パワーコンディショナーとは?パワコンの仕組みや価格・選び方

太陽光発電システムの発電量は、屋根に搭載する太陽光パネルの性能だけで決まると思っていませんか?実は、太陽光発電システムの発電量を最大化するうえで見逃せないのが「システムの心臓部」ともいえるパワーコンディショナーの性能です。

この記事では、パワーコンディショナーの基本的な知識や選び方、寿命や修理・買い替えの判断基準など、これから太陽光発電を検討される方にとってわかりやすいようご案内していきます。

目次

パワーコンディショナーとは

パワーコンディショナー

パワーコンディショナーは、太陽光発電システムの重要な機器の一つです。

主として「太陽光発電システムで作られた直流の電力を、交流電力に換えて家庭に送る」機能を有しています。「パワコン」や「PCS(Power Conditioning System)」とも呼ばれ、海外では一般的に「PVインバータ」とも呼ばれています。

パワーコンディショナーの変換の仕組み

そもそもなぜ発電した電気を変換する必要があるかというと、太陽光発電システムで作られた電力と家庭に流れている電流の属性が違うためです。

太陽光発電システムで作られるのは「直流電流」と呼ばれるものですが、家庭を含む電力系統に流れる電力は「交流電流」です。太陽光発電で発電した「直流電流」を電力系統に送り込むために「交流電流」に変換します。

太陽光発電で創った電気を、パワーコンディショナーによって変換し、その電力を分電盤に送ることで発電した電気をご家庭で使うことができます。

しかし、発電した電気を全て交流電力に換えることはできず、どうしても変換する際に電力損失が生じてしまいます。どれだけ小さなロスで変換できるかで、発電した電気を無駄にせずに効率よく活用できるかが決まってきます。それをパワーコンディショナーの「変換効率」といい、性能の向上により95%程度の変換効率が現在では主流になっています。

変換だけじゃない!太陽光発電におけるパワーコンディショナーの役割

パワーコンディショナーの主な役割は直流電流を交流電流に変換して家庭で使えるようにすることですが、ほかにも太陽光発電システムには欠かせない重要な役割をいくつも果たしています。そこで、発電以外にあるパワーコンディショナーの役割についてご紹介していきます。

太陽光発電の発電量を最大化

パワーコンディショナーの重要な役割のひとつが発電量を最大化することです。発電量は太陽光パネルの電圧と電流の掛け算(電力量)によって決まりますが、気温や天気、影の影響などによって発電量を最大化するための最適な電圧と電流の組み合わせは刻々と変動します。パワーコンディショナーによって発電量が最大になるように最大電力を自動調整することができます。

この機能を「最大電力点追従機能(MPPT)」といい、最大の電力量を取り出すことができるメリットがあるため、産業用などの大規模なシステムでは必須の機能と言えます。

系統連系保護機能

売電を行う際に、万が一のトラブルから自分の家や周囲の家を守るのが「系統連系保護機能」です。

太陽光発電システムで作った電気を電力会社に売電する場合、家庭から外部の電力系統(電線)に電気を送り出します。そのため、万が一太陽光発電の電力系統にトラブルが生じた場合、被害は周囲の家々にも及ぶことも想定されます。

そうした事態を防ぐために、パワーコンディショナーを通じて周波数の急激な上下や電圧の過不足といった異常の発見と異常時の出力の遮断を行います。余った電力を安全に売電するために欠かすことのできない機能であり、売電を行う太陽光発電システムが増加した昨今、重要性の高い機能と言えます。

パワーコンディショナーの寿命は10年?

パワーコンディショナーの寿命(耐用年数)は、一般的に10~15年と言われています。これは、冷蔵庫や洗濯機などの家電製品と同じくらいの寿命(耐用年数)です。

ちなみに、太陽光パネルの寿命が20~30年なのに対してパワーコンディショナーの寿命が10~15年と短いのは、「太陽光パネルで創った直流電流を交流電流に変換する」といった役割をもつ複雑で精密な処理を行うための電子基板が備わっているためです。

また太陽光パネルとは異なり基板を冷やすためのファンといった可動部品も搭載されています。そのため一般的な電化製品と同じくらいの寿命となっています。

寿命が近づいたパワーコンディショナーは、さまざまな不具合が発生しやすくなります。次の項目では、寿命が近いパワーコンディショナーで発生しやすい主な故障事例についてご紹介していきます。

パワーコンディショナーの主な故障事例

10年程度使用して寿命が近づいたパワーコンディショナーでは、

  • 太陽光発電の発電量が低下してしまう。(売電収入が下がってしまう)
  • 太陽光発電で発電中に、時々パワーコンディショナーが運転停止してしまう。
  • パワーコンディショナーからモーター音などの異音がする。

上記のような故障・不具合が発生する可能性が高まります。特に、「太陽光発電の発電量が低下してしまう(売電収入が下がってしまう)」という不具合は深刻で、放って置くと太陽光発電の収益シミュレーションにも影響を与えてしまう場合もあります。

こうした自体を避けるためにも、日ごろからモニターやパワーコンディショナーの出力・発電量をチェックし、異常時はメーカーや販売店に相談しましょう。

パワコンが故障したら修理と交換どっちがお得?

パワーコンディショナーが故障してしまったとき、修理をするのと交換(買い替え)を行うので迷ってしまうこともあるかと思います。ここでは、故障してしまったパワーコンディショナーのベストな選択肢を、使用年数などから解説していきます。

メーカーの「システム機器保証」期間内なら修理

太陽光発電の各メーカーは、10~15年程度の「システム機器保証」を設けています。システム機器保証とは、太陽光パネルやパワーコンディショナーといったシステム機器に対する保証のことで、製造上の問題や通常通り使用していたにも関わらず故障してしまった場合などに適用されます。

この「システム機器保証」には、当然ながら寿命によるパワーコンディショナーの故障も含まれます。そのため、「システム機器保証」の期間内であれば、メーカーや販売店に連絡して保証による無料修理をお願いしましょう。

保証期間外の場合は交換

上記でお伝えした「システム機器保証」は、メーカーや付帯サービスにより期間が異なります。15年を実施しているメーカーでも、基本的なシステム機器保証期間は10年で、有料で15年保証を販売しているメーカーも存在します。

お使いのパワーコンディショナーの「システム機器保証」が何年なのかを確認して、もし保証期間外の場合は、有料修理となる可能性があります。決して安い費用ではないため新しいパワーコンディショナーに買い替えることをオススメします。

なお、パワーコンディショナーの買い替えや交換と一口に言っても、どんな基準で選んだらいいのか迷ってしまうと思います。次の項目では、パワーコンディショナーを交換・買い替えする場合の選び方のポイントについて解説していきます。

パワーコンディショナーを選ぶポイント

これまでの説明で、パワーコンディショナーが太陽光発電システムに欠かすことのできない機器であることがご理解いただけたかと思います。重要なパワーコンディショナーですから、寿命などで故障して交換する際は、しっかりと機能などを見て選ぶ必要があります。

では、具体的にパワーコンディショナーのどういったところを見て選ぶべきか、「変換効率」、「価格」、「最大定格出力」、「保証」、「大きさ」などのポイントをご紹介していきます。

変換効率

太陽光発電システムで発電した電気をどれだけロスなく変換できるかという効率を「変換効率」といいます。メーカーや製品によって変換効率は変わってきますが、平均的には95%から97%のものが一般的です。変換効率が高いほど発電した電気を無駄なく活用することができるので、パワーコンディショナー選びの目安とするといいでしょう。

最大定格出力

太陽光パネルの能力を最大限に発揮するためには、パワーコンディショナーの最大定格出力が太陽光パネルの合計出力を上回っている必要があります。

例えば、太陽光パネルの合計出力が5.5kWあっても、パワーコンディショナーの最大定格出力が4.0kWであれば4.0kW分しか発電しません。そのため、太陽光発電システムの力を最大限に発揮するには、パワーコンディショナーの出力をパネル出力合計値以上にする必要があるのです。

とはいえ5.5kWの太陽光パネルの出力に対してパワーコンディショナーの出力が4.0kWの場合など太陽光パネルの出力を下回っても決して無駄ではなく、現在主流の過積載という設置手法にあたります。日照量の低い朝夕、曇り時の発電量を底上げ一日の発電量を最大化するために活躍する設置方法です。

保証

保証はパワーコンディショナー単体ではなく、メーカーから受けられる「システム保証」でほかの周辺機器や太陽光パネルと一緒に保証されます。20年~30年持つと言われている太陽光パネルに対し、パワーコンディショナーは7年~10年ほどで交換や修理が必要になると言われています。

そのため、多くのメーカーで10年または15年の保証が設けられており、保証期間内であれば数万円かかる本体の交換を無償にて行うことができます。保証期間・内容を確認して、長く安心して使えるメーカーを選びましょう。

大きさ

メーカーや容量によって変わりますが、パワーコンディショナーのサイズはおおむね小型のエアコン程度であると言われており、設置するには当然それだけのスペースが必要になります。パワーコンディショナーには屋内用と屋外用の二種類があり、どちらも上下左右に十分なスペースが必要になります。

また、屋内用では放熱性能やメンテナンス性・屋外用は配線や外壁の強度などを考慮する必要があるため、設置のスペースが十分にあるかを確認したうえでパワコン選びを行うようにしましょう。

ハイブリッドパワーコンディショナーなら割安かつ省スペース

蓄電池と合わせての導入をお考えの場合、ハイブリッドパワーコンディショナーなら割安かつ省スペース化が可能です。蓄電池を設置する場合は、蓄電池本体を置くスペースを用意する必要があります。

蓄電池の本体はメーカー等によっても異なりますがおよそ幅100cm×奥行30cm×高さ120cmほどとなり、このサイズが置けるスペースで、なおかつ温度が高温・低温になりすぎず結露がしにくいような設置場所が必要になります。

ハイブリッドパワーコンディショナーなら、蓄電池とパワーコンディショナーが一体になっているため省スペースでの設置が可能になります。そのため、既に太陽光発電を設置されている方で、パワーコンディショナーを寿命や故障で買い替えるタイミング、それは固定価格買い取り期間が終了間近であり電力の自家消費のために蓄電池を検討される方には、ハイブリッドパワーコンディショナーを導入される方も増えてきています。

ポイントを押さえたパワコン選びでメリットを最大化

太陽光パネルに比べるとあまり目立たない機器ですが、パワーコンディショナーは発電を支えるいわば縁の下の力持ち。どのパワーコンディショナーを選ぶかも、設置を考えるうえでとても重要なポイントになります。周辺機器だからといって、どれを選んでも同じということはありません。メーカーによって変換効率や価格、保証面など違いは様々です。

ご自宅に最適な太陽光パネルを選ぶことで、発電のメリットを大きくすることができるように、ご自宅に最適なパワーコンディショナーを選ぶことも、しっかりメリットのある設置を行う上では欠かすことのできない要素となります。

「変換効率」、「最大定格出力」、「保証」、「大きさ」、または最近主流である「過積載」などパワーコンディショナーを選ぶうえで押さえておきたいポイントはいくつかあります。これらのポイントをきちんと押さえた上で、販売店に相談のうえ太陽光発電システムにぴったりのパワーコンディショナーを選ぶようにしましょう。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・熊本・佐賀の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。

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