執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部
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太陽光発電システムには興味はあるのに、国からの補助金終了や年々下がる売電単価に、もう設置してもメリットでないかも!と、ためらってはいませんか。
今回は、知らないなんてもったいない!今だからお得な太陽光発電システムとその今後ついて解説していきます。
目次
一時は48円/kWhだった住宅用太陽光発電システムの売電単価も、2023年度は16円/kWh(出力制御対象の場合)まで下がりました。国からの補助金が終わった今、「まだまだメリットが出ます!」と言われてもなかなかピンと来ないという意見を多く聞きます。
「固定価格買取制度」は、太陽光発電システムをはじめとした再生可能エネルギーで作った電力を国が定めた価格・期間で買い取ることを電力会社に義務付けた制度です。自宅の屋根に10kW未満の太陽光発電システムを設置した場合、発電したが家庭で使用されずに余った電力を電力会社が10年間買い取ることで売電収入を得ることができます。
1時間あたりに使用する電力量はkWhで表わされ、売電価格を算出する基準にもなります。1kWh当たりの買取価格を「売電単価」といい「円/kWh」で表します。
平成24年の10kW未満の売電単価は42円/kWhだったのに対し平成25年度には38円/kWhに、そして令和5年度は16円/kWhというように年々下がっています。そのため早い時期に設置すればするほど高い売電単価で売ることができ、お得に設置ができると考えられています。
固定価格買取制度の目的は、太陽光発電システムをはじめとした再生可能エネルギーの普及です。そのため売電単価は設置にかかるコストを加味した上で、設置した人がきちんとメリットを受けられるように決められています。
近年は太陽光発電システムの設備費用が安くなってきていることで売電単価が下げられており、メリットが出るように算定して決められているため、売電単価の値下がりでメリットが出なくなるという心配はありません。
太陽光発電システムの設置は決して安い買い物とは言えないだけに国からの補助金が得られないことに検討を躊躇される方も見受けられます。
しかし、国からの補助金がなくなった今でも、お住まいの都道府県や市町村によっては地方自治体からの補助金が受けられる地域もあります。
たとえば、太宰府市が行っている「地球温暖化対策推進補助金(令和5年度)」では、5kWを上限に設置容量1kW当たり2万円の補助金が支給されます。
このような補助金を出している地方自治体は他にもあるので、お住まいの自治体の制度を確認のうえ活用しましょう。
たしかに売電収入は太陽光発電システムの大きなメリットの一つです。
しかし、忘れてはいけないもう一つのメリットが「電気代の削減」です。電気代は生活していく限りずっと払い続けるものなので「生涯払い続けるローン」という言い方をされます。つまり、毎月の電気代が10,000円の場合、それは毎月10,000円ずつローンを払い続けるのと同じことなのです。
そんな生涯払い続けるローンとも言うべき電気代ですが、今後も家計への負担がさらに重くなることが予想されます。2011年3月に発生した福島第一原子力発電所の事故により多くの原発が停止した影響で、各電力会社で平均10%ほど電気料金が値上がりすることが決定しました。
その後も、石炭や液化天然ガス(LNG)などの輸入価格高騰の影響などを受け、2021年9月から電気料金は値上がりが続いており、2021年12月には大手電力会社10社すべてが電気料金を値上げしました。
太陽光発電システムを設置した場合、発電した電気で日中の消費電力を賄えるため、高い電力を買わずに済むため電気代を削減することができます。また、固定価格買取制度の買い取り期間が終了する11年目以降、売電単価は下がる見通しですが売電自体は継続されると予想されています。
太陽光パネル自体は20年以上もつほど長寿命であるため、固定価格買取期間終了後もしっかり電気代を削減し続けてくれます。
太陽光発電システムは「これから」設置するからこそ、より導入しやすいという利点があります。
設置を検討していくうえで、気になるのはやはり設置のコスト。実は太陽光発電システムの設置にかかるコストは普及に伴って次第に下がっています。
2011年時点の1kWあたりの平均的な導入価格は住宅用で57万円ほどと言われています。それが2023年時点では平均で1kWあたり28.8万円まで下がっています。
一般的な設置容量を4.7kWとした場合の太陽光発電システムの設置費用を概算比較すると、2011年時点では2,679,000円かかっていたのが、2023年では1,353,600円まで下がっています。
もちろん、容量やメーカー、設置場所や設置業者などによって設置費用は大幅に異なりますのであくまで概算値となりますが、これだけでもかなり設置費用が安くなっていることがわかります。
売電単価の高かった頃に太陽光発電システムの導入を検討したものの、その当時は費用が高すぎて設置をあきらめた方でも45%近く低下した今の価格帯だと検討の余地が出てくるのではないでしょうか。
設置コストが下がれば、当然初期費用の回収にかかる年数も短くなります。
1990年代、家庭用の太陽光発電システムが出始めたころは設置費用を回収するために15年から20年かかると言われていました。導入費用が安くなった今では、10年以内で回収できるケースも多くなりました。早めに初期費用を回収できれば、それ以降も売電収入を得たり電気代を削減できたりするため、設置の恩恵を受け続けることができます。
太陽光発電システムを設置するには、広い屋根や土地が必要になります。そのためスペースをお持ちでない方でも、検討の可能性が広がりつつあります。
たとえば、一部のカーポートの上にも設置が可能になったため、自宅の屋根が小さくてあまり載らないという家庭や、屋根にこだわりがあって載せたくないという家庭でも太陽光発電システムの導入が可能になりました。
また「すでに屋根に多く設置しているが増設がしたい」というニーズにも対応。近年では海上やため池、貯水槽など水上での設置も可能になりました。このように今まで場所が確保できなくて設置できなかった方も、検討の可能性がどんどん広がっているのです。
1990年代に家庭用の太陽光発電システムが登場してから、設置場所の多様化、低コストでの設置が可能になるなど大きな進歩を見せてきました。
今後はどのような進化を遂げるのか、その見通しを紹介していきます。
近年、太陽光発電システムの性能は大きく向上しています。
たとえば10年ほど前は1枚当たり約150Wの出力だった太陽光モジュールの発電量は、平均出力約330Wまで向上しました。またモジュールやパワーコンディショナーの発電効率の向上により同じ面積で発電できる電力量も格段に向上しました。
このような機器性能の向上はまだまだ続く見込みであり、今後さらなる高性能なモジュールが登場するとされています。
2009年にNEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が技術開発目標などを定めた、「PV-2030+」では、モジュールの変換効率を今年2017年時点で20%、2025年時点で25%、2050年には40%まで向上させることが目標とされています。
自宅で発電した電力を蓄電池に貯めて活用するシステムも実用化されており、家庭で使用する電気を買わずに生活できる時代が近づいています。
太陽光発電システム自体には電気を貯める機能がないため、今までは家庭で作った電力を使えるのは発電をしている日中だけでした。しかし、昼間に発電して余った電力を蓄電池にためておけば、夜間に使用することも可能になります。
そのため買う電力はぐっと少なくなり、電気代を大幅に削減できます。最近では太陽光発電で発電した電力を自家消費することを推奨する自治体も多く、蓄電池設置の補助金を支給する自治体が増えています。今後広く実用化されれば家庭内の電力は自宅で発電、電気が足りなくなったときだけ購入する時代になるかもしれません。
また最近では発電した電気を賢く使い、家全体で省エネを図れるようなシステムが開発されています。
身近な例としては「オール電化」もその一つ。
オール電化にすることでガス代をなくすとともに、日中は屋根で発電した電気を使うことで、電気代が安くなる夜間にだけ電力会社から電力を購入することになります。そのため、光熱費をかなり抑えることができるのです。
今では電気自動車も家庭での省エネに一役担うようになりました。
自動車に充電した電気で走るだけではなく、時には蓄電池を代用してライフスタイルに合わせて家庭内でも活用できるようになりました。たとえば、雨天が続き太陽光発電システムの発電量が思わしくないときでも、深夜のうちに単価の安い電気を電気自動車の充電スタンドに貯めて昼間に使用すれば、日中の電気代を抑えることができます。
このように太陽光発電システムを使って買う電力を削減するだけでなく、蓄電システムと連携することで1日中ムダのない電気の活用が可能になります。
売電単価は以前と比べて下がりましたが、太陽光発電システムの普及とともに設置価格は大幅に下がっているうえに性能も飛躍的に向上しており、売電によるメリットにはまだまだ期待が持てます。
一方、売電収入を目的とした設置だけではなく今後電気代の値上がりが予想される中で自家消費することで電力を購入せず電気代を大幅に減らすという使い方も有効な選択肢の一つとなっています。
いずれ売電メリットはなくなる見込みですが、電力を購入せず自宅で発電した電力を使用し電気代を0円にする時代も来るはずです。今設置するから得られるメリットを理解し、太陽光発電システムを取り巻く今後の見通しなども視野に入れ、納得のいく選択をしていきましょう。
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