簡単に理解できる!太陽光発電の原理と仕組み!電気はどうやってできている?

2024.11.21

自家消費による電気代削減や売電によるメリットから急速に普及を進めてきた太陽光発電システム。

近年では屋根にパネルを設置している家や、大きな敷地に設置されている発電所を多く見かけますが、どのように太陽の光を電気に変えているかご存知ですか?

今回は、太陽光発電システムの仕組みを易しく解説します。

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目次

太陽光発電の仕組みについて解説

環境に優しい発電方法として広く知られている太陽光発電。

その一方で、発電の仕組みや必要な機器類についてはあまり知られていません。

そこで、太陽光発電システムに欠かせない様々な機器や電気を作り出す仕組みについて解説します。

太陽光発電システムを構成する機器

太陽電池モジュール

太陽電池モジュール

「太陽光パネル」「ソーラーパネル」とも呼ばれ、一般的に「太陽電池」といった際には、このパネル状になった製品を呼ぶことが多いです。

太陽の光エネルギーを吸収して直接電気に変えるエネルギー変換素子を「太陽電池」なのですが、市場に出回る製品としては、シリコンなどの半導体で作られており、この半導体に光が当たり、日射の強さに比例して電気をつくります。

太陽光発電システムの中でも代表的な機器です。

太陽光発電システムが普及するにつれて、屋根に太陽電池モジュールを設置した住宅や公共施設をよく目にするようになりました。

パワーコンディショナー

直流の電気を交流に変換する機器で、「パワコン」や「PCS」といった呼び方をされることもあります。

太陽光発電システムでは直流の電気が作られますが、送電される電気や家庭で使われる電気は交流です。

そのため、発電した電気を家庭で使うにはパワーコンディショナで交流に変換する必要があります。

太陽光発電システムにおいて非常に重要な機器であることから「システムの心臓部」とも言われます。

分電盤

パワーコンディショナで変換された電気は、分電盤で各部屋のコンセントに分けて送られます。

また、家庭内で電気を使用したのちに余った分を送電線に送り出す側に振り分ける役割も果たしています。

太陽光発電システムを用いて作った電気を用いて売電を行う際、「売電メーター」と呼ばれる専用の電力量計が必要です。通常、既に設置されている買電用メーターの隣に設置されることが多いです。

その他、太陽光発電システムには、太陽電池モジュールを屋根や地面に設置するための架台、取付金具、周辺機器と接続するためのケーブルなども必要となります。

最近であれば、発電状況を確認するためのモニタや、家庭内で使用する電力を制御するためのHEMSなども関連機器に含まれます。

また、住宅屋根ではありませんが、工場や倉庫などの屋根や、大きな敷地での発電システムであれば高圧システム用のキュービクルなどが必要なケース、また最近では規模によっては防犯用のフェンスなども必須の部材となります。

太陽光から電気を作る仕組みと家庭の電気の流れについて

住宅屋根への設置の場合、太陽電池モジュールで発電した直流の電気は、家庭で使用できるようパワーコンディショナで交流に変換されます。

変換された電気は分電盤で各部屋に振り分けられ、家電などに使用します。

家庭で使用し、余った電気は電力会社に売電する場合は、電力量計で売電量をチェックするという流れです。

太陽電池は、電池という名称ではありますが、それだけでは電気を蓄える機能はありません。太陽光発電システムが発電できない夜間は、従来通り電力会社から電気を購入して使います。

そのため、蓄電システムなどを使用しない限り、家庭での消費電力を全て太陽光発電による電力のみで賄うことはできません。

太陽光発電システムは、設置容量1kWあたり年間1,000kWhほど発電するとされています。

一例として、住宅用太陽光発電システムの場合、4kW程度の容量で設置される場合が多く、その場合の年間発電量は4,000kWh程度です。

一般家庭が年間に消費する平均的な電力量は4,789kWh/年なので、4kWの設置で年間に必要な電力の8割程度を賄える計算です。

しかし、夜間の使用量が多いご家庭、また、逆に日中に多くの電気を使用するご家庭では、同じような収支プランにはなりません。

また、太陽光発電システムの発電量は地域や設置環境や天候に大きく左右されます。

導入検討時には専門業者が提示するシミュレーションとあわせ、ご家庭の場合であれば、どのような生活スタイルで電気を使用するかを想定することが必要になります。

太陽電池モジュールについて

太陽光発電システムの発電量は、設置する太陽電池モジュール、つまりパネルの性能にも大きく左右されます。

そこで、その基本的な知識とあわせ、現在主に使用されている種類について知っていきましょう。

構成単位について

太陽電池の構成単位には「セル」「モジュール」「アレイ」があります。

一般的には、それぞれ以下の通り定義されています。

セル(cell)太陽電池を構成する一番小さな基本単位です。

電池の素子のことをさします。おおよそ25㎜角の大きさで5アンペア前後の電流が発生します。

モジュール(module)必要枚数のセルを配列し電極でつなぎ、ある程度の電力を発電できる単位にまとめ、屋外に設置できるよう樹脂や強化ガラス、フィルムなどで覆った機器のことです。

太陽電池モジュール、ソーラーパネルとして、製品として流通しているものです。

アレイ(array)複数の太陽電池モジュールを配線し、まとまった電力を発電できるように直列に接続したものを太陽電池ストリングとよび、その複数のストリングを並列に配線し、屋根や地面に取り付けた架台に複数枚の太陽電池モジュールを並べて配線したものをアレイとよびます。

太陽電池モジュールの種類

結晶シリコン系現在、最も多く用いられているタイプがこの「結晶シリコン系」です。

結晶シリコン系とは、シリコンの塊である「インゴット」を薄くスライス・加工して作られます。また、この「インゴット」の作り方によって「単結晶」「多結晶」の2タイプに分かれます。

「単結晶」とは、時間をかけてシリコン結晶を成長させることでインゴットを製造します。

パネルが太陽光エネルギーを電気に変える割合を「変換効率」といいますが、「単結晶」は比較的変換効率に優れているので、限られたスペースで発電量を多く期待される住宅屋根などに多く使用されます。

一方、高性能な反面、コストが高いという弱点もあるため、膨大な量のパネルが必要とされるメガソーラーなどでは使用されるケースは少ないといえるでしょう。

「多結晶」とは「単結晶」パネルの製造過程で発生したシリコンの端材を集めて作られます。

そのため、「単結晶」に比べて製造コストを抑えられる点が強みです。

しかし、変換効率は「単結晶」に劣ります。産業用での設置など大規模なシステムで多くの太陽電池モジュールを使用し、導入費用を抑えたい場合などに適しています。

化合物系太陽電池モジュールは半導体の性質を利用して発電しますが、半導体の材料に複数の物質を用いるのが化合物系です。

単体では半導体の特徴を持たない物質でも、複数組み合わせれば半導体として使えるものもあります。

使用する物質の種類によって名称は異なりますが、主なものとして銅(Cu)・インジウム(In)・セレン(Se)を用いた「CIS電池」があります。

太陽光に当たると出力が上がる「光照射効果」という性質を持ち、優れた実発電量を誇ります。

結晶シリコン系に比べて温度の影響を受けづらいため、高温時でも出力ロスを軽減できます。また、部分的な影の影響に強いのもCIS電池の特徴です。

結晶シリコン系モジュールの場合、パネルの一部に影が差すとパネル全体の発電能力が大きく下がります。

しかし、CIS電池なら影の影響は一部分にとどめることができるので、影の影響を受けにくい、と言われます。

近年では銅・セレン・インジウムの他に「ガリウム(Ga)」を加えて作られた「CIGS系太陽電池」の実用化が進められています。特徴としては様々な材料や製造法に対応できる汎用性の高さが挙げられます。

低価格品から高性能品まで対応でき、「フレキシブル」と呼ばれる非常に薄い形態にも対応しています。

そのため、建造物への組み込みや人工衛星や探査機への応用も期待されています。

太陽光発電の特徴

太陽光発電システム設置の大きなメリットとして売電によって収入が得られるという点があります。

現在、太陽光発電システムによる売電は「固定価格買取制度」に基づいて行われます。

そこで、固定価格買取制度の仕組みについて解説します。

メリット

クリーンなエネルギー

クリーンなエネルギー

1つは、「枯渇することなく繰り返し用いることができる」という点です。

太陽光発電システムはその名の通り、太陽の光をエネルギー源としています。

そのため、例えば石油や石炭のように限られた資源を使い尽くしてしまう心配がありません。

近年はこうした化石燃料の枯渇が心配されており、太陽光発電のような枯渇しないエネルギーの重要性が高まっています。

もう1つは、「発電時にCO2を排出しない」という点です。

太陽光発電の場合、火力発電のように燃料を燃やす必要がないため発電時にCO2を排出しません。

CO2(二酸化炭素)は地球温暖化の原因の一つとされ、日本だけでなく世界各国で排出量の削減が求められています。

特に、2016年「パリ協定」で具体的な削減目標が掲げられて以来、クリーンな電力はさらに注目度を高めています。

太陽光発電のように、枯渇やCO2排出といった懸念がないエネルギーを「再生可能エネルギー」といいます。

近年は化石燃料の枯渇や地球温暖化の懸念もあって化石燃料からの脱却が叫ばれています。そんな中、再生可能エネルギーは化石燃料に代わるクリーンエネルギーとして期待を集めています。

様々な場所に設置できる

太陽光発電は、住宅屋根だけではなく工場や倉庫など、大きな建物の屋根、駐車スペースなどでのカーポート屋根への設置、地面や水面への設置も可能です。

地面に、架台を建て、パネルを設置する方法を「野立て」といいます。遊休地を活用し、売電収入を見据えて、長期間の安定した収益を得られるため、企業や自治体が出資しての設置も多くあります。

ゴルフ場の跡地や、耕作放棄地を使って大規模システムを設置しています。

また、農地に太陽光発電システムを設置し、その下で、日射量をそれほど必要としない作物を栽培し、農業を続けているケースも多くあります。

ソーラーシェアリングといわれますが、発電した電気を農業に活用したり、農業収入とあわせ、売電収入を得ているケースなどもあります。

また、近年では水面にパネルを並べて設置する事例も少しずつ増えています。

造成や整地にかかるコストを削減でき、パネルを冷やすことで出力を増すというメリットがあるといわれる一方で設置に必要な架台のコストや、湖や海面を使用する認可がおりにくいことなどの課題は多くあります。

長寿命・保守管理が比較的容易

太陽光発電システムは故障が少なく、メンテナンスの手間が少ないシステムと言えます。

特に稼働部分のない太陽電池モジュールは期待寿命が長く、環境によっては20年~30年の期間使用しても問題ないという意見もあります。

一例として、奈良県の寺院に設置された太陽光発電システムが設置から30年以上たった後も、設置当時と同等の性能を維持していたという事例などもあります。

また、昨今の太陽電池モジュールは、防汚・防埃などが想定されており、埃や汚れが付きにくく、溜まりにくいい仕様になっているものが多くあります。

一方で、鳥のフンなどの頑固な汚れが長期間付いたままになると発電量が落ちるだけではなく、破損・発火につながる恐れがあります。ひどい汚れが付いた場合は早めに専門業者に依頼することが必要です。

メンテナンスの容易さから、以前は「太陽光発電システムはメンテナンスフリー」と言われていました。

しかし、故障しにくいとはいえ定期的なメンテナンスは必須です。

太陽光発電協会が作成した「太陽光発電システム保守点検ガイドライン【住宅用】」では、4年に1度以上の定期点検が推奨されています。

また、日常的にできるメンテナンスとして「電力モニターで発電状況をこまめに確認する」という方法もあります。

天気がいい日が続いているにもかかわらず、発電量が落ち込んでいたら故障や不具合が疑われます。

異常に気づいたら、専門業者に連絡して詳細な点検を依頼するようにしましょう。

ニーズに合わせて規模や形態の選択肢が広い

太陽光発電システムの場合はシステム規模に応じて相応の発電が可能です。

そのため、太陽光発電なら10kW未満の小規模なシステムから「メガソーラー」と呼ばれる1,000kW以上の大規模システムまで柔軟に対応できます。

住宅の屋根やカーポートの上などにも設置できることから、再生可能エネルギーの中では珍しく個人単位での導入が可能です。

非常用電源としての活用が可能

太陽光発電システムを設置していれば、停電時でも日中は家庭で電気を使うことができます。

発電した電気を停電中に使うには「自立運転機能」が必要ですが、近年では多くのパワコンで搭載されています。

停電中もテレビで情報収集したり、携帯電話を充電して連絡を取ったりすることが可能なので非常時には大変心強い存在となります。

太陽光発電システムの課題

コスト面での課題

太陽光発電システムの設置費用は年々値下がりしています。

2023年時点における住宅用システムの平均的な設置費用は28.8万円/kWhほどで、4kW設置した場合は115万2千円となります。

容量や設置環境・メーカーなどによって価格は様々ですが、政府は住宅用太陽光発電のシステム費用を「2019年に、30万円/kWh」「できるだけ早い段階で20万円/kWh」まで引き下げることを目標としてコスト低減に取り組んでいます。

技術面の課題

自然のエネルギーを利用して発電しているため、発電量が天候や日照条件によって左右されるという弱点があります。

雨天時や積雪時に大きく出力が下がるほか、気温が高くなる真夏には日射量のわりに発電量が少ないこともあります。

天候による変動を小さくするためには、低照度特性といって少ない日射量でも発電できる特性を持ったモデルを設置するという方法もあります。

また、系統全体でいうと、接続量が多くなると電力品質に影響を与える可能性があります。

そのため、急激な出力変動が起こった際のバックアップ電源の確保など系統安定化に向けた対策が必要となります。

太陽光発電の売電

太陽光発電システム設置の大きなメリットとして売電によって収入が得られるという点があります。

現在、太陽光発電システムによる売電は「固定価格買取制度」に基づいて行われます。

そこで、固定価格買取制度の仕組みについて解説します。

固定価格買取制度とは

固定価格買取制度とは、再生可能エネルギーで発電した電気の買い取りを電力会社に義務付ける制度です。

「Feed-In-Tariff」の頭文字を取って「FIT法」とも呼ばれ、前身となる「余剰買取制度」を引き継ぐ形で2012年よりスタートしました。

太陽光・水力・風力・バイオマス・地熱の「5大再生可能エネルギー」による電力が買取の対象です。

もともと、再生可能エネルギーはコストが高いことなどが障壁となって普及が十分に進んでいませんでした。そこで、再生可能エネルギーの普及拡大を目指して始まった制度が固定価格買取制度です。

長期にわたり安定した収益を担保し、事業の見通しを立ちやすくすることで導入を促す狙いです。また、普及拡大に伴って設備コストを低減させることも目的の一つです。

電力の買取に要する費用は、電気代に上乗せする形で全世帯から集められます。

これを「再エネ賦課金」といい、毎月送付される電気代の明細にも明記されています。

太陽光発電システムの普及に伴って再エネ賦課金の負担が大きくなったことも問題とされています。急激な普及に伴い発生した電力買取に伴う諸問題を解決すべく、2017年4月にFIT法が改正されました。

売電価格を引き下げて国民負担を減らすために、売電価格の決定方法が見直されました。

その他にも設備認定要件に事業認定を追加するなど、より確実で健全な事業運営のため様々な変更がなされました。

売電方法は2種類ある

固定価格買取制度のもとでは「余剰買取」「全量買取」のいずれかが適用されます。

余剰買取は、発電した電気をまずは家庭での自家消費に回して余った分を売電します。主に10kW未満の太陽光発電システムに対して適用される方法です。

一方、全量買取は発電した電気を自家消費せずにすべて売電する方法です。

10kW以上の太陽光発電やその他の再生可能エネルギーが対象ですが、太陽光発電の場合は10kW以上なら余剰・全量のうち任意の方法を選択できます。

太陽光発電システムにおける2018年度の売電価格は以下のようになります。

10kW以上

  • 売電期間…20年間
  • 売電価格…10円/kWh(10kW以上50kW未満)

10kW未満

  • 売電期間…10年間
  • 売電価格……16円/kWh

電力需給のバランスをとるために再生可能エネルギー設備の出力を一時的に抑制することを「出力 制御」といい、対象エリアには対応機器の設置義務があります。

設置義務のないエリアと公平を保つために対象エリアに対しては2円高い売電価格が適用されます。

売電価格の決定方法

再生可能エネルギーによる電力の買取価格は経済産業大臣が毎年決定しています。

具体的には、事業を適切に行った場合のコストをもとに適正な利益が出るように調整されます。近年は太陽光発電の設置コストが値下がりしており、売電価格もそれに伴って年々下降をしています。

「売電価格が下がっているから設置してもメリットがない」と不安視する声も多く聞かれます。

しかし、むしろ「売電価格を下げてもメリットが出る」と判断された結果であり必ずしもメリットが出ないわけではありません。

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あとがき

あとがき


電気代削減や売電のメリットから導入が進み、今ではすっかり身近なものになった太陽光発電。

近年では、蓄電池や電気自動車と組み合わせた「電気の自給自足」にも注目が集まっています。

電気代の値上がりが懸念されている昨今、太陽光発電システムはますます目が離せない存在となっていくでしょう。

今後の太陽光発電関連のご提案、また商材選定についてお悩みであれば、楽エネまでお気軽にご相談ください。

執筆者:ゆめソーラーマガジン編集部

ゆめソーラーマガジンは、福岡・佐賀・熊本・鹿児島の太陽光発電・蓄電池専門店「ゆめソーラー」が運営するオウンドメディアです。太陽光発電・蓄電池に関するノウハウを中心に、再生可能エネルギーや環境に関するお役立ち情報を発信しています。|SNSで情報発信中!▶公式Instagram

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