太陽光発電システムの仕組み

ご自宅の屋根で電気を作り出すことで電気代の削減や売電ができるという話を一度は聞いたことがあるかと思います。一体太陽の光がどうやって電気になっていくかご存知ですか?

今回はその仕組みや設置のメリット、必要な装置など、「太陽光発電システムとは?」という疑問に分かりやすくお答えしていきます。

目次

今注目のクリーンエネルギー

太陽光発電システムは近年になって急速に普及し、環境にやさしいエネルギーとして注目されています。
太陽光発電システムが注目を浴びている背景には、主なエネルギー源である化石燃料がいつか枯渇してしまう「限られた資源」であることや、発電に伴う二酸化炭素の排出といった諸問題があります。

太陽光エネルギーとは

太陽光のエネルギーの最も大きな特長は「枯渇する心配のない」自然エネルギーであるということです。

現在私たちの電力を支えている主なエネルギー源は、石油・石炭・天然ガスといったいわゆる「化石燃料」です。
この化石燃料はこのまま使い続けると数十年~数百年ほどで枯渇してしまうといわれています。そのため、枯渇することなく永続的に供給し続けることができるエネルギーが求められています。

太陽光エネルギーは、さんさんと降り注ぐ太陽の光がエネルギー源であり、太陽が存続する限り枯渇することなく利用し続けることができるため、再生可能エネルギーとして注目が高まっています。
また、発電に際して二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギーであるということも太陽光エネルギーを語るうえで欠かすことができない特長です。

二酸化炭素はその働きから「温室効果ガス」と呼ばれ地球温暖化の原因ともされています。火力発電は発電に伴い多くの二酸化炭素が排出されます。
一方で発電時にまったく二酸化炭素を排出しない太陽光発電システムはクリーンなエネルギーであると言えるでしょう。

太陽光発電システムの導入で家計がお得に

2012年時点で、太陽光発電システムの導入件数は100万件に達したといわれています。
先述のとおり、太陽光はクリーンで環境にやさしいエネルギーです。

とはいえ果たして、「環境にやさしい」というだけで多くの人が設置しているのでしょうか?

太陽光発電システムは、環境だけではなく家計にも優しいメリット満載の発電機器です。
まず第一に「光熱費を削減できる」というメリットがあります。太陽光発電システムは昼間に太陽の光を集めて電気を作ります。昼間に電気を使われる家庭では日中の電気を電力会社から買わずに済むため電気代を抑えることができます。

さらに、オール電化との相性も抜群でガスの代わりに電気を用いることでガス代がなくなり、家庭で使う電気を太陽光発電システムで作った電気で賄うことで光熱費をぐっと抑えることが可能です。

「電気代を削減できる」だけではなく、余った電気は電力会社に売ることができます。これを「売電」といいます。

また、太陽光発電システムは「基本的にはメンテナンス不要」といわれるほどメンテナンスに手間がかからない装置です。

パネルについた多少の汚れは雨で洗い流されますし、パネル自体も長寿命で故障も少ないため、設置後の手間は比較的少ないシステムといえます。

さらに設置場所を選ばず屋根の上はもちろん倉庫やカーポートの上にも設置が可能です。
しっかり家計を助けてくれる上、ご家庭でも導入しやすいシステムだからこそ多くの人が設置をしているのです。

電力を発電する「太陽電池」とは?

太陽電池で太陽の光からどのように電気を作っているのでしょう。

太陽光発電システムは「太陽電池」を用いて太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換しています。
「電池」というと電気を溜められるイメージもありますが、太陽電池には作った電気を溜める機能はありません。

太陽電池は性質の異なる二つの半導体を重ね合わせた構造をしています。
二つの半導体をそれぞれ「p型半導体」「n型半導体」といいます。

ここに太陽光が照射されるとプラスの電荷をもつ正孔とマイナスの電荷をもつ電子が発生し、それぞれp型半導体、n型半導体側へ引き寄せられていきます。
そうなることで乾電池と同じように片側がプラス、もう片方がマイナスの電荷を帯びるため、回路につなぐことで電流が流れます。

個性豊かな太陽電池

「太陽電池」は使われている素材から大きく二つに分けることができます。

一つは半導体であるシリコンを用いた「シリコン系太陽電池」シリコンとは珪石に含まれるケイ素のことを指しますが、太陽の光が当たるとそれぞれプラスの「正孔」とマイナスの「電子」に分かれるというシリコンの性質を利用して電気を発生させます。

その構造からシリコン系太陽電池は「結晶系」「薄膜系」に分けられます。
「結晶系」は珪石を溶かして固めたものを切り出して基板とするものであり、「単結晶」「多結晶」に分かれます。
単結晶は一つのセルが一つの結晶からできるものを指します。高い性能が特徴で、変換効率は高いものでは21%を超えています。

一方、多結晶は珪石を切り出す過程で出来た破片を再び加工して作られます。純度が低いため変換効率は単結晶に劣りますが、量産が可能なことから価格が低く単結晶に比べてコストを抑えることが可能です。

太陽電池の原料としてはシリコンが主流ですが半導体として用いるにはきわめて高い純度が求められます。シリコンは世界的に不足しており高価です。そんなシリコンを極限まで薄く、使用量を少なくしたことでコストダウンを可能にするのが「薄膜系(アモルファス)」です。

薄膜系とは、薄く膜状にしたシリコンを基板の上に何層にも重ねて作られたものを指します。単結晶モジュールの1/100の量のシリコンで製造することができるため大幅にコストを削減することができます。

変換効率は結晶系に比べて低いものの、高温でも出力が落ちにくい特性を生かして、単結晶と組み合わせて使用されることもあります。シリコン系に属さない太陽電池として、セレン・インジウム・銅などシリコン以外の物質を組み合わせて作られる化合物系太陽電池があります。

高価なシリコンを使わないことで低コスト化が期待されています。化合物系太陽電池は影に強く、一部に影がかかってもシステム全体の出力に影響しづらいという特徴があります。こちらもシリコン系同様「薄膜系」「結晶系」に分けられます。

CIS電池に代表される「薄膜系」は高い電圧での使用時に電流漏れにより出力が落ちるPIDという劣化現象 も起こりにくいため長期にわたって出力が安定し、高温や影にも強いことが特徴です。
化合物系のなかにも結晶系という極めて変換効率の高いパネルもあり、その変換効率は30%~40%ともいわれています。大変高価なため主に人工衛星等で用いられています。

性能もコストもさまざまな太陽電池ですが温度変化に強いパネルや影に強いパネルなど各メーカーが様々な商品を出しています。太陽光パネルを選定する際には予算、設置環境、設置容量などを総合的に考慮し最適なものを選びましょう。

太陽電池の構成単位は大きく三つ

太陽電池は以下の三つの構成単位からできています。

セル

一番小さな構成単位で、太陽電池そのものを指し、太陽電池の基本単位となります。

モジュール

セルを並べて樹脂や強化ガラスで覆って一枚にしたものがモジュールです。一般的に呼ばれている太陽光のパネルを「モジュール」と呼びます。

アレイ

モジュールを何枚か並べて接続したものが「アレイ」です。屋根に乗っている太陽光発電システムのパネル一枚一枚が「モジュール」であり、並んだモジュールをまとめて「アレイ」と呼びます。

太陽光発電システムの仕組みとは?

太陽の光で発電し、家計にも環境にも貢献してくれる太陽光発電システムですが、屋根に載っているパネルだけでは発電した電気を使ったり、余った電気を売ったりはできません。
設置にあたってどういう装置が必要になるのか、システムの仕組みも含めて知っていきましょう。

どんな仕組みで家計がお得に?

太陽光発電システムで作られたばかりの電気は「直流電流」であり家庭で使えない電力です。そのため「パワーコンディショナー」という機器を使用して家庭で使える交流電流に変換をします。

住宅用太陽光発電システムでは変換した電気はまず家庭で使用します。電気を自給自足する分、電力会社から買う電気を減らすことができるため電気代を削減できます。

太陽光発電システムには電気をためる機能はないため、余った電気はその都度電力会社に売っていきます。これを「売電」といいます。
売電による収入は太陽光発電システムの大きなメリットの一つです。太陽光で発電をしているのでもちろん夜間は発電をしません。また天候によって発電が少ない日など、太陽光で発電した電気では足りない時は設置前と同じように電力会社から電気を買って補います。

売電単価の価格引き下げに対し、夜間電力は高騰しています。そのため最近は日中の余剰電力を売って、夜間電力を買うよりも、蓄電池を導入し日中の余剰電力を溜めておいて、夜間電力の購入を抑えることでより効果的に電気代削減をしています。

導入に必要になる機器

ここでは太陽光発電システムの導入に必要な機器を簡単に紹介します。

太陽電池モジュール

太陽光発電システムの要ともいえる機器です。太陽光から電気を作り出します。
アレイ全体での重さは約200kg~500kgにもなりますが、1平方メートルあたりの重さは12~13kgほどであり瓦の1/4程と負担は軽いです。

接続箱

アレイで作った電気をまとめてパワーコンディショナーに繋ぐ機械です。

パワーコンディショナ

システムの心臓部ともいわれる重要な機器です。
モジュールで発電し接続箱でまとめた電気を家庭で使える電気に変換します。

発電した電気をどれだけロスなく変換できるか示す指数を「変換効率」といい、メーカーや製品によって変換効率は異なります。

分電盤

家庭で使えるように変換した電気は、この分電盤を通して家中に配られます。

電力計量メーター

電力会社への売電量を計測する機器で「売電メーター」とも呼ばれます。

通常は電力会社から買う電力量を計測するための電力軽量メーターが設置されていますが、太陽光発電を設置すると太陽光発電で発電した電力売る電力量も計測するために、買電と売電が同時に計測できる「双方向メーター」を取り付けます。
※九州地域は九州電力が太陽光発電設置後に既設の電力計量メーターから双方向メーターへ取り替えられます
※取り替えに費用はかかりません

最適なシステムは十人十色

ここまで、太陽光発電システムの仕組みを解説してきました。
太陽光発電システムはメーカーや商品毎に発電量やコスト、影・高温に強いパネルなど特色は様々です。

どのような太陽光発電システムが最適かは家庭によって変わるため、メーカーや商品毎の特徴を比較して選ぶことが肝心です。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・熊本・佐賀の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。

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