執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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太陽光や風力といった繰り返し使えるエネルギーを「再生可能エネルギー」といいます。CO2の排出や燃料の枯渇といった心配がないため、地球温暖化や化石燃料の枯渇への打開策として脚光を浴びています。
これらの再生可能エネルギーは自然エネルギーをどれだけ効率よく活用できるのかを発電方法毎に見ていきましょう。
目次
発電設備の性能を示す指標として「発電効率」があります。数値が高いほどエネルギーを効率よく活用でき、「どれだけエネルギーを無駄なく電気に変えられるか」を表す指数となります。
発電するために使用したエネルギーを100とすると、うち20を電気として取り出した場合は20%の発電効率となります。それに対して、30%の設備は30の電気を作れるため、30%の設備の方がより多くの電力を発電できる設備となります。
太陽光発電モジュールの変換効率は発電効率の考え方と同様に太陽光から電気を取り出す割合を示しています。
たとえば、変換効率18%のモジュールと20%のモジュールを比較します。この場合、太陽光エネルギーのうち電気に変えられる割合が高い20%のモジュールの方が多く発電できる性能を持ち合わせています。
こうした知識を知っておけば太陽光発電システムを購入する際にも役に立つことでしょう。
再生可能エネルギーの中でも、『太陽光発電』『風力発電』『水力発電』『地熱発電』『バイオマス発電』の5つは「5大再エネ」と呼ばれています。この5大再エネの発電効率についてそれぞれ解説します。
太陽電池モジュールで太陽の光を集めて発電します。太陽光発電は、住宅でも気軽に導入できるため、非常に身近な再生可能エネルギーといえます。
モジュールは、シリコン系と化合物系に大きく分けられ、さらにシリコン系は多結晶系・単結晶系に分けることができます。多結晶に比べて単結晶系の方がシリコンの純度が高く、高効率とされています。モジュール一枚当たりの変換効率は、一般的には15%~20%ほどといわれています。
製品化されている商品ではマキシオンソーラー製モジュールの22.6%が世界第1位となります。(2023年6月時点)
実用化されてはいないものの近年注目されているペロブスカイト/シリコンタンデム太陽電池では30%以上の高い変換効率が報告され、実用化に向け研究開発が続けられています。
風が風車を回すときの運動エネルギーを発電機に伝えて電気を作り出します。
風の運動エネルギーのうち最大で45%を発電に使え、発電効率は比較的高いといえます。風力のエネルギーは風速の3乗に比例するため、風が強いほど発電量が上がります。
そのため洋上の強い風を利用できる洋上風力発電の開発や風車の大型化などの工夫がなされてきました。
高いところに貯めた水を一気に落とすことでタービンを回し発電します。水力発電は、再生可能エネルギーのみならず火力・原子力を含めても群を抜いて発電効率の高い発電方法です。
天然ガス複合発電が55%、原子力が33%であるのに対し、水力発電の発電効率は実に80%に上ります。
近年では、既存の河川や水路などを活用した中小水力発電も開発されています。300万kW分の未開発の水資源を活用できるとして注目を集めております。
火山や天然の噴気孔といったいわゆる「地熱地帯」に貯まった蒸気を利用します。
比較的浅いところに熱源を持つ火山地帯が地熱発電の開発に必要です。そのため、火山地帯に恵まれた日本に適した発電方法として、戦後早くから注目を集めてきました。
発電効率は「シングルフラッシュ」と呼ばれる主要なタイプの場合で10%~20%ほどです。
建築現場の廃棄木材や家畜の排泄物など、それまで捨てられていた有機物を発電に利用します。発電効率は20%前後で、大規模で高効率なシステムでも25%ほどといわれています。
また、燃料に含まれる水分量が少ないほど高効率になるという特徴を持っています。
そのため、例えば燃料の木材を乾燥させたり、ガス化させたりと水分を減らす工夫が施されています。それまで捨てられていたものを発電に用いるため、廃棄物を削減できるというメリットがあります。
木材を利用した「木質バイオマス」の場合は、適切な間伐・伐採といった整備を推進し自然環境に保護にも寄与します。
現時点で実用化されている発電方法では、エネルギーを100%電気に変えるのは不可能とされています。発電効率80%を誇る水力発電でも残りの20%分はロスになってしまいます。
では、こうしたロスはどういった理由から発生するのでしょう。100%の発電効率を不可能にしている原因を解説していきます。
白熱電灯は電気を光エネルギーに変換しますが、その効率は10%といわれています。残りの90%は消えてなくなったわけではなく、主に熱エネルギーに変換されます。
明かりをつけた電球が熱くなることからもわかるとおりエネルギーの大部分が熱となって空気中に逃げていることがわかります。
このようにエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されてしまうことも発電ロスの原因の一つです。
量産化された世界最高の変換効率を誇る太陽光パネルでも20%強とまだまだ大部分のエネルギーが電力に変換できていません。
せっかく太陽光パネルまで届いた太陽光もその大部分は反射によって失われています。反射ロスへの対策として一部のメーカーでは太陽光パネル表面のガラスやセルの表面に反射防止膜を施しています。
さらにセルの表面に凹凸をつけ反射した光も逃さずキャッチするなどロスの軽減に向けた取り組みが進められています。
また、肉眼では一種類の光に見える太陽光は、異なる波長の光でなりたっています。その中の一つ「紫外線」と呼ばれる非常に波長の短い光を利用して発電するのが太陽光発電です。
それよりも短いもしくは長い波長の光ではセルを反射・透過するなどして失われてしまいます。そのため比較的波長の長い夕方ごろの太陽光を発電に利用するのは難しいとされてきました。
しかし近年、波長の長い光をセル裏面で反射させてキャッチし電力に変換する技術も開発されています。
太陽光パネル以外にも発電時に生じるロスの要素があります。住宅用太陽光システムでは太陽光パネルで発電した直流電流を家庭で使える交流電流に変換するパワーコンディショナや接続箱などいくつかの機器を経る必要があります。
配線で生じる電気抵抗によってロスが発生します。メガソーラーでは送電による抵抗が大きくなるため配線が短くなるよう機器の位置を工夫するなどの措置が取られます。
現在、政府が普及を目指している再生可能エネルギーですが、導入数の増加のみならず性能の向上も推し進められています。
太陽光発電普及に向けたロードマップ「PV2030+」の中では、変換効率の向上も盛り込まれています。具体的には変換効率を2025年までに25%、2050年までには40%まで向上させることを目標としておりさまざまな研究開発が進められています。
太陽光発電のみならず再生可能エネルギー分野においてさらなる発電効率の向上に期待してよいといえるでしょう。
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