内容はメーカーによって異なります。
太陽光発電システムを一式で購入すると、ほとんどの場合、太陽光パネルを合わせたシステム全体での保証期間となります。
パワーコンディショナーは、容量によって大きさが変わります。
住宅用は小型のエアコンほどの大きさですが、屋内にパワーコンディショナーを設置したいときは、配線の関係からブレーカーの近くにしか設置できない場合があるため、スペースを確保できるか確認しておきましょう。
蓄電池一体型ならパワーコンディショナー単体よりも少し大きくなりますが、蓄電池とパワーコンディショナーを別々に設置する場合と比べると、小さなスペースで済みます。
両方の導入を検討している場合は、スペースの節約ができる蓄電池一体型が良いでしょう。
パワコンの買い替えと蓄電池をご検討なら?ご家庭の太陽光発電と相性のいい蓄電池を”無料”シミュレーション!≫
パワーコンディショナーは、太陽光発電システムにおいてとても重要な役割を果たしています。
太陽光パネルと同じメーカーやセットで購入する場合が多いので、太陽光発電の導入を検討する際にはパネルだけでなく、パワーコンディショナーの性能や価格なども含めて最適なものを選ぶことが大切です。
変換効率や最大定格出力、大きさ、保証内容も含めて広い側面からいろいろなメーカーを比較検討するようにしましょう。
記事をシェアする
年中無休 10:00~20:00 (年末年始を除く)
Contact
太陽光発電・蓄電池のことや費用についての
ご質問・ご相談はお気軽にご連絡ください。