コラム

ついに九州で実施!太陽光発電の出力抑制・制御のルールや影響

出力抑制(出力制御)は太陽光発電を検討する方にとっては気がかりとなる要素の一つです。

2018年10月に、日本国内では離島を除いて初となる出力抑制が九州電力管内において合計4回実施されました。また、2014年に九電が系統接続の回答を保留した、いわゆる「九電ショック」 や、出力抑制の話を耳にして「売電できるか何となく不安」と思っているかたもいることでしょう。

まずお伝えしておくべきことは、10kW未満の太陽光発電システムであれば出力抑制の影響を不安視する必要はありません。また、10kW以上の太陽光発電システムであっても、あらかじめ出力抑制のルールを把握し、その影響を考慮した正確なシミュレーションを想定したうえで導入、補償などの対策を取っていれば、一部の報道で煽られているように“大コケする”といった不安に駆られることもなくなるでしょう。

この記事では、これから太陽光発電を検討される方向けに出力抑制のルールや影響、対策について詳しくご紹介していきます。

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【目次】
太陽光発電の出力抑制(出力制御)とは?

「出力抑制がかかると電力の買い取りがストップされる」というような話を聞いたことがあるかと思います。では、どうして買い取りにストップがかかるのか。まずは制度の目的など、「出力抑制って?」という疑問にお答えしていきます。

出力抑制(出力制御)=売電の一時停止

最近、太陽光関連のニュース等でも耳にする機会が増えてきた「出力抑制」。「出力制御」と呼ばれることもあるこの制度を簡単にご説明すると、

「電力の需給バランスを保ち、電力の安定供給を行うため、太陽光発電など再生可能エネルギーからの電力の買い取りを一部ストップする制度」

つまり、出力抑制が行われた場合、「一時的に売電が行われなくなる」という意味です。 では、なぜ「出力抑制」を行う必要があるのでしょうか?次の項目では、出力抑制の目的について解説していきます。

出力抑制の目的

出力抑制の目的は、なにも電気の買い取りを拒否することではありません。 むしろ、より多くの再生可能エネルギーを受け入れるための制度でもあるのです。
これだけ聞くと矛盾しているように聞こえますが、出力抑制によって電気の需給のバランスを保つことが結果としてさらなる再生可能エネルギーの受け入れに繋がるのです。

出力抑制をプールに例えると・・・

その仕組みを詳しく説明していきましょう。電力の需給の関係を排水口のあるプールに例えます。需要はプールの排水口から出ていく水であり電力の消費量を示します。そして供給は蛇口からプールに注がれる水で電力の発電量に例えられます。

プールに注がれる水と出ていく水が同量でバランスが取れているとき、電気の需要と供給は釣り合っており安定供給がなされているといえます。しかし注がれる水が足りずに水位が下がると電力不足になります。

逆に、注がれる水が多すぎると供給過多となり今度はプールから水があふれ出てしまいます。
電力の場合、供給が需要をオーバーすると変電設備などに大きな負担がかかり大規模な停電にも繋がりかねません。そのため、電力会社は常に電気の需要と供給のバランスを保っていく必要があります。

プールを例に挙げましたが、実際のところ電気は蓄電池なしにプールのように貯蔵できません。一般の電力系統には蓄電池は設置されておらず、需給バランスは常々発電量を調整することで行われます。

出力抑制のおかげで最大限再エネを受け入れられる

電力の需給バランスは、普段は発電量をコントロールしやすい火力発電からの供給量を減らすことでバランスを保っています。しかし、火力発電だけでは調整しきれないほどに再エネからの供給が増えすぎた際には、再エネからの電力も調整せざるをえなくなります。

太陽光発電の発電量は時間帯や天候に大きく左右されることから、発電量をコントロールして需給バランスを調整するのは至難です。

出力抑制なしで調整するとなると、大規模停電を生じさせない為に、電力系統が太陽光発電の電力を受け入れる接続可能量は最も電気の需要が少ない時間帯の電力需要量を基準に決めざるを得ません。供給量が需要量をオーバーしてしまうと大停電につながる恐れがあるためです。接続可能量が少なくなると受け入れられる再エネの電力は減ってしまいます。

つまり、出力抑制を行わない場合、太陽光発電全体の電力会社への売電量が、現在よりも低下してしまうことになります。

出力抑制を実施することで、電気の需要が少ないときだけ制限して、需要が多い時には出力抑制を行わずに最大限発電できるので、より多くの太陽光発電の電力を受け入れることができるのです。

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出力抑制のルール

出力抑制がかかると聞いて一番心配なことは、どれくらい売電がストップされるのだろうかということだと思います。そこで、知っておきたい出力抑制のルールについて解説をしていきます。

30日ルール(旧ルール)

以前まで適用されていたルールに「30日ルール」というものがあります。 このルールは500kW以上の太陽光発電に対しての適用となり、年間30日を上限として無補償、つまり減った売電収入への補償なしに出力抑制を行うというルールでした。

平成27年度の固定価格買い取り制度の見直しによるルール変更が行われるまではこの30日ルールが適用されていました。また、同年1月25日までに接続申し込みを行った分はこの30日ルールが適用になります。

360時間ルール

以前の30日ルールが日数を単位としていたのに対し、こちらは時間単位のルールになります。大きく変わったのは「出力抑制の上限」と、「出力抑制の対象」です。

以前は50kW以上の大規模な設備のみが対象でしたが、今回の改正で50kW未満の、たとえば家庭用の太陽光も対象に含めることとなりました。
家庭用も対象になったことで、ご自宅の太陽光発電で売電が出来なくなるのではと心配になる方も多いかと思います。

しかし、10kW未満の太陽光発電システムに関しては優遇的な扱いが取られており、出力抑制は10kW以上のものから行うとされています。また、「出力抑制に必要な機器、および費用負担その他必要な措置を講ずること」とあるように、出力抑制機能付きパワーコンディショナの搭載が必要とされていますが、10kW未満の太陽光発電システムは優遇措置として当面は搭載不要であり、出力抑制を適用できるインフラも構築されていません。

本来は制御対象であるものの、現時点では10kW未満の太陽光発電であれば出力抑制の影響を不安に思う必要はないでしょう。

指定ルール

太陽光の接続申し込みが接続可能量を超えた後でも、申し込みをすることは可能ですが、その場合は、この指定ルールの対象になります。

指定ルールとは、接続可能量を超えた後に接続の申し込みを行った設備に対して、無保証で上限なしの出力抑制をかけることを可能とするルールです。

このルールは接続可能量をオーバーしている、あるいはオーバーしそうな電力会社が対象のルールです。既に経済産業省より指定電気事業者に指定され、接続可能量をオーバーする見込みがあるとされている電力会社に加え、受け入れが難しくなっている電力会社等も加え、北海道、東北、北陸、中国、四国、九州、沖縄の7つの電力会社がこのルールの対象となります。

こちらも容量にかかわらず、すべての太陽光発電システムが対象となりますが、こちらのルールでも10kW以上のシステムから制御をかけていくなど、10kW未満の太陽光については優先的な取り扱いが行われます。

九州電力は「指定ルール」が適用

なお、九州電力管轄内では、上記で紹介した「指定ルール」が適用されます。
2017年1月26日以降に連携が承諾されたものに適用され、それ以前に申請していた場合は出力抑制の対象外となっています。

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出力抑制の方法

太陽光で作った電気の買い取りを制限する出力抑制ですが、実際に抑制がかかった場合にどういった方法で行われるかというのも気になるところ。
そこで、出力抑制の方法について解説をしていきます。

出力抑制の方法

出力抑制の方法ですが、いくつかの出力抑制システムの検討されている状況の中、パワコンを用いて出力抑制を行っていくという方針が定まっています。現在、出力抑制機能付きパワコンの設置が義務付けられており、実用化されています。

出力抑制中も太陽光発電は電気を作り続けるため、電力会社が抑制機能付きパワコンを遠隔操作することで、出力抑制を行います。また、出力抑制機能つきパワコンによって、時間単位での細かく無駄のない対応が可能になります。

従来の日単位での出力抑制では、ピークが基準より下になるように一日の出力を調整していくので、たとえ需要をオーバーする恐れがあるのがピーク時だけだったとしても他の時間帯の出力も一緒に抑制されてしまう結果となります。

一方で、時間単位の出力抑制の場合、もしも需要をオーバーする恐れのあるのがピーク時の3時間だけとすると、その3時間の出力を抑制すればよく、他の時間帯は普段通りの出力で発電ができます。

いま、出力抑制対応機器を用いて時間単位での細かい対応により、接続可能量の拡大を可能にできるシステム作りが進められています。

九州電力の出力抑制では輪番方式を採用

九州電力の出力抑制は、九州電力管内全体を所定の区分に分け、その中で抑制対象区分を入れ替える輪番方式が採用されています。

区分の分け方としては大きく『抑制方法』『発電所区分』『エリア』で分けられます。 『抑制方法』は現地操作(手動操作)が必要な発電所、遠隔制御が可能な発電所の2区分に分けられます。『発電所区分』は特別高圧、高圧(500kW以上)、高圧、低圧の4区分に分けられます。そしてエリアは九州7県を県別に分割、ただし福岡県は北九州エリアと福岡エリアの2エリアに分けた合計8エリアに分割しています。

輪番方式における出力抑制対象区分の選定方法は『発電所区分』によって異なりますが、ここでは『低圧発電所』を例に案内します。

まず再生可能エネルギーの出力抑制が必要となる全体の制御量が算定されます。そのうち発電所の設備量の比率によって遠隔制御が可能な発電所での制御必要量が発電所区分毎に算定されます。低圧発電所においては、抑制必要量が満たされるように8エリアの中からエリアが選定されます。

実施をしなかったエリアは次回の出力抑制時には優先して選定されるようになっており、各発電所における出力抑制の日数が年度単位で同等になるよう公平性を保つ形で調整されます。

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九州で実際にはじまった出力抑制

さて、ここまで読み進めていただけた方なら、出力抑制についてはかなり理解が進まれたかと思います。ここでは、実際に実施された出力抑制についてご紹介していきます。

九州電力は、2018年10月に離島以外では国内初となる出力抑制を行いました。具体的には、10月13、14日と20、21日の4日間で、計4回の出力抑制が行われました。

それぞれの出力抑制発令量や、再エネ全体に対する比率などについて詳しく見てきましょう。

10月13日(1回目)は32万kW/再エネ全体の5.3%

まず1回目となる10月13日の出力抑制ですが、

  • 出力抑制時間:9時~16時
  • 出力抑制発令量:32万kW
  • 再エネ全体に対する比率:5.3%
10月14日(2回目)は54万kW/再エネ全体の9.8%

2回目となる10月14日の出力抑制ですが、

  • 出力抑制時間:9時~16時
  • 出力抑制発令量:54万kW
  • 再エネ全体に対する比率:9.8%
10月20日(3回目)は70万kW/再エネ全体の12%

3回目となる10月20日の出力抑制ですが、

  • 出力抑制時間:9時~16時
  • 出力抑制発令量:70万kW
  • 再エネ全体に対する比率:12%
10月21日(4回目)は118万kW/再エネ全体の19%

4回目となる10月21日の出力抑制ですが、

  • 出力抑制時間:9時~16時
  • 出力抑制発令量:118万kW
  • 再エネ全体に対する比率:19%
今回の出力抑制の影響は軽微

上記のとおり、九州電力管内の離島以外において国内初となる出力抑制が計4回行われたわけですが、九州に投資法人と発電所を持つレノバ、カナディアン・ソーラー、タカラレーベンの各メーカーは、いずれの発電所においても遺失した発電量は1%を大きく下回り、今回の出力抑制による影響は軽微であると解説しています。

この発表をそのまま10kW以上の事業者すべてに当てはめることはできませんが、同様の出力抑制が行われるとすればその影響は今後も軽微と考えて良いでしょう。

今後は春や秋に常態化される懸念も

今後、出力抑制が永続的に実施されるかどうかについても気になるところです。
2018年11月初旬には太陽光発電システムのみならず、風力発電に対しても出力抑制がかかりました。
エアコンなどの使用が減少し電力の需要が減る春や秋を中心として、特に土日祝日においては事業用の電力消費が抑えられることもあり、出力抑制の実施が状態化されるのではという見方もあります。

日本政府は2018年7月に再生可能エネルギーを「主力電源化」していくことを閣議決定しています。そのため、「出力抑制」を今後も続けていくことは、再生可能エネルギーの「主力電源化」を目指す上では望ましくないと言えます。

しかし、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーは、発電量が天候等に左右されるため、今のままでは「主力電源化」が難しいのが現状です。

この問題を解決するために、送電網の拡充や広域化を行うことで九州以外の地域にも電気を届けられるようにし、蓄電池などの積極的な活用や、普及を推進するためのコストダウンなどが求められています。

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出力抑制の対策例を紹介

今後、電力需要が減る春や秋を中心に常態化が懸念される出力抑制ですが、「蓄電池」を活用することで回避することが可能です。どういうことなのか、詳しく解説していきます。

「蓄電池」に電気をためて出力抑制を回避

出力抑制への心配が高まる中、出力抑制時に発電した電気を蓄電池にためておき、出力抑制を回避する方法が注目されています。

蓄電池は産業用のものであれば1MWを超える蓄電システムが実用化されており、屋外の産業用太陽光発電所の出力抑制時に発電した電力を蓄えることも可能です。

もちろん自家消費型太陽光なら出力抑制の対象外

売電目的ではなく自家消費型太陽光発電であれば出力抑制の対象から外れることができます。自家消費型太陽光発電にすることで、電気会社からの買電をなくし電気代を削減できるため、電気代が高騰し売電単価が下がる昨今、発電した電力は単純に売電を行うよりも自家消費するほうが高い経済効果が期待できる時代もやってくるでしょう。

自家消費型太陽光発電であれば蓄電池はなおの事オススメ、夜間の電力も自給自足することで電気代を0円にすることも可能になるでしょう。

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まとめ

出力抑制が行われたという話を聞いて、「電気がほとんど売れなくなるのでは?」という心配をされる方も多いのではないでしょうか。

確かに、今のインフラ・技術においては太陽光発電の接続量が増えてくるとある程度の出力抑制がかかることが現実的でしょう。しかし、2018年10月に九州ではじめて実施された出力抑制の結果を見てもわかる通り、抑制される電力の割合は軽微と評価されるほど多くないため、今後も影響は限定的であることが予想されます。

また、2015年4月に発足した「広域的運用推進機関」は、電力会社の管轄同士を結び、電力を融通しあう「地域間連系線」の整備を電力システム改革の一環として進めています。こうした取り組みなどによって、さらにベースロード電源(原子力・火力など安定して供給できる電力)の量は震災前に比べて低い状態が続くと言われています。 その他にも、ピーク時に必要最小限の抑制のみを行う仕組みづくりなどの対策も取られているので、当初心配されていたほどの影響はないと思われます。

「売電が抑制される」と聞くと不安になると思いますが、正しい情報をもとに制度内容や今後の見通しについて理解を深めていくことが大切です。また、仮に出力抑制が春や秋に常態化してしまったとしても、出力抑制補償や蓄電池を導入して発電した電気を無駄にしないなどの対策を立てておくことで、出力抑制に対する不安を解消することができるでしょう。

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2018年11月7日 公開

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