エアコンの使用頻度が増える夏と冬は、電気代が高くなる家庭が多く見られます。そのため、電気代が高い理由がエアコンにあるのではないかと考える人も少なくありません。
エアコンの電気代が高くなる主な原因は、「使い方」と「生活スタイル」の2つです。エアコンの電気代を節約するために、まずはエアコンの電気代が高くなる理由を知っておきましょう。
今回は、エアコンの「電気代目安」「電気代を左右する要素」について解説します。エアコンの電気代を節約する方法も紹介するため、節電と節約に興味がある人は参考にしてください。
目次
エアコンの電気代はどれくらいかかる?
資源エネルギー庁が発表した家庭における電化製品別の消費電力量によると、エアコンの消費電力量は4番目に多いことがわかります。
出典:資源エネルギー庁「家庭における消費電力量のウエイト比較」/
https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saving/general/replacement/electric_power/
とは言え、エアコンの使用頻度には家庭差があるため、エアコンにかかる電気代が年間10万円以上となる家庭もあれば、年間約2万円の家庭もあるなど実態はさまざまです。
月別に比較した場合、冷暖房にエアコンを使う家庭では夏と冬の電気代が高くなりやすい傾向にあります。
エアコンの電気代の主な計算方法
エアコンの電気代は、下記の計算式で求められます。
消費電力(W)÷1,000×使用時間(h)×1kWhあたりの電気料金(円/kWh)
700Wのエアコンにかかる電気代は、次の通りです。
700W÷1,000×1h×約27円/kWh※=約18.9円
※新電力料金目安単価
24時間エアコンをつけっぱなしにした場合、1日あたり約453円の電気代がかかります。
ただし、エアコンの消費電力は製品によって異なるため、電気代を計算する場合はカタログや取扱説明書の確認が必要です。冷房・暖房・除湿など、使用モードによっても電気代は異なるため、あくまで目安として参考にしましょう。
エアコンの電気代を左右する4つの要素
同じエアコンを使用しても、使用環境や使い方によって電気代に差が生じます。エアコンの電気代を左右する要素は、次の4つです。
- 設定温度と室温の差
- 畳数目安と部屋の広さ
- エアコンの年式
- 生活スタイル
ここからは、エアコンの電気代を効率良く節約するために押えておくべきポイントを、項目ごとに詳しく解説します。
設定温度と外気温の差
エアコンの電気代を左右する要素の1つが、設定温度と外気温の差です。
エアコンは、冷房時は室内の熱を屋外に放出し、暖房時は室外の熱を室内に取り込むことで室温を保っています。そのため、エアコンの消費電力量は、設定温度と外気温の差が大きいほど多くなる仕組みです。
エアコンの電気代を節約するためには、設定温度と外気温の差を小さくする必要があります。そのため真夏の暑い日でも冷やしすぎず、真冬の寒い日でも温めすぎないことが省エネにつながります。ただし、設定温度にこだわり過ぎると熱中症や風邪などの体調不良を招く場合があるため、体調に合わせて快適に過ごせる室温に調整しましょう。
エアコンの畳数目安・部屋の広さ
エアコンの消費電力量は、畳数目安・部屋の広さに比例します。
畳数目安・部屋の広さごとの消費電力目安と1時間あたりの電気代は、下記の通りです。
畳数目安 | 消費電力目安 | 1時間あたりの電気代 |
---|---|---|
6畳用 | 570W | 約15.3円 |
8畳用 | 710W | 約19.1円 |
10畳用 | 780W | 約21.0円 |
12畳用 | 1160W | 約31.3円 |
気密性が高い鉄筋コンクリート造住宅は、木造住宅に比べて広い範囲の室温を保つことができます。
畳数目安が「6畳用」と記載されている場合、使用する部屋の広さは木造住宅が6畳、鉄筋コンクリート造住宅は9畳が目安です。「11~17畳」と記載されている場合は、木造住宅は11畳、鉄筋コンクリート造住宅は17畳が目安となります。
エアコンの年式
エアコンの電気代は、古い年式ほど高くなることが特徴です。
10年前のエアコンから最新エアコンに買い替えることで、消費電力量は約5%削減できます。年間消費電力量を50kWh削減できた場合、年間1,350円の節約効果です。古いエアコンと最新エアコンの消費電力量の差が大きければ、その分節約効果も大きくなります。
エアコンの寿命は、約10年です。冷暖房が効きづらいと感じる場合は、最新エアコンへの買い替えも検討してみましょう。
生活スタイル
エアコンの電気代を左右する要素は、エアコンの使い方や性能だけではありません。生活スタイルもエアコンの電気代に影響を与える要素の1つです。
仕事が忙しく自宅が寝るだけの場所となっている一人暮らし世帯の場合、エアコンの消費電力量が少なく、電気代が安くなる傾向にあります。一方、常に家族やペットが家にいる家庭の場合、エアコンの電気代が高くなりやすいことが特徴です。
生活スタイルによっては、エアコンの電気代が下がりにくい家庭もあります。
エアコンの電気代を節約する3つの方法
エアコンの電気代を節約することは、省エネにも効果的です。身近な家電製品の消費電力量を抑えることで、家計負担の軽減だけでなく、エネルギー資源の節約や温暖化対策にもつながります。
エアコンの消費電力量を抑えるためには、前述した「エアコンの電気代を左右する4つの要素」への対策が必要です。
ここでは、エアコンの消費電力量を減らして電気代を節約する3つの方法について詳しく解説します。
設定温度を必要以上に低くしない
エアコンの電気代を節約するためには、エアコンの設定温度を必要以上に低くしたり高くしたりしないようにしましょう。
環境省が推奨するエアコンの設定温度は、夏は28℃、冬は20℃が目安です。エアコンの設定温度を1℃変えた場合、下記の節電効果が期待できます。
モード | 削減できる消費電力量 |
---|---|
冷房(27℃から28℃へ) | 約13% |
暖房(21℃から20℃へ) | 約10% |
まずは、使っているエアコンの設定温度を確かめてみましょう。複数のエアコンを使っている家庭の場合、全てのエアコンの設定温度を見直すだけで節約効果が高まります。
なるべくつけっぱなしにする
家電製品はこまめな電源のオフが節約の基本です。しかし、エアコンの場合は、こまめに電源をオンオフするのではなく、なるべくつけっぱなしにしたほうが節約につながります。
エアコンの消費電力量がピークとなるタイミングは、電源を入れてから数分後です。室温が設定温度に至ったあとは、消費電力量が少なくなります。短時間の外出であれば、つけっぱなしにしておくほうが電気代の節約に効果的です。
また、エアコンをつけっぱなしにする場合は、自動運転モードを活用しましょう。自動運転モードは、室温の変化に合わせて必要な風量で運転するため、消費電力量を抑えつつ室内を快適な温度に保つことができます。
定期的にフィルターの掃除をする
エアコンの電気代を節約するためには、定期的にフィルターを掃除することも重要です。エアコンのフィルターにはホコリがつきやすく、目詰まりすると運転効率が悪くなります。月2回を目安に、エアコンのフィルターを掃除しましょう。フィルターをきれいに保つことで削減できる消費電力量は、約4~6%です。
フィルターの掃除は、表面のホコリを掃除機などで取り、裏側から水をかけて残った汚れを洗い流します。洗い終わったフィルターは、陰干しで完全に乾かしてから取りつけましょう。
ただし、エアコンによってお手入れ方法が異なる場合があります。必ず取扱説明書などを確認した上で、正しく掃除することが大切です。
まとめ
エアコンの消費電力量を抑えることで、家庭全体の電気代を下げる効果が期待できます。
エアコンの電気代を左右する要素は、「設定温度と室温の差」「畳数目安・部屋の広さ」「年式」「生活スタイル」の4つです。しかし、常に家族の誰かが家にいる場合や、ペットを飼っている場合は、他の家庭に比べて電気代が下がりにくい傾向にあります。
エアコンの電気代を節約するためには、「設定温度の見直し」「自動運転の活用」「定期的なフィルター掃除」がおすすめです。無理なくできることから始めて、エアコンの電気代を節約しましょう。