固定価格買取制度の導入により、一般家庭で発電した電気を電力会社に買い取ってもらうケースが増えました。その際、発電した電気を送るために、電力会社の送配電網に接続することを「系統連系」といいます。

今回は、系統連系について基礎知識から役割、太陽光発電システムを設置した後の契約までわかりやすくご紹介します。

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目次

系統連系の基本を詳しく解説

太陽光発電システムを設置しただけでは、電力会社に電気を売ることはできません。売電するための系統連系が必要です。

系統連系とは?

系統連系は、電力会社の電力系統に発電設備を接続することです。

普段の生活の中で使用している電気は、電力会社から一方通行で供給される電力なので、こちら側から発電した電力を送ることはできません。

そのため、系統連系工事で受電する電力と接続し、太陽光発電で創った電力を売電できるようにする必要があります。

系統区分

電力会社の系統連系には、「低圧連系」「高圧連系」「特別高圧連系」の3つの区分があります。電圧が上がれば上がるほど、工事費や管理費用が高くなります。

低圧連系

50kW未満のシステムが該当し、住宅用太陽光発電システムや50kW未満の産業用システムもこれに含まれます。200V以下の低圧線に接続するので、高圧連系、特別高圧と比較して工期や費用を抑えられるという特徴があります。

高圧連系

発電容量50kW~2000kWものが高圧連系に該当します。高圧線に連系をするため電力会社による接続検討に時間を要し系統連系までの期間は長期化する傾向にあります。

また、発電設備-電力系統間の距離が短いと接続検討期間は短縮する傾向があります。

特別高圧

2000kW以上の大規模な発電施設は特別高圧に該当します。また、発電設備の他に昇圧設備や接続用の鉄塔などの設置が必要で、費用は事業者自身が負担しなくてはならないため多額の追加コストが必要になります。

電力会社による接続検討にも時間を要し、系統連系までの期間は長期化します。

系統連系の役割

系統連系は、売電設備の中でどんな役割を果たしているのでしょうか。

再生可能エネルギーの発電割合の推移

電力の小売全面自由化以降、一般家庭など小口の需要家が太陽光発電システムを設置して売電するケースが多くなっており、需要家が電力供給者の役割も担っています。

一般家庭の場合、発電した電気はすべて売電するのではなく家庭での電力に使用し、余った分を余剰電力として電力会社に売電します。

電力会社の商用ラインの系統に連系しているため、そのまま電力会社に売電することが可能です。自家発電の電力で足りない分の電力は、これまで通り電力会社から供給されます。

系統連系を行うには?

売電する電力は、電力会社から供給される電力と同程度の品質が求められます。太陽光発電は自然エネルギーのため、日照量や気象条件によって出力が大きく変動します。

電圧や周波数が異なった電気をそのまま接続すると、電力会社の電気系統全体に影響を及ぼす危険性があるため、系統連系を行うには電力の品質を整えるための設備が必要です。

電力の品質については、経済産業省資源エネルギー庁が「電力品質確保に係わる系統連系技術要件ガイドライン」と呼ばれる指針をまとめています。

このガイドラインでは、電圧や周波数を、電力会社の定めた規定値の範囲内に収めることを求めています。

系統連系に必要な設備

太陽光発電システムは太陽光パネルだけでなくパワーコンディショナーや接続箱、売電電力計などの周辺機器も合わせて設置します。

太陽光発電システムで発電した電気は、直流電力という種類の電気です。家電製品など家庭で使われている電気は交流電力と呼ばれ、パワーコンディショナーで電力の種類を変換してから系統連系します。

パワーコンディショナーは直流・交流の電力変換と同時に、電圧調整や周波数安定化機能を併せ持っています。そのため、パワーコンディショナーを経由することで、安定した電力が供給可能となります。

これらの周辺機器を設置したうえで、電力系統に連系することができます。

太陽光発電システム設置後の系統連系

太陽光発電システムの設置後、電力会社との電力需給契約を行います。契約を締結することによって、系統連系による売電が可能となります。

電力需給契約

電力需給契約は、太陽光発電システムを電力会社の配電線に接続し、発電電力を電力会社に売電するための契約です。

電力会社から電力を買う一般的な契約は「電力需給契約」であり、それと混同を避けるために、売電の場合の需給契約を「系統連系契約」と呼ぶことがあります。

太陽光発電システムの最大出力が50kW未満の場合は「低圧連系契約」、50kW 以上の場合は「高圧連系契約」となります。系統連系契約の申請手続きは複雑なので、基本的に施工業者が代行します。

逆潮流の確認

太陽光発電システムで発電した電力を電力会社に買い取ってもらうには、連系した系統を通して、電力会社の配電線に電気を送る必要があります。

通常の電力供給とは逆向きの電流のため、これを「逆潮流」と呼びます。系統連系後に逆潮流を電力会社に確認してもらうことで、売電できるようになるのです。

逆潮流とは

電力会社と消費者の間での電力の流れを潮の満ち引きに例えて「潮流」と呼びます。電力会社から各家庭に向けた流れを「順潮流」、その逆向きの流れを「逆潮流」といいます。

売電は電力会社へ電気を送り出すため「逆潮流」に当たります。逆潮流の際には、作った電気の電圧を送電網と比べて高くなるよう調節します。これは「電流が電圧の高いところから低いところに流れていく」という電気の性質を用いるためです。

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仕組みを理解し、スムーズな手続きを

系統連系をはじめ、売電を始めるにあたって踏まなくてはならない手続きは様々です。

今回紹介した手続きをはじめ、経済産業省への設備認定申請もクリアしなくてはなりません。それらをスムーズに進めるため仕組みや制度、必要な手続きなどをしっかり把握しておきましょう。

手続きを代行する販売店もあるため、業者選びの際にしっかり確認することを推奨します。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

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