太陽光発電の価格と、太陽光発電の正しい選び方

太陽光発電の価格は決して安くはありません。しかし、正しい条件で設置すれば実質手出しなしで導入することもできます。その理由は購入電力の削減と売電収入によって得られる金銭的なメリットが月々のローン支払い額を上回るからです。

2024年度の九州エリアにおける10kW未満の太陽光発電システムの売電価格は16円/kWhであり、余剰電力買取制度が始まった2009年度の売電価格48円/kWhと比べて約1/3に減少しています。

それでも、太陽光発電の価格も半額以上に下がっていることや、太陽光パネルの発電性能が向上したことで小さい面積でもたくさんの電力を発電できるようになったため、これまで以上にメリットを受けられるようになったのです。

この記事は、これから太陽光発電システムを設置するかたに向けて、太陽光発電の価格はいくら必要なのか、そして見積書の価格だけでは判断してはいけない太陽光発電の正しい選び方をご案内します。

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目次

太陽光発電の価格の目安

太陽光発電の価格はパネルの設置容量だけでなく、設置方法の違い、メーカー、業者などによっても変動します。まずは目安となる太陽光発電システムの価格の考え方をご紹介いたします。

価格重視で太陽光発電を導入すると後悔する

太陽光発電を選ぶ基準は大きく分けて2つあり、とにかく安い太陽光発電を導入する方もいれば、将来的な投資効果を優先して価格の高い太陽光発電を導入する方もいらっしゃいます。価格が高いとはいえ、近年はどのメーカーも手ごろに導入できるほど下がっています。

さて、初期費用の安さも太陽光発電システムを選ぶ基準にすることは間違ってはいませんが、重要なのは固定価格買取制度の期間である10年間しっかりと売電することと、期間終了後も蓄電池などと併用して、太陽光発電で電力を発電し電気代を削減することです。

たとえば「システム容量4kWで140万円」のプランと、「システム容量5kWで150万円」の二つのプランがあるとします。

「システム容量4kWで140万円」のプランの方が価格は10万円も安くお得にも感じられますが、「システム容量5kWで150万円」の太陽光発電システムのほうがたくさん電力を生み出せるため売電収入や電気代の削減など投資効果は高まります。

たかが1kWの差と思われることがありますが、固定価格買取制度の期間である10年間で1kWの太陽光発電システムが発電する電力量を売電収入額に換算すると概算で176,000円相当になります。(年間発電量を1,100kWh、九州エリアの売電単価16円/kWhで試算)

見積書に書かれている金額が安いからといって必ずしも賢い投資であるというわけではないことは一目両全です。10kW未満の太陽光発電システムの売電期間は10年間ですが、もちろん11年目以降も使用し続けられます。太陽光発電の価格は多少高くてもたくさんの電力を生み出せる方がお得という考え方もあるため、お見積もりが妥当かを判断する際は太陽光投資のシミュレーションから割り出される投資効果と支払いのバランスを見比べて選択しましょう。

また、10kW以上の産業用太陽光発電の売電期間が20年間であるとおり太陽光発電システムは長寿命です。中には30年以上稼働し続けている太陽光発電システムも存在します。

しかしながら長期間太陽光発電を稼働させるためには定期的なメンテナンスが必要だったり、時には販売店やメーカーによるフォローも必要になることがあります。価格の安い業者というのは徹底的に価格を抑えるために工事、アフターフォローやメンテナンスにかかる費用すら抑えているケースが多いもの。

万が一の事態に早期対応できず長期にわたり発電が停止してしまうことや、出力制御の時のように法令改正等でシステム変更が求められる場合など、設置者だけでは対応できない場合にどう対処できるかを想定しておかなければなりません。

太陽光発電の選定ポイントとしては、価格だけで選ぶのではなく、10年後20年後を見据えたときに安心して運用できるかを基準に判断することも大切です。

太陽光発電の価格は「kW単価」を指標にする

導入を考える主婦 イメージ

太陽光発電は設置容量が多いほど価格が高くなりますが、パネル容量が大きいほど割安で設置できます。
太陽光発電の価格はシステム容量1kWあたりの価格である「kW単価」を目安として、安いか高いかを判断します。

kW単価は「太陽光発電の価格÷太陽光パネルの設置容量」で算出します。5kWで150万円の太陽光発電システムの場合、「150万円÷5kW=30万円/kW」となり、kW単価は30万円です。
一方で、4kWで140万円の太陽光発電システムの場合、「140万円÷4kW=35万円/kW」となり、kW単価は35万円です。

太陽光発電システムのkW単価は販売店やメーカー、設置条件などによってさまざまですが年々下降傾向にあります。

たとえば経済産業省が公表している2012年時点の10kW未満の太陽光発電システムのkW単価は46.5万円/kW、一方で2023年時点では28.8万円/kWと公表されています。
国が公表するkW単価では5kWの太陽光発電システムで144万円となります。ゆめソーラーの太陽光発電の価格よりもずいぶんと高いですが、2012年と比較して半額以上安くなっているのは事実です。

太陽光発電の価格を左右する要素とは

太陽光発電システムの価格は設置条件によっても変動します。たとえば隣のご家庭が5kWの太陽光発電システムを150万円で設置したとします。たとえ同じ時期に同じシステムを導入しようとしても同じ価格で設置できるとは限りません。

ここでは太陽光発電の価格を左右する要因について紹介していきます。

太陽光発電の価格を左右する要素

太陽光発電を設置した家
一般的に住宅に太陽光発電を導入する際はメーカーから直接買わずに販売代理店や施工業者などを通じて購入する場合がほとんどです。同じメーカー・同じ容量でも販売店によって価格は様々です。

そのため、太陽光発電の適正価格を知るために複数の業者から見積もりを取る「相見積り」を行い、価格を比較したうえで検討をすることが望ましいです。

その他、建物の状況によっても設置価格は変わります。建物の階数や屋根の勾配によって安全確保や事故防止の観点から足場の設置が必要になることがあり、足場費を必要とすることがあります。さらに屋根形状や屋根材によっても施工方法が変わるなどして価格は変動します。

次に太陽光発電の工事費が安くなる条件と高くなる条件に分けて一般的な事例を紹介します。

工事費が安くなる条件

一般的に以下の条件にあてはまる住宅は、太陽光発電の設置価格を比較的抑えられるでしょう。

屋根の勾配が緩やかであること

あまりに急な勾配の屋根は作業の安全のために通常よりも広い足場を組む必要があるため工事費がかさんでしまいます。

設置面が一面のみ

太陽光発電を設置する屋根面の数によっても設置費用が変わります。比較的安い費用で設置できるのが一つの屋根面だけに設置する「一面設置」です。一方で多面設置の場合は費用が高くなる傾向があります。

屋根材がスレート

屋根の材質も設置費用を決める重要な要素です。一般的に瓦屋根に設置する場合の費用を100%とした場合、スレート屋根への設置は80%ほどの費用になります。

高くなる条件

屋根形状が陸屋根

太陽光発電の価格が高くなりがちな屋根形状の一つに、「陸屋根」があります。陸屋根には傾斜がなく、適切な傾斜を設けるために架台が必要です。架台の部材・工事費を要するため一般的な屋根への設置よりも価格が高くなります。

アパートなどの上層階

3階建て以上の上層階への設置は、機材搬入や安全対策のための足場代がかさんでしまい、価格が高くなります。

ここまで太陽光発電の価格が高くなるケースと安くなるケースについて解説をしてきました。しかし、屋根の状況を見てもらい見積もりを取るまでは正確な価格はわかりません。WEBサイトだけで販売している業者の場合は現地調査がないまま見積を出すケースがほとんどです。

たとえWEBサイトで見積を依頼した場合でも太陽光発電を導入の際は絶対に現地調査をしてもらいましょう<

思わぬ修理費がかかることも

太陽光発電の損得を見積もる際にはイニシャルコストだけではなく、稼働中にかかる「ランニングコスト」も考慮しましょう。

代表的なものとして機器のメンテナンス費用があります。運転中に思わぬアクシデントで修理や交換が必要になってしまった場合、設置当初に想定していなかった追加費用が必要になります。

そうした事態を想定して、予めメーカーや販売店が提供する各種保証・補償制度に加入されることも必要です。加入していれば修理や交換にかかる費用は無償もしくは軽減することができます。

修繕等が必要になった場合、復旧するまでは当然売電もできません。太陽光パネルの故障であれば比較的早く交換できるケースが多いですが、パワーコンディショナーの場合は交換品を手配するのに1~2週間かかることもあります。売電補償等に加入していない場合、復旧するまで止まっていた売電収入は損失となってしまいます。

そのため劣化や故障の少ない信頼性の高い太陽光発電システムを選んだり定期的に点検を行ったりと、故障による不意の出費や損失を防ぐことも重要です。

表面的な価格よりも費用対効果

太陽光発電システムは、発電により売電収益や電気代削減といった経済的メリットを生みだせます。

賢く購入すれば導入価格よりも大きなメリットを生みだせることが太陽光発電の大きな魅力です。どれくらいの費用対効果が見込めるか収支シミュレーションを見たうえでしっかり検討しましょう。

物を買う時は値札や見積もりに書かれた「表面上の価格」に基づいて購入するのが一般的ですが、太陽光発電システムの場合はそれだけではメリットが出るか判断できません。

太陽光発電システムの価格は十人十色です。ご近所や知り合いのご家庭に適した太陽光発電システムが必ずしも自分の家庭に合っているとは限りませんし、同じ容量でも価格も異なります。

少しでもお得に設置するためにも、複数のメーカーや業者から見積もりを取って太陽光発電の価格を比較しましょう。その中から信頼のおける販売店を選定し、価格やシミュレーションなどを比較したうえで最適な太陽光発電システムを選択しましょう。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・熊本・佐賀の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。

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